表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

第2話『回復術師リィラ』


 ──平和なだけの世界だった。


 国民とすれ違っても挨拶をされなくなった。


 俺が何を成してきたのか。

 

 それまでも忘れてしまったらしい。


 初めましての様な態度。


 見た目が汚らしいからなのか、人から避けられる。


 魔王を倒した魔法使いは、もう存在しない架空の人物に成り下がっているようだ。


 食事は取らない。


 腹が減らないから。


 喉も渇かない。


 吐き戻しそうだから。


 街を徘徊する変質者がいると噂。


 それは、俺のことだった。


 目的が無いから、ふらついているだけ。


 ──朝も昼も夜も。


 ずっと……歩き続けた。


 歩き続けていると、ボロボロのローブを引っ張って呼び止める者がいた。


 人に話しかけられるのは久々だ。


 こいつに対して、迷惑なことでもしたんだろうか。


 「──私の傭兵になりませんか」


 変な誘い文句だった。


 目が合った時、何かを思い出す。


 「……ヒーラー!?」


 ヒーラーが頭部を粉砕されたこと。


 それ以前の記憶も蘇る。


 共に旅をしたヒーラーの顔が一瞬だけ。


 頭にふっと湧いて消えていった。


 「なんでヒーラーだって分かったのよ」


 「……すまない。知人に良く似ていた」


 凛としていて美しい。


 金髪の小娘。


 ヒーラーと比べると、少し無愛想であることくらいか。


 こんな亡霊になんの用があるんだ。


 悪ふざけで絡んで来ている様にしか思えなかった。


 「あなた……強いわよね」


 「強そうに見えるのか。他を当たれ。俺は風属性の魔法使いだ」


 「そんなこと分かって言っているのよ」


 「馬鹿にしてるのか?」


 「してない。人を探しているの」


 「勝手に探せ」


 「私は回復術師よ。戦える訳ないじゃない」


 「誰と戦うんだよ。もう魔物なんかいないんだぞ」


 「もしもの為の保険。あなたを傭兵にしたいわ」


 数ある中でなんで俺なんだ。


 強そうな奴は、いくらだっているじゃないか。


 可哀想に見えたから声をかけたのか。


 こんな小娘に同情されるほど、落ちぶれてなどいない。


 それに……話していると頭が痛くなる。


 関わり合いたくなかった。


 仲間が死ぬところなんて、思い出したくもない。


 心にしまうことにした。


 「……嫌かしら」


 気が変わった。


 どうせすることなんて無かったからだ。


 ただの暇潰し。


 そう思うことにしておこう。


 「……誰を探しているんだ?」


 「あなたには関係の無いことよ」


 「黙って護衛しろと?」


 「そういうこと。返事はどうなのよ」


 「分かった……行こう」


 「なら決まりね。私はリィラよ。よろしくね傭兵さん」


 「傭兵って呼ぶな。ウィンと呼んでくれ」


 なんで断り切れなかったんだろう。


 ヒーラーに似ているからなのか。


 過去の罪悪感からか。


 どうでもよくなってしまったのか。


 何もせずに、リィラについて行くだけ。


 干渉はしない。


 それだけは、徹底しておこう。


 リィラの方もあまり、詮索はされたくないらしい。


 お互いに好都合。


 国を離れることにする。


 この国にいる事に、こだわり過ぎていたのかもしれない。


 なんでこんな国にいたんだっけか。


 それすらも忘れてしまった。


 リィラの背中を見つめる。


 俺は後について歩くだけ。


 目的地すら分からないまま。


 ひたすらに進むことにした。


 なんだか、また旅に出るみたいで懐かしく思う。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、『ブックマーク』と下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!


※感想、レビュー等、お気軽にお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の☆☆☆☆☆を押して頂けると執筆の励みになります!!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ