第十四話 ドロップアイテムで揉める
特に意味の無い事ですが、ハブとミーナは魔物なので個数単位は「体」となりますが、「二体」だと分かりにくいので、今まで通りに「人」にしていきたいと思います。
ミーナの前でパリンと鳴った。
その正体は血液凝固された死霊力である。
ミーナにとっても危ないと思い、防御したのだろう。
防ぎ続ける事は出来ないけど、一瞬でも防ぐ事が出来れば良いからである。
「大丈夫ですか?」
そこに静観していたハブがミーナの元に来る。
「えぇ、大丈夫ですよ。少々攻撃力が高かった様ですが、防げない程では無いですよ」
ミーナであってもリッチ・キングの『死の魔剣』は崩壊させられる程の能力を持っていた。
しかし、それでもミーナは驚異では無かったと言う。
最後に防御したのはただの保険だったという事だ。
余裕こいて崩壊したら溜まったもんでは無かった。
だから、保険である。
「素晴らしい。私の最大の攻撃力を防がられ、さらに私を浄化されるとは」
そこに浄化された筈のリッチ・キングが現れた。
しかし、二人は警戒しなかった。
「やっぱり、貴方は復活が出来るのですね」
「驚かないのですね」
「だって知能を持った魔物は変えは居ませんから」
「それに再びリッチ・キングを生み出す事は出来ない。結局、リッチを生み出すしか出来ないからだと思います」
「はい、その通りですよ。私は頼まれた魔物です。侵入して来た者を排除するだけで良いと言われましたが、貴方達が来るまで誰も来ていなく、退屈でした。まあ、それで進化出来たんですから未来はどうなるか分かりませんね」
宝神塔におけるボスの魔物はミノタウロスやワイバーンの様に倒されても新しく召喚されるのに対し、リッチもといリッチ・キングの様に頼まれた魔物は復活される。
つまりは世間の宝神塔の鬼門は十階層代の後半から二十階層のボスとされているが、実際はこの三十階層だったりする。
それ程までにこの宝神塔に挑む者達が弱いという証拠にもなってしまうのだ。
「それでドロップアイテムは?」
ハブとミーナは周りを見るが、ドロップアイテムらしき物は無い。
「ドロップアイテムはこれです」
と言って剣を召喚した。
先程リッチ・キングが使った『死の魔剣」である。
「要らない……」
「え?」
ミーナが言った言葉をリッチ・キングは聞き取れなかった。
だから、聞き返そうと思ったら……。
「要らないです!」
ミーナは大声で拒否った。
「えぇー!この武器は中々手に入る事は出来ないんですよ!それも初回ドロップなだけに価値は更に高くなるんですよ!」
リッチ・キングはあまりの驚きに普段は落ち着いた性格なのに乱れている。
それもその筈である。
リッチ・キングの持つ『死の魔剣』はこの様になっている。
・『死の魔剣』デス・ブレード
リッチ・キングの持つ能力『死の魔剣』を武器化した物。その能力はリッチ・キングの持つ能力と同じ。死霊力をこの剣に貯める事で相手に当たると死に至らしめる。それはアンデット系であろうと変わらない。ただ、リッチ・キングと違う点はというと『召喚魔物吸収』が無い事である。なので、自分の持つ死霊力で貯めなければならない。付け足すと死霊力または『光』の聖力を持たない者が持った場合は逆に『死の魔剣」を自分が喰らう事になる。
重要なのはレア度が神話級である事である。
現在において作り出す事の出来ない武器で、ある意味呪いの武器でもある。
ただ、死霊力を持つアンデット系であれば、最強の武器になる。
幾ら、実力が上であろうとこの武器があると上回る事が出来る。
「だって、私達は強い物を取りに此処に来ている訳ではありません。そうですよね、ハブぅ〜」
そう言ってハブに抱き着くミーナは場を理解していない。
幾ら、戦いの終わった後であろうと此処は魔物の居る場所。
まぁ、自分達も魔物というのを合わせても目の前のリッチ・キングだけである。
「ははは、はい。そそそ、そうです」
抱き着かれたハブは物凄く動揺しながら応えた。
「羨ましい限りですね」
「なら、抱き着きましょうか?」
リッチ・キングは羨ましそうに言ったら、ミーナが同じ事をしようとする。
「いえ、大丈夫です。私アンデットですから、そちらの感情はございません」
「そんな事を言ったら同じアンデットの私はどうだと言うのですか!」
「吸血鬼は特別です。性的感情を持つアンデットですからね」
アンデット系にはほとんど性的感情を持たない。
その中でも吸血鬼だけはその枠から外れる。
吸血鬼はアンデット系の中でも比較的に人間に近い魔物に当たる。その為か性的感情も持つアンデットとなっている。
「それよりも受け取って下さい。これ以上のドロップアイテムはありません。と言うかこれしかありません!」
「そんな事ないですよね。ねぇ、ハブ」
「はい、他にもドロップアイテムがある筈です。そもそも貴方はリッチだったですよね。なら、これは無かったと思いますが?」
どうしても『死の魔剣』を渡したいリッチ・キングだが、ミーナと(ミーナから解放された)ハブが異議を唱える。
「え、ま、まぁ、ありますけど……」
「なら、出しなさい」
「多分、お二人の望んでいる物はありません。そもそも、私にドロップアイテムを変える事は出来ません。その事はこの塔の主人である宝神様に言って下さい」
「チッ」
「こらこら、ミーナ。リッチ・キングさんを困らせてはダメですよ。すみませんね」
「いえいえ。ただ、此処まで駄々をこねる方がいらっしゃるとは思いませんでしたが」
リッチ・キングが変える事が出来ないと言うとミーナが舌打ちをしたが、ハブが宥めてリッチ・キングに謝る。
リッチ・キングはそれを少し面白く思ってしまった。
「なのですみませんが、これを持ってて下さい」
「はい、頂きます」
ハブは『死の魔剣』を貰う。
何故かリッチ・キングは疑問を思わず渡してしまったが、ハブは龍(リッチ・キングは知らない)なのだから死霊力を持たないなら何故とは思わなかったのだろうか……。
そして、ハブは駄々をこねるミーナを連れて次の階層を目指す。
「一つ教えておきます。次の階層からの十階層は階層自体が変わります」
「助言をありがとうございます」
リッチ・キングは去って行く二人に助言を言い、ハブは感謝を言って次の階層に行った。




