何も起きない、カフェを舞台とした小説です
THE CAFE
梶原慶一
3月も半ばに差しかかった水曜日
雨が降っている
p.m6:30
慶一は独りぼんやりとしている
珈琲を飲み終わり、下唇を噛んでいる
この男の癖である
年の頃は40代前半に見える
家に帰れば食事は用意されている
時計に目をやった。帰宅するのが面倒だと思った
家族生活に不満は無い
考えるとも無く思索している
外は冷えるし、多少の気だるさはある
それが仕事上の疲れなのか、ストレスなのか判断がつかないが、そんな事に
頭を回すのも馬鹿馬鹿しかったし30分もすれば回復するだろうと思っている
Cohibaに火を点ける
ゆっくりと思考する
外に目をやると、男性3人が傘を持って、足早に歩いている
外食する気は無い
慶一は車に乗りエンジンをかけた
忘れた物がないか目で確認した
音楽をかける気分では無かった
もっともカーコンポは1年以上前に壊れている
携帯で鳴らす事にも不満は無い
家までは30分といった所である
車の中では思考はしない
20時も過ぎると、ロクな考えは浮かばない
国道を事務的に走っていった
興味の有る無しに関わらず軽い相槌しかしない
それで構わないと思っている
特別な哲学は無い
気がついた頃にはそんな対応になっていた
無口な方だとは思っているが、意思を伝える程度には会話をした
P.m3:00
慶一は身支度を終えて外に出る
雨が降っている
強風と言うわけでは無いが風が少しある
グレーのコートを羽織っているが、少し寒くマフラーを取りに戻り車に乗る
傘は必要ないだろう
街に向かう
ガソリンが少なかったが、帰りにでも入れるつもりでいた
目的は決まっていなかったが、書店に行って小説を買いたかった
雨の日の休みの日は嫌いではない
冬の雨の日は、何処と無く異世界を思わせる
朝から何も口にしてなかったが、いつもの事である
食事と言うものにあまり興味を持ってない
もちろん年相応に色んな料理を食べて来たが、胃に入ってしまえば一緒だと考えている




