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8話〜部活〜
今日もいつも通りの一日が始まった。
お兄ちゃんと朝ごはんを食べて。
お兄ちゃんと登校して。
お兄ちゃんと勉強して。
お兄ちゃんとお昼ごはんを食べて。
お兄ちゃんと部活…
「あれ?お…ゆ、裕翔くん部活は?」
帰りのホームルームが終わり早苗が自身の部活動に行こうとしていると裕翔が帰ろうとしている姿があるのを見つけ、つい「お兄ちゃん。」と言いかけたがその言葉を飲み込み声をあげた。
裕翔がこっちに振り向く。早苗がその顔を見た瞬間、思考が止まり見惚れていたがどうにか正気を取り戻すと思い出す。
(あ、お兄ちゃん学校に来てなかったから部活に入ってないのか。)
一人で答えを見つけていると裕翔が早苗の考えていることを察して言う。
「部活なら入ってる…『一緒に部活見に行こう!』」
裕翔が言おうとすると早苗が割り込む。
「え…俺、部活…『ほら、早く行くよ。』」
早苗が手を引いて駆け出す。