中の人の会議1
あるビルの中の1室、多くの大人たちがてんやわんやしていた。
「おい、どういうことだよ。モンスターの湧き率異常に少ないじゃないか」
上司らしい男が部下に怒りながらも、パソコンで作業をしている。
「ベータ版ではこれくらいでよかったんですけど…まさかあんなにも多くの人たちがやるとは…」
部下らしき男も大慌てでパソコンで作業をしながら言い訳をしている。
「とりあえず湧き率は今日の深夜にメンテナンスいれて調節しよう。」
他の社員がメンテナンス通知をゲーム内に送信し終わりコーヒーを配りながら励ましている。
「きょうは徹夜になるぞ」
「「「「「「は、はい。」」」」」」
そしてこの作業は夜明けまで続き、中の人たちの疲労はピークに達した。
メンテナンスのことで頭がいっぱいになっていた中の人たちは一段落ついたときにあることに気づいた。
「おい、白角ウサギやられてるぞ」
「えっ、マジか」
「マジだ見てみろ」
そう言うと男のパソコンのまわりに人だかりができて多くの人が衝撃をうけた。
「あいつの設定って結構やばかったよな」
「はい、耐久力はないですがプレイヤーを認知したらすぐに逃げるように設定していますし、敏捷性だけだったら今実装されているモンスターのなかで一番です。」
その情報を知らない人たちも制作に関わっているためそのスゴさは十分に伝わった。
「じゃあ、ベータ勢が倒したのか?」
「いいえ、それは無いです。だって出現条件はモンスター撃破経験の無いプレイヤーが2人以上いるパーティーですもん。」
「いや、お前それなかなか鬼畜じゃねーか」
上司らしい人もこの鬼畜出現条件に驚きつつも、この条件を達成してなおかつ撃破されたことに焦りを覚えた。
「おい、まだ誰が倒したのかわからないのか」
「今調べています。」
「それよりも問題は他のオリジナルモンスターですよ」
白い角をもったウサギは、オリジナルモンスターと呼ばれているらしく世間にはまだ情報がでていない希少なモンスターである。
「とりあえず他も調べましたけど、特に倒された形跡も無いから大丈夫です。」
「おおそうか、それはよかった。」
安堵する人もいるが、配信1日目でオリジナルモンスターが倒されたのは予想外らしくまだ焦っている人もいる。
「撃破者について分かりました」
「えっ、本当か?」
「本当です。」
そう言うと今度は部下らしき男のパソコンに人があつまった。
「プレイヤーネーム、ルーン、シルクのパーティーでルーンの方は初期武器は短剣で速度特化、シルクの方は初期武器は両手杖でINTとHPを中心にステータスは振ってますね」
「角はどっちが持っている」
「ルーンの方です。さらに厄介なのは、エイルと月狼の洞窟にパーティーとして潜っていました」
この情報には、オリジナルモンスター製作陣は絶望の表情を浮かべていた。
「エイルは何で一層にいるんだよ。あいつベータ版でめちゃくちゃ強かっただろ」
「ゲームをやる理由はプレイヤー次第だから俺らは何にも言えねーよ。でも確かにあいつが二層にいってないのは不思議だな。」
「そうですよね。他のベータ出身はエイル以外の上位陣を中心に殆ど二層にいるのに…」
エイルのことを不思議に思いつつも中の人たちの不安はルーンとシルクに向いている。
「たぶん次は明日だから間にあわないと思うけどゴールデンウィークのイベント前までに1日あるからその日は注意した方が良いですね」
「そうか…それじゃあれの戦闘が見れる日も近いかもな」
「あれはステータスもそうですけどプレイヤーの戦闘能力というかプレイヤースキルも必要になってきますから」
「そうだな、まぁあいつが手を抜かなければの話だけどな」
中の人たちも緊急事態に少しはヒヤッとしたが、まだあいつと呼ばれているものが動かないことを確認し、それぞれの業務に戻っていった。
FLO運営の中の様子です。またちょくちょくあげようと思っているのでこちらもよろしくお願いします。




