第二十六話 火女神のダンジョン 後編
遅れてしまってすみません。
合間合間で書きました。
結局、文字数も増えて延びてしまいました。
二人はマグマドラゴンを倒し、さらに先へと進んでいた。
四階。
ここには様々な『火』に関係する魔物が集まる。
実力は実力だけが高い下級神クラスや準下級神クラスである。
まぁ、簡単に言えば中級神と同じくらいかそれより少し強いくらい。
つまりはマグマドラゴンよりも強いかも。
二人は戦いを個人でやっていた。
ボス戦以外は何体も襲ってくるので、一人で一体から十何体という事もある。
そこをお互いに邪魔しない様に次々と倒していく。
「ミーナ、そっちをお願いします」
「任せて下さい!」
「ハブ、後ろ」
「了解しました」
そしてお互いに周りを気にしながらも指示もする。
五階。
マグマが広がるステージで、魔物がそこから現れる。
ほとんどの魔物がマグマを養分としている魔物となっているので、マグマに入ると再生する。
実力は中級神クラスや準上級神クラスである。
そこを二人は足に氷を張る事で対応する。
通常なら氷龍の能力でマグマの上に氷を張る事は出来るが、ここでは通用しない。
それからは四階の時の様に二人は進む。
そして現れたのは巨大門。
「再挑戦という事になりますか」
「はい。あれは結婚後でしたね」
「あの頃を思い出すと嬉しいけど恥ずかったですね」
「私は物凄く嬉しかったですよ」
二人は個人でここを挑戦する事はあったが、二人で挑戦したのはこれで二回目で、前回は結婚した後の話である。
「とりあえず、引き締めていきましょう」
「はい。今度こそ勝ちましょう」
二人は扉を開ける。
六階。
火女神のダンジョンのボスステージ。
そこには魔物はいなかった。
「ここは今までとは違う、部屋自体が魔物という特殊な魔物でしたね」
「この様な魔物はここでしか体験出来ませんからね」
ここの魔物は部屋自体が魔物という特殊な魔物。
部屋がマグマを超えた紅炎。
そう、魔物とはその紅炎である。
燃え盛る炎が広がる。
「これの厄介なところは物理が効かない事と熱を防げない程の温度ですね」
「私の死霊力が効かないというおまけ付きではありますが……」
火(炎)は熱を感じるが、実体を触る事は出来ない。
それと同じ様に紅炎も触る事は出来ない。
熱もハブの氷龍の能力は効かない。
ミーナの死霊力も効かない。
実力はミーナと同じ上級神クラスで、火女神の設定により準最上級神に近い実力にしている。
地面や壁、天井は火土と呼ばれる『火』で出来た土。
その温度は紅炎よりも劣るが、マグマよりも高い。
そしてそれも紅炎の一部である。
「それでどうしますか?」
「これと言って難しいですよね」
かろうじて火土の温度は氷龍の能力で防ぎ、その立っている二人は作戦を考えるが、そう上手くは思いつかない。
結構な程に自分達とは不利な相手になる。
まず、動き出すのはハブだ。
『絶対零度』
それはキメラとシーサーペント戦で使った『氷』の中でも強い能力。
一瞬にして部屋を氷世界へと変えた。
しかし、その氷世界は紅炎によって瞬時にとけてしまった。
「相変わらず、火女神様の特徴を持った魔物ですね」
ここにいる紅炎は火女神の特徴を持つ。
それは『氷』無効。
温度を上げる『火』と温度を下げる『氷』は対になり、火女神は『氷』が効かなく、逆に氷の神も『火』が効かない。
「何かいい方法とかありませんか?」
「う〜ん、全力でやれば勝てるかもしれませんが……」
意外にも勝てる可能性があると言うミーナ。
それもそのはずである。
ハブは階級こそ準上級神であるものの、実力は上級神に匹敵する。
ミーナは上級神の中でも上位に位置する。
だから、本気を出せば勝てない事もない。
「ハブ、あれをやりませんか?」
「あれとは?」
「宝神から貰った指輪」
「『合体』ですか。試しにやってみますか?」
「はい」
二人は一度向き合う。
その間、紅炎は特に変わりない。
紅炎は意識のない魔物で、ある意味山とか森とかの自然の魔物になる。
ただ、向かってくるものにはそれを焼き尽くす為に動くくらいで、普段は弧を描く様に炎が出ているくらいだ。
「というかこの方法しかないんでしょうか?」
「それが宝神が言った事でしょ。それとも私が嫌なの?」
「いえ、そ、そんな事はないですよ……」
「では、いきますよ」
「は、はい」
ハブが恥ずかしい事とは。
『合体』(マリッジ)
二人はキスを交わす。
その瞬間、指輪が光り出す。
その光が広がり、二人を包み込む。
そして、一分近く経つと、光が収まり、現れる。
【吸血竜】
火竜に似た紅色の竜が現れた。
吸血鬼の翼も生えている。
しかし、これで終わりではない。
【吸血竜人】
竜が次第に縮まり、人型に変わる。
髪はハブの赤色とミーナの漆黒を混ぜた暗紅色になり、腰近くまで伸びて、身長は160cm、少し膨らみのある胸、全体の格好は二人の格好を合わせただけで、基本的にミーナの服装をし、それにフードが付いているだけである。
そして、吸血鬼の牙、翼はドラゴンの翼と吸血鬼の翼の二対、尻尾は同じくそれぞれの尻尾を持つ二又、手足は長い爪、全身に暗紅色の鱗模様になっていた。
「「な、何ですかこれは!」」
声が響くが、その声はハブとミーナの両方が聞こえる。
しかし、今のはハブである。
「「まぁ、何でしょうこの魅力的な姿は!でも、胸は小さくなってます」」
今度はミーサだ。
姿自体は気に入っているみたいだが、胸が小さくなったのは頂けない様だ。
「「でも、これは力が湧き出る様です」」
「「はい、私の能力とはまた違った感じがします」」
これはミーナの能力の『譲渡』と『譲受』に似ているところもあれば違うところもある能力だった。
ミーナの能力の利点は二人いる事である。
二人いる状態でお互いに能力を受け渡す訳だからだ。
しかし、これには一つ限度がある。
それは受け渡しには100%全て出来る訳ではないからである。
逆に宝神から貰った『結婚指輪』は能力自体が『合体』なので、一人になってしまうが、能力は二人の100%を合わせている。
結果的にどちらが得というのはない。
ミーナの能力は人数、『結婚指輪』は能力の合計でどちらでもいいという事になる。
「「では、手始めにやりますか」」
「「じゃあ、お願いね」」
二人は手を前に出し、紅炎に向ける。
『能力合体波』
能力名自体はシンプルだが、その能力は強力。
手から放たれたのは多色の『咆哮』が混じり合ったか様な感じで、二人の能力を全て加えた単純な能力波だ。
その中身はハブの属性龍(竜)とミーナの死霊力や血の能力、そして二人が持つ死霊力に似た『力』が組み込まれている。
それが紅炎へと向かっていく。
紅炎は通常状態では自然そのものとなっているが、攻撃された場合は自動回避また自動攻撃を行う。
つまりは二人の攻撃に感知し、動き出す。
普通なら動かなくても効かない性質を持つ紅炎ではあるが、基本的に紅炎は自動回避を行う。
二人の攻撃を弧を描きながら避ける。
「「舐められては困りますよ」」
紅炎は『能力合体波』の余波により、霧散する。
「「一つでは効かなくても複数を混ぜれば効くという事ですか」」
「「でも、これって効いてると言える?」」
紅炎が霧散したという事は効いたという事になる。
しかし、火というのは火元が消えなければ消えない。
つまりはこの程度では効いてないのと同じになってしまう。
「「そもそも、上級神と準上級神がタッグを組んで上級神並みの実力者に勝てないというのは相性が悪い以外でしか考えられない事です」」
「「という事はどういう事何ですか?」」
「「つまりは相性さえ解消されれば、それはただの上級神と準上級神のタッグVS上級神並みの実力者の戦いに変わるという事です」」
今までというか前回もそうだが、勝てなかったのは二人の攻撃が効かなかった事だ。
ミーナの能力でも似た様な事が出来たかもしれないが、二人の能力が混ざり合う数が少ない事と全力にならないからだと予想する。
その点、今回は二人の能力全てを混ぜ、全力を放っている。
「「しかし、範囲は部屋全体……」」
確かにこのまま同じ様にしていけば勝てるだろうけども、紅炎は部屋……詳しく言うと六階の全域が紅炎の範囲になる。
それを消すというのは少し難しい部分がある。
この間に紅炎は動き出した。
攻撃してきたという事はハブ達を敵として認識したのだろう。
紅炎はハブ達の周りに弧を描きながら、いくつかの炎が噴き出す。
それが正に炎の壁となった。
そして、地面となっていた火土に穴が空き、そこにハブ達が嵌る。
その後に炎の壁が上から落ち潰す様に迫ってきた。
「「どうするんですか?」」
ミーナはハブに聞く。
「「どうにかしますよ」」
『水氷血霊壁』
ハブ達と炎の壁の間に壁がもう一つ築かれる。
それは『絶対零度』に水を含めて氷の層を増やし、更に『血液凝固』に死霊力で強化された氷の壁だった。
紅炎の炎を防ぐには『絶対零度』だけでは無理、『血液凝固』だけもしくは死霊力で強化しただけでも無理なのである。
しかし、二人の能力を合わせる事で別の能力へと改変される。
その内、炎の壁が『水氷血霊壁』へと当たる。
その瞬間、残念ながら氷の壁が溶け始めるが、溶ける速度は物凄く遅くなっていた。
しかし、ハブはここで終わらせない。
狭い空間内で腕を横に振り、発動する。
『空間を燃やせ、空間を流せ、空間を吹き飛ばせ、空間を固めさせ、空間を浄化させ、空間を呪わせ、空間を麻痺させ、空間を凍りつけろ』
ハブは詠唱する。
そして……。
『空間呪縛』
その瞬間、部屋全体に鎖が現れ、呪縛する。
それは火土、紅炎の炎、紅炎自体、更に『水氷血霊壁』にも鎖で呪縛される。
能力自体は『土』、『闇』、『雷』、『氷』で空間を呪縛した。
『能力合体拳』
先程の『能力合体拳』の拳バージョンで『水氷血霊壁』にパンチをする。
二属性と二つの能力しかない『水氷血霊壁』は二人の能力を全て加える『能力合体拳』を耐える事は出来ず、壊れる。
ハブはそのまま紅炎にもパンチする。
その瞬間、紅炎はパァンと破裂した。
ーーそれでもまだ紅炎全体ではない。
二人は飛ぶ。
「「仕上げにかかります」」
「「やっちゃってください」」
手を前に出す。
そして、『空間呪縛』の二つ目の能力が発動する。
『溶風』
呪縛されていた空間が溶け始める。
二つ目の能力である『溶風』は『火』で空間を溶かし、『水』で空間を流す。
次に『風』で空間を吹き飛ばし、『光』で空間を浄化する。
最後に部屋全体が光に包まれ、数秒後に収まり始める。
そこには今まで階層と同じ部屋だった。
「「勝った様ですね」」
「「えぇ、えぇ!」」
ミーナは気が高まった様に喜んだ。
『解除』
その言葉と共に『合体』が解除され、いつも通りの二人に戻る。
「うん?中央に何かありますね」
ハブは中央にあると気づき、近づく。
ミーナもそれにつられてハブの後を追う。
そこには看板が立てられていた。
〈私のダンジョンをクリアしておめでとう。何も報酬は無いけど、君は上級神の中で上位の実力者みたいね。もし、私と戦いたかったらいつでも言ってね〉
それはメッセージの様だ。
「これは火女神様だね」
「君はって言われてますけど、実際は二人でクリアしたんですけどね」
確かに二人は上級神の中で上位の実力者ではあるが、紅炎は二人にとって相性が悪かっただけなので、ある意味火女神が言っている事は間違っていない。
「出口はあれでしょうか?」
看板よりも更に向こうに円の火の柱があった。
「その様ですね」
二人は歩き、そこに入る。
その火は熱くはない。
そして、二人の視覚が赤く染まり始める。
収まるとダンジョンの入り口にいたのだった。
今話は予定していたので投稿しましたが、これまで通りに休止のままになります。
いつ再開するか分かりませんが、待っててくれると嬉しいです。




