第八話 最高到達地点を軽々越える
今日は二話出しています。先に『十階層のドロップアイテム』を読んでからでお願いします。
十一階層。
ここからは人の姿は大幅に減る。
本当に指で数えられる程のパーティしか居ない。
十階層のミノタウロスは実力だけで言ったら、十二、十三階層レベルの魔物に当たる。
ただ、違うのはミノタウロスが一体に対して十二、十三階層は複数になるため、同じとは言えない。
つまりはミノタウロス一体倒せないなら、それ以降も倒せないという事だ。
まぁそんなこんなで十一階層からは本当の実力者パーティじゃないと全滅する。
と並べたが、二人にとっては此処の階層も雑魚でしか無い。
腕を振って終わりの繰り返しである。
そして、十一、十二、十三、十四、十五階層と行って、過去最高到達地点の十六階層に来ていた。
十七階層の魔物からいきなり強いという事ではなく、十六階層の魔物にパーティで挑んでもギリギリの戦いになり、十七階層に上がっても勝てないと判断し、十六階層で留まったのである。
それでも、二人にとってはこの十六階層の魔物も雑魚でしか無い。
つまりは今まで通りに一振りで終わり。
因みに十六階層の魔物はリザードマンだ。
・リザードマン
武器の技量や仲間との連携のある蜥蜴の魔物。武器は剣、槍、弓と多々ある。
過去、この階層に来たパーティはリザードマン一体には勝ったのだが、二体、三体と増えてくると、リザードマン達は連携するようになり、負けたそうだ。
宝神塔に挑むトップパーティだけあってその時は逃げる事に成功した。
その後、そのパーティは一個下の十五階層と二個下の十四階層で、戦っていたらしい。
つまりは通常居ても十五階層までだ。
今回二人が行った時は十四階層までだった。
その時のパーティは二人を見て、呆然としたであろう。
トップパーティであろうと、集中を切らさずに連携して倒さないといけない階層の魔物を何をしたか全く分からないのだから。
後に噂になるだろう『背の高い女性と背の低い男性の姉弟がトップパーティでも難しい階層を堂々と歩いている』と。
実際には姉弟という訳では無いが、それを聞いた人達は後者の『トップパーティでも難しい階層を堂々と歩いている』という部分を気にするだろう。
それも何も装備をしていない姉弟がだ。
まぁ、それはさて置いて、二人は二十階層に来ていた。
「此処で休憩しましょう」
「そうしましょう」
この宝神塔は十の倍数の階層がボス部屋となっている。
構造的に十階層とそこまで変わらない。
二人は二十階層の中央に行く。
二人以外は誰も居ない。
「どうしますか?このまま何か引きますか?」
「いやです。あれを使ってくれますか?」
ハブはこのまま何か引いても良いと思ったが、ミーナは良くないらしい。
仕方ないからハブは少し力を使う。
「はっ!」
ハブは手を出して声を出した。
その瞬間、その前の空間が歪んだ。
その先には別の空間が現れた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
そう言って、ミーナはハブの頬にキスをした。
「や、やめてもらいますか?」
「私達夫婦だよ。止める訳ありませんわ」
不意打ちとは言え、キスをされたハブは動揺して止めるように言う。
でも、ミーナは夫婦なのに何故止めるのか、止める訳が無い。
「ま、まぁ、いいです。食事は簡単にしますか」
「そうですね」
ハブは何処からかパンやスープの入った器を出す。
そして、二人は食べて眠り着いた。
ちゃんと空間は閉じた状態で。