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デッド・オア・ハーレム  作者: 来夢
デッド・オア・ラブ
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生徒会室にて

「ここです」

「ああ、やっと着いたのね」

 

どうにか二階分の階段を登り切り、ようやっと生徒会室に到着した。


音楽室や地学室等の特別教室が並ぶ校舎五階の廊下は、学級クラスが設置された階層とは違い静けさに包まれている。その独特な雰囲気に柄でもなく若干緊張していると、橘に身体を縛る縄の先端を引っ張られた。


「あまり時間もないので、早く入ってください」

「し、失礼します」

 

つんのめりそうになりながら、橘に導かれるままに生徒会室に足を踏み入れる。


「おかえりー、姫乃ヒメノちゃん。柏くんは見つかった…………って、え?」


連行された犯人にように入室した俺を出迎えたのは、制服の上にジャージを羽織った女子生徒だった。俺と橘を見るなり、大きな目をぱちくりさせている。


「どうしたの、ソレ?」

「私が到着したときにはもうこの状態でした。危ない人なんだと思います」

「危なくねえよ。危なかったのは俺の命だ」

「という供述を犯人は繰り返しており」

「誰が犯人だ!?」


どこまでもドライな橘に食い下がっていると、その様子を見ていたジャージ少女はくすくすと笑みをこぼした。楽しげなその声には聴き覚えがある。


「まあ、無事に連れて来れてなによりだよー」

「あのな……よく見てくれよ。訳分からん銃弾が掠ったんだぞ」


ヒリヒリと痛む頬を突き出すように見せつける。


「とりあえず座りなよ。せっかく素敵な椅子が付いてるんだし」


苦しゅうないと冗談めかすこのジャージ少女は、宮本唯。

俺のクラスメイトで、二年生ながら生徒会の副会長を務めている。


……そうだった、生徒会には宮本もいるのか。


「んで、その様子からすると、やっぱり柏くんはサンドバッグ君になりかけてたんだね」

「分かってたんなら助けてくれよ……」


クラスの連中、なんの躊躇いもなく発砲してきたからな。

あのままいったら俺という尊い種は絶滅していただろう。


「いやいや、むしろ感謝してよ。私が姫乃ちゃんを迎えに行かせたんだから。恩人だよ?」

「後輩パシっただけじゃねえか。お前が来いよ」

「ホントです。もう二度とあの教室には近づきたくありません」

 

俺と橘が批判の声を上げると、宮本はスカートから伸びた脚を組み直して挑発的に目を光らせた。


「ふうーん。姫乃ちゃんはともかく、柏くんもそういうこと言うんだ」

「?? どういうことだよ?」


至極真っ当な指摘だと思うんだけど。


「もし私が行ってたら、それこそ無事じゃ済まなかったんじゃない?」

「うっ……」


宮本の言うもしもの想像が頭をよぎると、背筋に冷たい汗が流れた

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