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冒険者セラフィナ

 初日の依頼、薬草採取は、成果としては大満足だった。

 森の中で資料片手に薬草を見つけるのは大変だっが、探すのに集中していたら、いつの間にか探している薬草が淡く光って見えるようになっていた。

 セラフィナがリーゼに尋ねると、「勝手にスキルを習得するって、どういうことですか」と引いていた。

 一生懸命探すあまり、セラフィナは探索スキルを身につけていたようだ。

 それは、周囲に薄く魔力を這わせて、探しているものの形をイメージすると、ほのかに光って見えるようになるスキルだった。

 セラフィナは、面白がって探索スキルで色々と試してみたが、どうやら見たことがないものや、知らないものは探索できないようだ。

 それでも、便利なスキルを手に入れたと、二人で喜び合った。

 探索スキルのおかげで、とてもたくさんの薬草を採取することができた。


 翌日からは、依頼の効率は目に見えて上がった。

 探索スキルを応用し、薬草採取は半日で終わるようになった。リーゼが周囲を警戒し、セラフィナが魔力を広げる。役割分担も自然と固まっていった。

 一週間が過ぎる頃には,小型の魔物の討伐依頼も受け始めた。

 学園では選択する科目によっては魔法の講義もあり、セラフィナは攻撃系の魔法に少しだけ自信を持っていた。

 それで、初めての討伐で張り切ったセラフィナだったが、魔物は消えたが、目の前の草原も消えた。

 目の前には、黒く抉れた大地が残り、焼けこげた匂いが周囲に満ちていた。

「セラフィナさん。今、何が起きたのか、わかりますか?」

「……何が起きたのかしらね」

「では、説明します。セラフィナさんが、よっわい魔物を殲滅しようとして、力んだ結果、草原が消えました。自然破壊です」

「……ごめんなさい。今、復元するので、許してください」

 幸い、討伐成功の証となる魔物の魔石は残っていたので、討伐依頼は成功したと見なされた。

 それ以来、セラフィナは魔力コントロールのため、小型の魔物の討伐依頼を積極的に受けるようになった。

 とはいっても、低ランクの魔物討伐は多くない。受付嬢に相談して勧められたEランクの魔物の素材採集もこなし、着実に実績を積んでいった。

 滞在が長くなるにつれ、宿泊先も問題に上がった。

 それまでいた宿は居心地がいいし、お金にも困ってはいない。

 しかし、地に足がついておらず、これから何があるのかわからないのが、今の状況だ。討伐依頼や素材採集で、数日間宿を空けることもある。セラフィナは、無駄な出費だと思っていた。

 そのため、渋るリーゼを説得して、ギルドの女子寮に移動した。こちらは一ヶ月の家賃制だが、宿に泊まるよりはずっと安いのだ。


 三週間が過ぎる頃、魔物の素材採集依頼完了の報告をしに、二人はギルドの受付にやってきた。

 いつものようにセラフィナがカードを受付の魔道具にかざすと、カードがキラリと光った。

 何かしら、とリーゼを見るが、彼女も不思議な顔をしている。

 そこに、受付の男性職員が明るく声をかけた。

「おめでとうございます、セラフィナさん。Eランクに昇格です」

 その言葉に、周囲の雰囲気がざわりと変わった。

「リーゼさんも、上がっているはずです。カードを魔道具にかざしてください」

 言われた通り、魔道具にかざしたリーゼのカードもキラリと光り、カードの記号は「F」から「E」に変化した。

「お二人の持ち込む素材が良質で量があること、依頼に誠実なことが評価されました。今後とも、よろしくお願いします」

 登録から一ヶ月以内のランクアップは、将来優秀な冒険者になることが多い。若い女性冒険者の二人は、この日以来大いに注目を集めることになった。

 

 ――


 夜、女子寮の一室で、セラフィナはリーゼに髪を整えてもらっていた。

 ゲームの記憶を思い出してから、セラフィナは身の回りのことは概ね自分でやろうと思っているのだが、髪を結ぶことや、夜に整えることだけは、リーゼが譲らなかった。

「そういえば、お父様から、お手紙のお返事があってね」

 リーゼがセラフィナの髪を整えるこの時間は、一日の出来事の報告時間にもなっていた。

「ランクアップしたお祝いに、今度、プレゼントを送ってくださるって」

 セラフィナの嬉しそうな言葉を、リーゼは訝しんだ。

「……お嬢様。旦那様のプレゼントというお言葉には、気をつけた方が良いかと」

 セラフィナの髪を整え終えて、横に立ったリーゼは、真面目な顔で彼女を見た。

「旦那様と奥様は、お嬢様が人生で始めて落とした方達です。落とし方が、ハンパないのです。妙な方向のプレゼントを準備しているのに、違いありません」

 いやいや、とセラフィナは否定した。

「まず落とすって、何よ? 今までのプレゼントだって、お庭だったり小さな池のほとりのお家だったり、あと……あ、お菓子屋さんは、流石に断ったわよ? ほら、変ではない……ん?」

 言いかけて、セラフィナは、あれ?と思った。

 これまでは変なことはないと思っていたが、今思うと、なんだか違う気がする。主に、規模が。

 腕を組んで、うーんと考えた結果。

「やっぱり、変ね。遠回しに、お断りのお返事をしておきましょう」

 それがいいです、とリーゼも賛成した。

 翌日、セラフィナは両親にプレゼントはいらない旨を手紙に記したが、それ受け取った両親は、「なんて謙虚なんでしょう」と間に受けなかった。

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