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窒息マーメイド

作者: うろ




見上げれば水面 伸びてきた白い腕

私はそれを 救いだと思った

掴めばそれは 呆気なく落ちてきて


「一緒に沈んで?」 透けて見えたのは 何かしら

君の頭上で ぶくぶくと泡が弾けた


息ができないの と君は泣いた

そんなバカな と私は笑って

君の、口を 両手で塞いだ



見下ろせば深海 伸びてるのは鱗の足

君はそれを 偽物と言った

私は人魚 素っ気なく答えてみて


「一緒に震えて?」 溶けて消えたのは 何かしら

君の私情で どくどくと脈が跳ねた


息ができないの と君は怒った

たったこの程度で と私は笑って

君の、 首を 両手で掴んだ



おかしいな 君があんまり苦しそうな顔をするから

息が できない!



「一緒に溺れて?」 浮かび上がったのは 何かしら

君の愛情で ぷつぷつと息が切れた

私の叙情に ばらばらと鱗が落ちた

君の頭上で きらきらと息が光った


息ができないの? と君は聞いた

息ができないの と私は泣いて

息をしようか と君は笑って

君の、 手を 両手で握った







 苦しいっていう事実から、目を逸らし続けてた。本当は道連れ相手じゃなくて、一緒に苦しんで、いつか私を引き上げてくれる誰かを、待ってたの。



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