第六話 十階層のボス
ボス部屋の中は闘技場くらいの大きさで、魔光石が光る。
実は今までの階層にもこの魔光石があった。
この魔光石は魔力を与える事で、光るらしい。
ダンジョンや迷宮には魔力が魔光石に送られるため、常に光っている。
同様にこの宝神塔も常に光っていて、ボス部屋においては誰かが入らないと光らない。
部屋が光り、二人の前には一体の魔物が居た。
ミノタウロスである。
・ミノタウロス
人の体に牛頭の魔物。手に斧を持ち、強靭な体と力が特徴。斧は両手持ちで振ると風が発生する。
目の前のミノタウロスは約三メートルあった。
「どうやら、ただの牛ですか」
「斧を振るだけの牛バカですね」
二人にとってミノタウロスは武器を持つただの牛としか見ていない。
この十階層は本当の実力者でなければ、簡単に返り討ちになる。
十階層を攻略するだけで実力者と評価される程だ。
「どうしましょうか」
「ハブと私、どちらがやるかという事ですわね」
普通なら、協力して倒さないといけないのに、二人は面倒くさいかという感じで言う。
その時、ミノタウロスが突進して来た。
「遅い」
「これが突進ですか」
二人は簡単に躱す。
ミノタウロスはそのまま壁に激突する。
その時、頭から血が出る。
「此処は私にやらせてくれる?」
「いいよ。任せた」
ミーナが戦うようだ。
ミーナは床に付いたミノタウロスから出た血を触る。
『ブラッド・スパイク』
その瞬間、ミノタウロスの体内にある血が血の棘となり、体外に出る。
そして、ミノタウロスが倒れた。
「ミーナの前では血を出してはいけませんね」
ミノタウロスの敗因はハブの言った通りに血を出した事だ。
ミーナは血を触る事で、それと同じ血を操る事が出来る。
「でも何で使ったんですか?」
「だってぇ、ちょっと力を使いたかったですもん」
ミーナが『ブラッド・スパイク』を使ったのは退屈だったと言う理由だ。
今までの階層は腕を振るだけで倒したが、流石に退屈になってしまった。
そこで、力を使おうと思ったのだ。
しかし、それで退屈でなくなることは無い。
ただ、ミノタウロスは憐れだと思う。
斧すら使われてくれなかった。
「一区域は終わりましたね」
「それより、アイテムアイテム」
ミーナはミノタウロスのドロップアイテムに期待した。幻級が出て欲しいと。
二人はミノタウロスのドロップアイテムを拾う。