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デッド・オア・ハーレム  作者: 来夢
デッド・オア・ラブ
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荒ぶるクラスメイト

季節は初夏。

女子の制服がより快適に、より薄く、より透けていくこの素晴らしき日に───


『覚悟はできてるんだろうな?』

『安心しろ。苦しまないよう一瞬で殺ってやるから』


───俺は、屈強な男どもに拘束されていた。



虹輝コウキ、なにか言いたいことはあるか?」

 

椅子に縛り付けられて動けない俺を見下ろし、クラスメイトの細坂冬馬ホソサカトウマは静かな声でそう言った


「なにかもなにも、言いたいことしかねえよ」

 

例えば、登校するなり俺が拘束された理由とか、そんな俺の周りを大勢の男子が囲んでいる理由とか、そいつらの目が血走ってる理由とか。

気になることを挙げたらキリがないが、それらを抑えて一番気になっているのは、冬馬たちが持ってる武器の用途だ。まさか、俺に使うんじゃないよね?


「どうでもいいから、さっさと解いてくれよ」


不必要な程きっちりと縛られているせいで、身じろぎするだけで肩関節が痛い。


『どうでもいい……だと?』

『貴様、自分がなにをしたのか分かっているのか?』


俺の返答が気に障ったのか、冬馬の隣に立つ男子が俺に銃口を向けた。


「おいっ!? 止めろバカ、エアガンでも洒落にならないぞ──あでっ!?」


反射的に身体を反らそうとした結果、俺の身体は縛り付けられていた椅子ごと横倒しになった。埃っぽい床に頭を打ち付けた俺のことを、冬馬たち男子は冷たい目で見下ろしている。


……なんだ? マジでなんなんだ?


教室に入ってからものの数分しか経ってはいないが、分からないことだらけだ。

そもそも、金曜には朗らかに別れたはずの連中が、何故に週が明けた途端血走った目で俺を睨んでいるのだろうか。これはあれか、ドッキリってやつか?

 

もし仮にドッキリだとすれば、心当たりはある。

先週の土曜日は俺の十七回目の誕生日だったのだが、今俺を囲んでいる男子たちからはメールの一つもなかった。


あのときは薄情な連中だと思ったけど、もしかしたら違ったのかもしれない。

サプライズ的なものが企画されていたとしたら、この展開はアリっちゃアリだ。


怒っているように見えるのは全部演技で、本当は俺の生誕を祝ってくれようとしているのだろう。黒板にも『ハッピーバースデー』とかそんな文字や絵が踊っているに違いない。というか、そう信じたい。


「お前ら、もしかして俺の誕生日を祝って────」

『『バカ言ってんじゃねえ!』』

「いぃっ!?」


微かな希望を口にした瞬間、教室内に乾いた音が響いた。

まともに首が動かせないのでハッキリとは見えなかったが、俺の方を向いていた銃口からなにかが飛び出したような気がする。


「なにしやがる!?」

『キサマヲコロス』

「何故っ!?」


俺としても、こいつらがサプライズなんて企画する柄じゃないってのは百も承知だ。

それでも、もしかしたらという希望を込めて言ってみたってのに。まさかいきなりぶっ放されるとは……。


「マジでなんだってんだよ」


今しがた俺の頬を掠めたものがBB弾ならPTAに掛け合えばいいのだろうが、もし鉛弾だったとしたらそれはもうFBI案件だ。教室の片隅で起きていい事件の範疇を越えている。


「おい、虹輝」

「なんだよ」


動けない俺の肩に手を置き、冬馬は静かな声で言葉を続けた。


「俺たち、殺したいほどお前が妬ましいんだ」

「だから、なんでだよ」


さっきから、一向に話が進んでいない。

それどころか、俺が言葉を口にする度に男子たちが纏う殺気は増していくばかりだ。


「あれを見ろ」

「?」


俺の疑問に答えるように、冬馬は黒板に指先を向けた。

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