第十三話 リッチ・キング 後編
前編より長いです。
階層にある光なんですけど以前に魔光石と書いていたので変更します(2018.12.12)
リッチ・キングは剣を取る。
「その前にフードが邪魔ですかな」
近接戦をやる上でフードが邪魔という事で、フードを外す。
そして、現れる素顔。
「結構、カッコいい顔をしていますね。私のハブには及びませんけど……」
リッチ・キングの素顔はイケメンだった。
ハブが美少年だとすると、リッチ・キングは美青年という感じだった。
髪は白髪で、顔は整っていた。
あと、ミーナに褒められてハブはソワソワしていたけど。
「リッチ・キングになって肉体を得ました。これで死霊力だけでなく、筋力もあるという事になります」
上位種の中でもさらに上位の魔物は擬人化または肉体を得ている事が多い。
例外も存在するが、基本的にそのようになっている。
「さぁ、始めましょう」
「そうね。私も少し本気を出そうかな」
『死霊力解放(20%)』
ミーナから死霊力が溢れ出す。
リッチ・キングに纏う死霊力より多いが、リッチ・キングが持つ剣より少ない。
それでもまだ、20%分の死霊力しか出していない。
「やっぱり、貴女はアンデットですか。それも吸血鬼」
「よく分かりましたね。まぁ、吸血鬼の特徴の血に関係する能力を使っていますかね」
「ただ、貴女は吸血鬼の中でも上位の様ですね」
ミーナの様に血を操る能力を使える吸血鬼は少ない。
吸血鬼というのは文字通り血を吸う魔物なので、下位の吸血鬼は血を吸うしか無い。
あとは他のアンデットよりも『再生』による速度が速い事だろう。
「私が此処までやってもまだ本気にはなりませんか」
「えぇ、私も中々これを使う事は少ないんですよ。だから、貴方は私の期待に応えてくれました。しかし、魔物の中でも上位、そして上位の中でも上位になった貴方でも私には少し本気を出すくらいで十分です」
リッチ・キングに勝てる者なんて物凄く少ないだろう。
それも近接戦も出来る特別種。
集団戦に特化したリッチが召喚魔物を剣に吸収する事で近接戦特化にも可能となったのだ。
しかし、それでもミーナにとっては力の一部を出すだけで十分だと言う。
「それでは改めて始めましょう」
「えぇ、貴方の力を見せて下さい」
ミーナがリッチ・キングに向かって、リッチ・キングがミーナに向かって走り出した。
最初に攻撃を仕掛けたのはリッチ・キングだった。
リッチ・キングは自分が持つ『死の魔剣』をミーナに斬りつける。
しかし、ミーナは受け止めた。
『血液凝固』
ミーナは死霊力を血液凝固を用いて固めた。
その時だけ死霊力が物質の無い物から物質のある物に変わる。
通常でも防御に使える『血液凝固』は死霊力の量によって防御力が上がる。
「全く貴女の技は恐ろしい。私の『死の魔剣』は同じ死霊力か対極の聖力くらいしか防げない。それでも量によってはそのまま突破する事は可能。それをそんな技で防がせるとは……」
・『死の魔剣』
その名の通り死を与える魔剣。それはアンデット系であろうと変わらない。通常、アンデットは闇の感情を持つが、この魔剣はそれ以上の闇の感情を与える。それが耐えきれないとその体は崩壊する。つまりは幾ら上位種が『再生』持っていたとしても再生された体がその与えられた闇の感情を耐えられるずにまた崩壊する。
召喚魔法を持つリッチもといリッチ・キングにとって召喚魔物を『召喚魔物吸収』する事で更に闇の感情が大きくなる。
この魔剣は幾らミーナが膨大な死霊力を持っていたとしても優位に超える事が出来るのである。
其処をミーナは死霊力を血液凝固で固める事で防いだ。
しかし、それでも耐えれるという訳でも無い。
ミーナは一旦後ろに下がる。
その瞬間、血液凝固で固めた死霊力がパリンと鳴って崩壊した。
「貴女相手にはもっと死霊力が必要の様です」
リッチ・キングは大量のリッチを召喚し、『死の魔剣』に吸収する。
「なら、此方は大技を見せましょう」
ミーナはこの階層にある血液と自分の血液を搔き集める。
そして、この階層にある(アンデット系に効かない)魔光石を持ってくる。
それを掻き集めた血液の中に入れて、その光とその光に照らされた血液の光沢の光を合わせる。
その血液が大砲の筒状に変化した。
そして、どちらも準備が完了し、放たれた。
『死霊力斬撃』
『血液浄化』
リッチ・キングは『死の魔剣』を叩きつけた。
その瞬間、『死の魔剣』から禍々しいオーラ……死霊力の斬撃がミーナに向かって放たれた。
対して、ミーナは大砲から真っ赤な血色のレーザー砲を放った。
そのレーザー砲はこの階層にある光と反射した血液の光沢の光が合わさる事で『光』を作り出した。
これは『光』を克服したミーナが創り上げた対アンデット技だ。
その二つの技が放たれた事で地面、壁が崩壊していく。
そして、二つがぶつかり、ぶつかった衝撃で土煙が舞う。
その光景を見るのはハブだけ。
でも、ハブはミーナを心配する事なく、見ていた。
少しすると、土煙が晴れていく。
残っていたのは……ミーナだった。




