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小泉八雲と火曜の木箱  作者: りゅた
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小泉八雲と火曜の木箱ー02ー

次の日春子は右側の机を、ジッと見つめる、もう少しで朝のホームルームが始まるというのに秋の姿は一向に現れない。春子は昨日の今日だけに心配になり携帯電話で秋に連絡をしようとするが残念な事に前のドアから先生が入ってきてしまった。春子の担任は出席簿を教卓の上に広げて置き「残念ながら」と頭において話し始めた。

「篠香田秋だけどな、今朝早くに退学届けを学校に提出した。本当に残念だ。それじゃあ出席をとる。相田。」

それから担任の言葉が耳に入ってこないため3回も自分の名前を呼ばれ、4回目にして後ろの市ノ瀬夏歩につつかれ我に返り「はい」と返事をした。夏歩は春子の様子が可笑しいと感じホームルーム終了次第春子の前に行き話しかけた。

「春子大丈夫?」

その声に頷く春子だが目からは涙が溢れていた。

「泣かないの。秋君の事何か聞いてないの?」

首を横に振る春子に夏歩は「先生に聞いてみよう」と提案し春子をその場に立たせた。秋が自主退学したのが相当ショックなのかフラフラと夏歩の支えなしでは歩けない様子で1人の男子生徒にぶつかった。男子生徒は春子と夏歩に「言っても無駄だ」と言ったが2人には聞こえていなかった。

職員室前で春子達は担任に追い付き秋の事情を聞いたが詳しくは教えてもらえず、教室に戻ろうとした時に職員室から出てきた男子生徒に声を掛けられた。

「夏に春じゃん!どうした?」

声を掛けてきたのは、赤毛をツンツンに立たせ制服をだらしなく着ている生徒だ。

「冬馬か。今日も怒られてたの?」

冬馬と呼ばれた赤毛の男子生徒は夏歩にそう言われ「うるせーよ」と横を向いたが直ぐに春子の様子がいつもと違う事に気付き「何があった」と夏歩に聞いた。夏歩は今朝のホームルームの事を冬馬に話した。冬馬は春子に向き合い手を引き玄関に向かった。

玄関に着き春子の手を離した冬馬は秋の下駄箱を開けた。

「何で玄関なのよ?だいたい開けても靴とか無いって今朝学校に来たんだから。」

「うるせーよ。もしかしたら忘れてるかもしんねーじゃん。」

「あんたじゃないんだから。」

夏歩と冬馬のやり取りに春子は少し笑い秋の下駄箱を覗きこみそして、一枚の紙を見つけた。

「泣いてばかりじゃあダメだよね?これ秋ちゃんが私達に残した手紙かもしれない。」

春子は手に取った手紙を見て言った。春子はその手紙に秋が学校を辞めた理由が書いてあるかもしれないと期待を膨らませ、二つ折りになっている手紙をひらいた。しかし、そこに書かれていた文字は春子の期待していた文字ではなく春子は手紙を床に落とし夏歩と冬馬にも手紙の文字が見えた。手紙には『今日の放課後東棟2ー3にて待つ』この一行だけだった。冬馬は床に落ちた手紙を拾い春子に「秋かもしれない」と優しく言い、夏歩も「放課後行こう」と春子に言ってくれた。そして3人は教師に怒られる覚悟で教室に向かい放課後を待った。


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