第二話 ホウジンの街(二)
宿屋『神のお膝元』
他国の貴族とかが泊まる宿屋ではなく、一般人が泊まるホウジンの街の中で最高ランクの宿屋。シングル、ダブル、キングサイズのベッドに一人部屋、二人部屋、多人数部屋と幾つもある。そして、食事を提供し、お風呂も完備している。従業員は最高ランククラスなので、領主が派遣した人達がしている。
二人は宿屋に入る。
中はそこまで人は居なく、お金が払える人達だけなんだろう。
「ようこそ、神のお膝元へ。宿泊ですか?」
従業員が話しかけて来た。
何故、従業員が「宿泊ですか?」と言うのは一応食堂もやっているからである。
まぁ、それで売り上げがある訳ではないのだが、お祝いとかでちょっと高い店にという人もいるので、聞く事が大事なのである。
「はい」
「何日間、泊まりますか?」
「すみません、まだどれだけ泊まるのか分からないので、その日その日でお支払いでもよろしいですか?」
ハブは従業員に対して、何日泊まるか分からないので、その都度にお支払いしたいと言う。
「はい、問題ありません」
従業員からの許可が得られたので、一泊分のお金を払う。
二人は従業員の案内で、部屋の前までやってくる。
「ここが部屋になります」
扉の鍵は外から掛ける南京錠と中から掛ける鍵がある。
中は広く、簡単に言えば、一人暮らしの部屋構造。
ワンルームに机、椅子、クロゼット二つ、そしてもちろんダブルベッドである。
お風呂は別の部屋にあり、お風呂と言うよりシャワールームなんだけど、体を洗うにはどちらでもいいかな。
「それで、午後五時から夕食の方をお出ししますが、いつしますか?」
「どうしますか?ミーナ」
「午後六時で良いですよぉ」
「じゃあ、その時間で」
「畏まりました。あと、食堂とこの部屋のどちらかで食事をする事が出来ますが、どちらに致しますか?」
「ミーナ、この部屋で良いか?」
「は〜い、良いですよぉ」
「その様にお持ち致します。それではごゆっくりどうぞ」
そう言って、従業員が出て行く。
ハブが食事をこの部屋で選んだのは絡まれるのを防ぐためである。
まぁ、それだけで絡まれないという事は無い。
「午後六時まで暇になりますが、どうしますか?」
「街を歩きましょう」
ミーナがそう言うので、ハブは了承し、二人は宿屋を出る。