<序章>
<序章>
____この世に神はいるか。
神とは、こんな風に絶対的な存在がいてくれたらと人が強く願った結果造り出された実在しない偶像のこと。
何ですか?
いるに決まっているですって?
ぷっ、ふふふ・・・。
そうですね、きっといらっしゃるでしょうね。
願望や思想は自由ですものね。
さて、「神様は乗り越えられる試練しか与えないんだよ」
「この子は神様が導いてくれて私達の元を選んで生まれてきてくれたのね」
まれにこのようにおっしゃる方もいますが。
実際はどうでしょう。
試練に耐えられず自らの命を絶つ者がいます。
そして、ひどい虐待をされたり、育てられずに生まれてすぐ遺棄される者もいるのです。
それでもあなたは神がいると言えますか。
生きることは実に不公平で理不尽なものなのです。
楽しいこと、満たされることは確かにあるでしょう。しかしそれも雀の涙ほどと言っていい。大多数の者が小指の先くらいの小さな幸せを必死に探し、もがき続け、そうすることで何とか自身を奮い立たせて日々を過ごしています。
努力した者の方が必ず報われるというものではない。
素晴らしい人格者よりも大概がそうでないかたの方が図々しく長生きするもの。
全ての現象は運と単なる偶然にすぎないということです。
もしも神がいるとして、今起きていることをただ見ているだけなのではないでしょうか。
どこかで誰かがどんなに苦労しようがしまいが、どんなに願おうが、何一つ彼等はそれに呼応することはない。
そう、ただ黙ってじっと見ているだけです。
おわかりいただけましたか。
つまり、そういうことなのですよ。
したがって、祈ったところで何も変わらない。
祈る暇があるのなら自分で何とかしたほうが現実的であると私は思いますがね。
かくいう私も縁という言葉は好きですよ。
宗教や個々の思想は自由で無限大。
まあ、このくらいにしておきましょう。
ん?おや、あちらでも。
どんなに祈ったとしても・・・ふふふふ。