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第五章 完璧美少女JKは、交友関係だってかんぺ――


 私は完璧美少女JK諸刃剣(もろはつるぎ)だ。

 

 完璧美少女JKとは成績運動神経容姿性格、とにかく全ての能力が完璧な女子高生のことを指す……っておいその目は何だ。やめろ!そんな可哀そうなもの見る目で私を見るんじゃない!あ、こら、ハンカチを差し出すな!泣いてない!


 ……こほん。


 この小説もいよいよ終盤を迎えようとしていて、このやりとりもこれで最後かと思うと、若干寂しい気もする……いや、しないな。全然しない。ひたすらムカついてる気がする。……が、しかし、まぁ、とにかく最後なので、気を取り直し、気を引き締めて行こう。油断せずに行こう。


 つまり、成績運動神経容姿性格全てにおいて完璧な女子高生である私は、完璧美少女JKというわけだ。


 お前らがどんなに車に弾き飛ばされた砂利みたいに見下した視線を私に向けてこようとも、私は完璧美少女JKだ。どんなに(ののし)られたところで私は完璧美少女JKだと言い続けるんだ。そうなんだ。


 そして、完璧美少女JKは完璧なので、完璧故に、すべてのことをそつなくこなさなくてはならない。


 そう。それはこれまで紹介してきた中でも最も重要で、かつ、人間として最も根本的なもの。


 そう。


 交友関係においても――


「……友達ってどうやって作ればいいの?」

「帰れ」


 昼休み。


 いつもの食堂。


 友達の作り方をらのに尋ねたら、目の前の冷やし中華よりも冷たい視線で、大富豪の8みたいに切り捨てられました。


 …………………………。


 ――くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!


 心の中で、私は咆哮(ほうこう)した。


 ああ、そうだよ!


 そうなんだよ!


 もう認めるよ!


 これだけは!(?)


 これだけは、私は全く完璧じゃないんだ!


 ああ、認める!


 確かに皆さんご存知のように私は誰もが認める完璧美少女JKだけれど!

 

 しかし!

 

 しかしこれだけは!

 

 こと交友関係においてだけは、私は完璧どころかマイナスに近いんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!


「真昼間からそんな人前でト●ロみたいな大口開けて号泣するなよ……大丈夫だって。その奇行からも分かる通り、もう誰もお前を完璧美少女JKだなんて思ってないって。期待してないって」

「ぐすん……そっちの方を慰めないで。私が泣いている理由はそっちじゃない。それに、私、完璧美少女JKだもん。嘘じゃないもん」


 ト●ロがいたことを信じてもらえなかったメイち●んみたいな台詞を吐いた私は、机にふせる。


 が、すぐにそういう話がしたかったんじゃなかったことを思い出し、私は冷やし中華がこぼれない程度に机を叩いて身を乗り出し、先ほどどっかの新選組三番隊隊長ばりに悪●斬と、私を切り捨てて来た女に優しく問いただした。


「ねぇらの!私たち友達でしょ!?いいじゃない教えてくれたって!ねぇ!らのはどうやって友達作ってるの!友達なんだから答えて!」

「その問い方のどこが優しいんだよ。その友情の確認の仕方止めろ。それ一番友達無くす奴だから。あと、友達作りたいならいい加減その呼び方やめろ。今この瞬間にも友達ひとり無くしそうだから」

 

 私とは違い、とっくに冷やし中華を食べ終え、食後の水を飲んでいたらのは、またも呆れたように腕を組み、そんな風に切り伏せて来た。くそ……このクール女。こっちがこんなにも真摯に(?)お願いをしているっていうのに!


 しかし……。

 

 そう。


 神戸らのはこう見えて、この完璧美少女JKの私を差し置いて、私よりも友達が圧倒的に多いのだった。

 

 所属しているクラスが違うから見かけることはあまりないが、移動教室などではいろんなクラスメイトと話しているところをよく見かける。

 

 ……こんなに完璧美少女な私でも友達が少ないのに、いったい何故こんな胸のカロリーもテンションも低い女の方が、豊かな交友関係を築いているのか。胸は全く豊かじゃないのに何でこんなに友達多いのか。


「そこまで唯一の友達の前で失礼なこと考えといて、友達がいない理由が分かんないんだったら、お前もう病気だな。あと、テンションが低いのはお前と話してるときだけだ。分かったら私のテンションが冷めきってしまうのと、腹が煮え切ってしまう前にさっさと帰れ」

「そんな!いいじゃない!少しくらい分けてくれたって!たくさん持ってるんでしょ!」

「分けれるか。友達はそんな金みたいなものじゃない」

「いいじゃない!友達でしょ!」

「ループさせんな。友情を盾に金を借りようとする典型的なクズ大学生みたいになってんぞ……」


 むぅ……イージスの盾だな……。


 まるで相手にされない……。


 ……仕方ない。


 できればこの手は最後まで使いたくなかったが……こうなったら出すか。最終兵器。


「……何してんだ?」


 私はらのに左肩を向けるようにして座り直した。


 そして眉をハの字に曲げ、口を半開きにし、仕上げに絶望と希望がないまぜになっているような、とびっきりの悲し気な顔を作り上げる。


 この顔を見て、次の台詞(せりふ)を言って、オチなかったものは、いない!


「神戸先生……友達が、欲しいです……」

「諦めろ、試合終了だ」


 地獄に落とされたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!ちょっと!これじゃあ不良のままじゃないか!バスケも続けられない!


「見捨てないで!この薄情者!天に立つ鬼畜眼鏡!」

「それは安西(あんざい)先生じゃなくて藍染(あいぜん)様だ。わかりにくいわ。錯覚してんのか。っておい!こんな衆人環視の中、鼻水垂らして足に縋り付いて泣きついてくんな!ちょ!分かったから!聞いてやるから離せ馬鹿!」


 私が諦めずになんとか食い下がると、諦めるのを諦めたのか、らのは私の背中を蹴とばし、床に転ばすと渋々席に着いた。


 私は食堂の壁にぶつかるも、口元を吊り上げてすぐに起き上がる。


 ふ。流石私。計画通り。


 らのは胸のこと以外に弱点がないと思われがちだが、極度の恥ずかしがり屋でもあるのだ。


 まったく……。自分の狡猾さが怖いぜ。……なんだか蹴られた背骨がつながっていないような気がするが、まぁ気のせいだろう。


 やっと席に戻った私を確認すると、らのは腕を組み、肩を竦めて、


「ていうか、お前、友達少ないって言うけど、私以外にももう一人、友達いるだろ。ほら……お前がいつもセクハラしては骨を折られたり、最近は近付く度にカッターナイフで切られそうになってる、あのギャルっぽいやつ……」

「え?誰の事?私、セクハラなんて最低な行為一度もしたことないけど?」

「お前、そんな澄んだ目で……。そりゃあカッターナイフや彫刻刀で斬りつけられるわなわな……私もお前を包丁で斬りたいんだけど、ついでに縁も切りたいんだけど……ほら、あいつだよ、お前がいっつも良いお尻って言っ――」

「ああ、ギャル委員長ね」

「そっちで思い出すな。包丁振り回されながら追いかけまわされて当然だ。よく友達やってくれてんな……」

 何故かげんなりしているらのは置いておくとして、たしかにギャル委員長はらのと同様に大親友だ。

しかし、もちろんギャル委員長は相思相愛の大親友ではあるのだが、けど、二人には悪いが、私はもっと友達が欲しいのだ。


 完璧美少女JKとして、交友関係が完璧と断言するためには。


 流石に友達が二人だけでは、流石にそう名乗るには、説得力に欠けるというものだろう。……それにギャル委員長はもう出番がないから、読者の皆様にこれ以上、ギャル委員長との友情はアピールできないし。


「出番ないとか言うな……あと、交友関係をアピールするためだけに友達を使うな。そういうところがお前に一人も友達がいない理由だぞ。しかし……ふーん。友達を作る方法ねぇ……」


 流石ツンデレ日本代表神戸らの。


 文句を言いつつも、律儀(りちぎ)にも頭を(ひね)ってくれるらしい。


 先程もさりげなく、らのの友達リストの中から私を削除する振りまでするという手の込んだツンデレっぷりを披露してくれた。もう!そこまでキャラに徹しようとしなくていいよ?


 らのはしばらく眉根を寄せ頬杖を突き、さも私の相手をするのが面倒なような、気だるげな風を装っていたが(こういうところも流石ツンデレだ)、やがて、ふんと、不満気に鼻を鳴らし、訊いてくる。


「まぁ、無難に同じ趣味を持つ奴を見つけるとかだろうな……お前、そういえば趣味なんだっけ」

「完璧美少女JK」

「よし。まずはそれ言うの止めろ。良かったな友達作る方法分かって。それじゃ」

「帰ろうとしないで!料理!料理が趣味!一人でもできるから!強いて!強いて一つ挙げるならだけど!」

「公衆の面前で抱き着いてまで止めてくんな……あと、理由が悲しい……はぁ……料理ねぇ……」 

 

 羽交い絞めにすることで再度引き止めることに成功すると(胸がスリムなので邪魔してくる球体が無くやりやすかった)らのは腕を組み、胸……ではなく眉根を寄せる。


 そんなことをしても胸は大きくならないぞと口走りそうになったが、その前にらのが「ああ」と中空を見つめて呟いたので言わずに済んだ(流石に言ったら胸を、しかも心臓あたりを狙ってぶん殴られていただろうから助かった。前に言ってぶん殴られたことがあるので分かる)。


「家庭部に体験入部でもすれば?」

「家庭部?」

「そ。確かあったはずだ。前、『先生のように将来男にモテまくりたい生徒は家庭部にくること』、ってあのくそったれ家庭科教師が言ってたような気がする。部員も少なかったはずだし、即戦力なら歓迎してくれるだろ。お前、基礎スペックだけは無駄に高いんだから、余計な事喋らず、料理の話だけしてれば友達できるだろ。いいか?絶対に料理の話以外はするなよ?あと、自分を上だと思わず格下だと思って接しろ。それと、基本的に言われたことだけやれ。そんで絶対に私から提案されて来たことを言うな」

「ね、ねぇ、らの。あれ?ひょっとして、私、馬鹿だと思われてる?ていうか、最後の、何気にひどくない?」


 言うと、「今更気付いたのか。馬鹿だな」と傷口に塩を塗り込んできて、椅子の背もたれにもたれられるだけもたれるらの。


 あ、あれぇ?


 らのの冷たい態度は相変わらずのツンデレだとして、もしかして私、らのだけではなく、学校中の生徒から忌避されてるんだろうか?


 ……いやいや。


 いやいやいや。


 おかしいおかしい。


 だってこんな完璧美少女JKと同じ学校にいられるんだぞ?いったい何が不満だと言うんだ?むしろ私が同じ学校であることを誇るべきだろう? 訳が分からん……いや、でも結果が友達二人だけだし……。

 

 ま、まぁ、いい。

 

 いや、良くはないが、全く良くはないが、今は友達を増やす作戦の方が重要だ!……なんだか馬鹿みたいな作戦だが、しかし、方法は分かった。ならばあとは実行に移すだけ。

 

 思い立ったが吉日。完璧美少女JKは、行動力も完璧なのだ!


「よし。それじゃさっそく放課後行ってくるわね。見てて!絶対友達百人連れてくるから!」

「……あまり強い言葉を使うなよ。弱く見えるぞ」

 



 

 ご一読ありがとうございました。完璧美少女JK諸刃剣です。ちょっとみぞおちに穴が開いていますが、平気です。

 

 さて、最終章に入りましたが、皆さんに残念なお話です。今まで散々、この作品は私の完璧美少女JKライフをお届けする物語だと、それ以外は全て作者の妄想だと語ってきましたが、今回以降のお話は全て、本当に全て!作者の妄想です。だから、完璧美少女JK諸刃剣は前回で最終回なのでした。

 

 いやあ、残念。本当に残念。


 でも、なんとなく皆分かってたよね? だってこの完璧美少女JKに友達が少ないなんて、そんなあからさまな弱点あるわけないもの。


 私のことが大好きな読者の方なら既に分かり切ってたことだよね?


 それじゃ、また次回、どこかでお会いしましょう。さようならー(諸刃様には申し訳ございませんが、この章含め、以降も全て、諸刃様の身に起きた事実です。当然、当該作品は前回で終わりではありませんので引き続きお楽しみいただけると幸いですby作者)

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