第十六話 共同作業?
四十階層のボス戦の決着です。
ーーハブ視点
ハブはミーナが水に入ったとは反対に空を飛んだ。
ハブの体は階層内にある魔光石に照らされて、赤色から真紅色へと変わった様に見えていた。
「貴殿も空を飛ぶ者ですか」
「はい、つまりはこの部屋においてどちらが空の覇者なのかを決める必要がありますね」
そこにはミーナの前で戸惑っていたハブではなく、龍を名乗る程の男が居た。
「それは面白いですね。では、始めましょうか」
「えぇ、宜しくお願いしますね」
ハブとキメラは向かい合う。
「それにしても赤竜ですか。水のあるこの部屋で」
「いえ、必ずとして火が水に勝てないという事は無いですよ」
「そうですね。貴殿がそれだけの実力者なのかを試しましょう」
まず先に動いたのはハブだ。
「それでは最初に小手調べを」
『火炎咆哮』
ハブが吠えると口から炎が吹き出す。
それは正に火炎放射だ。
その炎はキメラに近づいて行ったが……。
『寒風』
冷たい風が吹き荒れる。
熱と寒がぶつかり合う。
熱が燃やそうと、寒が冷やそうとする。
結果は……相殺。
どちらも消えた。
「相殺ですか。まさか、風で炎を冷やそうとするとは思いませんでした」
「我は全力だったじゃがなぁ。相殺で終わりとは驚きですぞ」
相殺はどちらも驚いていた。
どちらも自分が上だと思っているから。
でも、優雅に話している訳にはいかない。
突然、キメラが消えた。
そして、背中に何かが当たった。
「硬!我の尻尾がヒリヒリしてます」
キメラは風魔法を使い、スピードを上げた状態でハブの上に移動した。
移動した瞬間、自身の蛇の尻尾でハブの背中に叩きつけた。
しかし、結果はハブの背中というか鱗が硬くて、むしろ自分の方がダメージを食らう事になった。
「どうやら、僕の鱗を割る事は出来ない様ですね」
キメラは悔しそうに尻尾を掴み、フウフウと(『寒風』で)冷やしていた。
「まだまだですぞ」
『嵐』
「からの」
『台風』
ハブの周囲に暴風が吹き荒れ、ハブの中心に渦を巻いている。
そこには水は無いものの、その風はハブの鱗を傷付けていく。
……しかし、
「残念ながら、僕の鱗を傷付ける事は出来ても割る事は出来ない様ですね。では、次は僕の攻撃です」
「確かに我の魔法では貴殿の鱗を割る事は出来ない様だ。しかし、この状況をどう破る?」
「いえ、こんな簡単ですよ」
『熱源領域』
ハブの周囲に熱源が発生し、広がっていく。
その時に熱源が『台風』の風が燃え上がる。
そして、風が燃えた。
その風が木や葉の様な燃えやすい物の様に燃えた。
「こ、これまでとは!」
キメラはハブから離れる。
ーー
キメラは声を上げた。
「シーサーペントよ!我等の方が不利の様だ。我等の本気を見せようぞ!
「えぇ、分かったわ。そして、今からが本番よ!」
シーサーペントが水から出てきてキメラの方に向かい、キメラもシーサーペントに向かう。
そして、始まった。
『『生体合成』』
二体はぶつかり合う。
それは正しく合体。
キメラの尻尾がシーサーペントになり、キメラの体にシーサーペントの鱗状になる。
【大嵐の王】
・【大嵐の王】
キメラによって合成されたキメラとシーサーペントの合成生物。その見た目はあまり変わっていないものの、その内部の力は強大。それぞれの魔法である風と水、そして雷魔法を持つ。
キメラサーペントの内に潜めるオーラは神話級と称してもいい程にあった。
「これが我等の真の姿」
「今からは自然現象との対戦だと思って下さい」
キメラは今まで通りライオンの口から、シーサーペントは尻尾の先の口から声を出していた。
「それなら、私達もやりましょうか」
「はい、分かりました」
ハブは赤竜から元の姿に戻る。
そして、二人は近づき、首筋を噛み付いた。
両者ともにお互いの血を吸う。
これはミーナの能力だ。
能力は血による譲渡と譲受。
つまりはミーナの血でハブに『再生』を、ハブの血で『防御力』を渡しあった。
残念ながら、今回はお互いの能力の一部だけを渡しあった。
血を吸い終わった後、変わったのはミーナだけだ。
ミーナの体が鱗状になる。
次にハブは自分の能力で竜形態になる。
その姿はキラキラして透明で透き通った……それは氷だ。
ハブがなったのは氷竜だ。
「それでは最終決戦を始めましょう」
キメラのその言葉で部屋内が荒れる。
『大嵐』
海が荒れ、雨が降り、暴風が吹き、雷が鳴る。
部屋自体が揺れている。
「この中でどう戦いますか?」
「無理でしょう。相手は自然ですよ」
キメラサーペントは優雅に浮いていた。
この大嵐の中で……。
……しかし、それはキメラサーペントだけでは無い。
「な、何!?大嵐が影響しないですぞ?」
「え?え?う、嘘でしょ!」
ハブとミーナは普通に立っていた。
「終わらせましょう」
「えぇ、これが貴方達の最後で最強の必殺技だとお見受けします」
そして、二人は動き出した。
『血操作』
突然、部屋内ある水が動き出した。
その水はキメラサーペントに近づいていった。
キメラサーペントは逃げるも、捕らえられてしまった。
『血液凝固』
そして、水が固まった。
その後にハブが来て……。
『絶対零度』
水が凍り、強度を上げた。
「これで終わりです」
「いきますよ〜」
ハブは元の姿に戻り、二人は手を繋ぐ。
二人の片方の手同士が手を繋いでいる場所の前に持っていき、その間でピンク色の刃物(片刃)が現れた。
その刃物(片刃)を二人で掴み、キメラサーペントへと振り落とす。
そして……。
『共同作業』
その刃物(片刃)がキメラサーペントを真っ二つした。
その後、何故か大爆発が起きたけど……。
二人は無事で、血を渡しあったのはこの大爆発の様だったりする。
とりあえず、結果は二人の勝ちだった。
あまりにも『生体合成』後の方が早かったかもしれない戦いだった。
前話で投稿時間が二時間程早く投稿していました。すみませんでした。
今話は後書きで同じ時間と示した通りに十二時にしましたが、次回からはいつも通り十四時投稿に戻します。
それと本文でハブが恥ずかしい事も普通にやりましたが、それは戦っている時は問題無いだけで普段だったら恥ずかしくてやりません。
その一つの『共同作業』は二体のボスという事で、ただのおふざけです。今後出るかは分かりません。




