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世界の果てまでもあなたを追いかける  作者: お歌詞屋さん
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7話

「ははー!たっのしいー!」


獲物を食うような形相で叫ぶ琴美。

そんな彼女の姿を見て裕翔さえも少し引いていた。


「琴美…」


幼馴染の住田も素が出てしまった。


「あ、スコア勝ってる。このまま行けば…」


琴美が裕翔の場面を見て呟いた。


今、裕翔と琴美がやっているゲームはシューティングゲームで出現したゾンビを打ち倒しそのスコアを競うゲームだった。


「お、お兄ちゃん。負けてるよ!」


裕翔が唖然としてたのを見て早苗が声を荒げる。


「ん、問題ない。」


裕翔はそう言って銃を片手で持ち上げる。


『バン!バン!バン!』


銃声音が連続して鳴る。


「す、すごい。」


香苗が声を出す。裕翔が打った球は見事にゾンビの弱点。脳天をぶち抜いていた。

それはゲームばっかやっていた香苗でもわからない方法で。


シューティングゲームには欠点がある。ラグとズレだ。引き金を引くと球が出る。そこには誤差はほぼない。だが的に当たるのに少しのラグとさらにズレが生じる。


だから大抵は連射などはせず確実にヘッドショットを狙ってスコアを稼ぐものだった。


現に琴美は一体一体確実にヘッドショットを決めている。あんなに叫んではいたが。





『ピーーー』


ゲーム終了の合図がきた。


裕翔と琴美は銃をゆっくり起きそれぞれ指をほぐした。


『今回のスコアを発表する。』


ついにきたこの時だ。裕翔は1Pで琴美が2Pとしてプレイした。


『1Pスコア…8400!2Pスコア…5600!1P勝利!ランキング入り!』


結果は裕翔の勝ち。琴美はあらあらといった感じで少し残念がっていたが「またやろう。」と笑顔を見せた。


裕翔達はゲームセンターで少し遊ぶと小腹が空いてきたからカフェに行こうとなった。




「なかなかいい雰囲気っスね。」


元の口調で住田が言う。


「うん。そうだね。」


早苗が応えた。


確かにこのカフェはショッピングモールの中にしてはしっかりとした外装でどこか外国のお店のようだった。


「いらっしゃいやせ〜」


その雰囲気をぶち壊すように店員が声を張り上げる。


みんな引きつった顔で席に着く。


「さ、さて何にしようかな?」


早苗は空気を明るくしようとメニューを見始める。


「えーと、醤油ラーメン、塩ラーメン、豚骨ラーメン、味噌ラーメン…ってここラーメン屋さん⁈」


「「「え〜〜⁈」」」


裕翔達がカフェだと思っていたお店はどうやらラーメン屋さんだったらしくみんなの腹には少し重すぎだが入ってしまった以上何か頼むしかないと思い渋々頼んだ。




「ねぇねぇ早苗ちゃんとお兄ちゃんって歳いくつ離れてるの?」


琴美がラーメンを食べながら聞いてくる。


「えーと、2歳ぐらいかなぁ〜…」


早苗が誤魔化す。


「じゃあどこの高校?」


問い詰めてくる。


「えーーと、◯△高校だよね?」


「あ、あぁ。」


いきなり降りかかってきた言葉に少し驚く裕翔。


「そうなんだ。よし、私その◯△高校行こ!」


「え?なんで?」


早苗が言う。


「秘密〜。」


琴美は笑みを浮かべながら言った。


すると香苗が小声で住田に話しかける。


「幸、いいの?幼馴染取られちゃうよ?」


「は?な、何を言っているんだ?べ、別に琴美の事なんてなんとも言ってないし…」


「そーなんだー。」


香苗は不敵な笑みを浮かべた。


(琴美さんはアイツ(裕翔)、幸は琴美、よし。敵が減った。あとはあの男(裕翔)をどうにかすれば早苗様は私のモノに。)


そう香苗が考えた時裕翔の全身に寒気が走った。そのせいで裕翔はラーメンを残してしまった。


ラーメン屋を出たあと解散することになった。裕翔は未だに寒気が取れずにいた。


「ねぇお兄ちゃん…」


夕日が綺麗か夕焼けの帰り道。早苗が裕翔に声をかける。


「なんだ。」


裕翔と早苗の周りには人影もなくまるでこの世界に二人しか居ないように思えた。そして早苗は今までに誰にも見せたことのない満点の笑顔で言った。


「また行こうね。」


その可愛さに裕翔は恋心を抱いてしまった。

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