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 私は完璧美少女JK諸刃剣(もろはつるぎ)だ。


 完璧美少女JKとは、成績運動神経容姿性格、とにかく全てが完璧な美少女JKのことを指す。


 つまり成績運動神経容姿性格すべてが完璧な私は……って、あ、ちょっとやめて!お金を渡してくるのは!それ、一番リアルに拒絶されてる感じがしてほんとに嫌です!それならまだ、自己紹介文を削除される方がましだ!ちょっと!その箱は何だ!?貯金箱じゃないよな!?今まで少ないお小遣いの中、やりくりしきてきたお金を、ここで私の自己紹介文を封じるためだけに使ってるんじゃないよな!?やめろ!そんなにお金を払いたいなら、この後、この小説が賞取って出版されるから、その時に発売される私のグッズの方にお金を払え!もしくは私がチェキでもなんでも撮ってあげるから!あ!何でアヒル型の貯金箱に入ったお金を私に投げてぶつけてくるんだ!やめろ!500円玉をぶつけるな!よーく考えよ!お金は大事だよ!


 ……ふう。まったく……そんなに私と一緒に写真が撮りたいならお金を投げないで普通に渡してくれればいいのに。恥ずかしがり屋さんめ。もしくはあまりにも私が完璧すぎて、近づくのさえ恐れ多くて、お賽銭みたいに投げるしかなかったのかな?だったら仕方がないかー!


 ……ん?


て、あれ?


 そういえば、またしても私、自己紹介文を邪魔されたような気がするんだが?


 あれ?


 おかしいな。


 その問題は先ほどの30ページにも渡る私のお叱りで、解決したはずなのだが……。まさか、ほんとに作者によって削除されてたとか?いやいや、流石にそこまでするわけないよな?そうだよな?

 

 ま、黙っていてもその答えは直に分かることだし、棚上げしておくとして。


 改めて、もう何度目になるか分からない、悟空かよってくらい気を取り直すことにして。


 要するに、こんな風に私には、今(ちまた)で流行っている文字通りの投げ銭というものが行われるほど、たくさんのファンがついている、完璧で美少女なJK、つまりは完璧美少女JKであるというわけだ。


 そして完璧美少女JKは、そうであるが故に、全てのことを完璧にこなさなければならない。

 

 勉強、運動、芸術、エトセトラ。

 

 そして、そう。それは、食堂で食券を買う時なんかも。


 


 うちの学校は、学食が人気だ。

 

 公立であるにも関わらず、飽きさせない味、安価な値段、あふれんばかりのメニュー量と、三つのAが揃った3Aの食堂、トリ●ルAの食堂として、完璧な私が通うにふさわしい人気を博している。え?お前は3Aじゃなくて3Kだって?そんなに褒めないでよ。確かに私は完璧、カンペキ、KANPEKIの3Kだとよく言われるけれど。え?それじゃ1Kだって?安い部屋に住みやがってって?部屋も器狭いって?うっせばーかばーか!


 とまぁ、うちの学校の食堂はそんな人気の食堂というわけで、昼食時の食券販売機前はかなり混む。コミケの人気サークル並みに並ぶ(具体的には変好●などで有名なSU●E先生のサークルとか、最近はあまり出展していないが、よ●実のトモセシ●ンサク先生とか、あとは……おっと、これ以上は流石にやめておくか。とにかくS●NE先生!挿絵担当お願いします!土下座)。


 なので普段はその混雑に巻き込まれないために、休み時間なり空き時間なりに、事前に食券を購入しておくのだけど、今日は午前中の授業が全て移動教室で、物理的に購入する暇がなかった。


 そういうわけで、アーリーチケットを持っていない私は、久しぶりに、ここが学校であるが故、スマホもいじれず、ただ自分の番が来るまでひたすら待ち続けるという、悪く言えばただの苦行、よく言えば空腹という名の最高のスパイスを倍増させるための時間に興じているというわけだ(……当日空き時間がないなら前日に買っておけという意見も聞こえてくるが無視することにする。理由はご想像にお任せする。読者の皆様に想像力を鍛えてほしいという完璧な私からの完璧な配慮だと思ってほしい。決してそんなの思いつかなかったとかそんな理由ではない決して)。


「(……にしても、列、全然進まないな……)」


 前を見る。


 コミケの整然とした列と違って所々蛇のように曲がっている、文字通り長蛇の列は、多少短くなったものの、まだとぐろを巻けるくらいには長い。


 原因は大体分かっている。


 釣銭や両替による遅延だ。


 当然、代金と同額のお金を払えば、使われる時間は機械がチケットを吐き出すだけで済む。


 しかし、料金が超過したりして、釣銭や両替が発生してしまうと、その分、金を吐き出す分余計な、蛇だけに蛇足の時間が発生し、このように遅延してしまうというわけだ。


 ……まったく。ちゃんと用意しとけよなぁ!


 コミケと同じだ。


 コミケは一つのサークルが販売できる範囲が狭いため、その特性上、大量の客を(さば)くことが難しく、どうしても待ち客が多く発生してしまう。


 だからサークル側で対処が難しい分、客側がサークル主側の釣銭事情も考慮して、欲しい商品分の丁度の額をあらかじめ用意し、極力後ろがつっかえないように工夫しているというわけだ。


 コミケに初めて参加する人。絶対に事前に商品の値段は調べておくこと!そして念のため、1000円札は50枚。百円玉50枚、500円玉20枚は準備しておくこと。できれば小銭入れを買っておくと尚よし!分かったか!


 ……そう言えば、最近SNSで、コミケのサークル側はもっと釣銭を用意しておけだの、電子マネーやクレジットカードを導入しろだの、そういう意見を見かけることがある。

 

 確かに、サークル側もある程度釣銭を準備する必要はあるだろうし、電子マネーやクレジットカードが導入されれば便利に買い物ができるだろう。


 けど、どうだろう。もはやそういう文化になっているものに、あれこれ言うのは正直酷ではないだろうか。

 

 コミケというのは、同人誌やその他グッズを買う場所でもあるけれど、同時に作者さんと購入者、つまり個人と個人がやり取りする場であったはずだ。


 個人と企業ではない。


 なのに、サークルさん側の善意であればともかく、購入者側からやれ電子マネーなどクレジットカードなどの準備しろ云々の要求するのは間違っていないだろうか。そもそもカードや電子マネーが使いたいなら通販を利用すればいいのだ。そのためにメロンブ●クスさんやとら●あなさんがわざわざサイトを作ってくれているのだ。そこまで準備してくれているのにそれでもまだ尚ぐちぐちいう奴は……これはもうはっきり言う。来なくていい。コミケはそういう文化なのだ。文化を受け入れられないのなら来なくていい。文化とはそういうもののはずだ。結婚式の時にご祝儀を持って行かなければいけないという法律はないが、持って行かない奴は子供以外いないだろう?それと同じだ。確かに常識では、お金の面に関しては店側が配慮するのが普通かもしれない。けど、コミケは普通じゃない。文化なのだ。全てに常識を当て嵌めようとするな。文化に参加したいのなら、少しくらい常識から外れることを受け入れろ!それが文化だ!受け入れられないなら来るな!以上!


 ……なんの話をしてたんだっけ?


 ……ああ、そうだ。釣銭の準備云々の話をしてたんだっけ。


 まぁ、結論としては要するに私は完璧美少女JKで、きちんと釣銭が出ないよう、周りに配慮できる人間だということだ。

 

 なんなら夏コミの時なんて推しサークルの皆さんに冷えたポカリスエットを提供するぐらい出来た人間なのだ。シャッターサークルの皆さん。エアコンの風が当たりくい場所のはずなのに毎年ほんとご苦労様です。

 

 さて、と。


 とか言っている間に(別に実際に声に出していたわけではないが)いつの間にか私の順番が回ってきていた。


 それじゃ、まだ夏にもなっていないくせに何故年中販売してるんだ、お前はまだ始めちゃだめだろと言いたくなる、500円の冷やし中華でも購入していきますかね。500円玉投入っと。

 

 ――チャリン。

 

 ――カラン。

 

 ――チャリン。

 

 ――カラン。

 

 チャリンカランチャリンカランチャリンカラン。

 

 ……………。


「……すいません。ちょっと待ってください」


 ……500円玉を入れても入れてもその度に、さっき入れた500円玉がそのまま落ちてきて、結局、私は後ろの上級生に頭を下げ、千円を全て百円玉に両替して、100円玉を五枚投入し、やっと食券を手に入れた。


 ……ほんと、何で新1000円札や5000円札や10000万円札はすぐに使えるようになったのに、令和の500円玉は、まだ使えない所が多いんだろうか。

 

……やっぱり、電子マネーぐらいはあった方がいいのかもしれない。

 



 ご一読ありがとうございました。今回も私の完璧美少女ライフを楽しんでいただけましたか?え?ほとんど金の話しかしてなかっただろ?最後、両替してただろ?何の話ですか?記憶にございませんなぁ(一万円札を読者の手に)。


 よしっ!読者も快く納得してくれたところで、次回はいよいよあのお方が登場します!皆さんお待ちかねの蝶園――えーっと、ギャル委員長です!お楽しみにー!

 

 

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