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公僕戦線 (22):無責任の連鎖と福祉の絶望

責任の鎖か、無責任の霧か。


制度戦・本格化。厚生労働省・社会保障局の無責任の連鎖へ。相互扶助の専門家、渡辺明の戦いだ。


「制度の安定」を名目にした悪意が、「無責任の連鎖異形」を具現化。異形は、責任の所在を希釈し、国民の絶望を無視する。


渡辺は、『連鎖の鎖』をもって、公僕の全責任と「目的責任の連鎖」を証明し、この霧のような悪意を打ち砕けるか。

1.冒頭:厚労省の重さと渡辺の責任への誓い

特命係は、次に厚生労働省の庁舎、特に社会保障局のフロアへと移動した。この空間は、国民の生活と命に直結する制度の破綻によって生まれた「諦めと絶望の重さ」が、物理的な圧力のように漂っていた。そこには、情報省庁の冷たい論理や、軍事省庁の鋼鉄の権威とは異なる、人間の感情的な苦痛が制度の隙間に染み込んでいるような感覚があった。


今回の任務は、渡辺明(38歳)が中心となる。彼の異能『連鎖の鎖』は、公務の責任と国民の相互扶助の連鎖を具現化する力だが、その鎖は、「無責任」という、最も掴みどころのない、そして倫理を麻痺させる闇に立ち向かう。渡辺は、自身が福祉担当公務員時代に経験した、無責任な制度運営による高齢者の孤独死という悲劇的なトラウマを胸に、この戦いに臨んだ。彼の心の中には、「責任を全うできなかった過去」への贖罪の念が、鎖を強く握りしめさせていた。


「田中課長。この省庁の悪意は、『縦割り』の結果として生まれた『無責任の構造』です。彼らは、国民の生活を預かっていながら、『制度のせい』『マニュアルのせい』、そして最終的には『個人の努力のせい』にして、組織としての責任を放棄している。私の『連鎖の鎖』が示す責任の連鎖は、この絶望の空気に触れて、もろくなっている。責任の連鎖を、組織全体で再構築しなければ、鎖は絶望に打ち勝てない」渡辺は、強く鎖を握りしめるが、その手には僅かな震えがあった。


彼らの前に現れたのは、社会保障局の頂点、「社会保障制度審議官・黒田(60代)」。彼は、疲弊しきった、責任の重さから逃げ続けた役人のような外見をしていたが、その瞳の奥には、システムの名の下に倫理を停止させた冷徹な論理が宿っていた。


「特命係。君たちの『責任の連鎖』という理想は、現実の厳しさの前では無力だ。社会保障制度は巨大すぎて、誰か一人が全責任を負うことなど絶対に不可能だ。我々の公務は、制度という冷たい壁を設けることで、公務員を無限の責任から解放することだ。無責任こそが、この巨大な組織を崩壊から守るための必要悪なのだ。公務の安定のためには、個人の責任は切り離さねばならない」


田中課長は、黒田の言葉に潜む巨悪の核を見据えた。「同志が最も強く求めたのは『公僕の全責任』だ。異形の核は、『組織的無責任の正当化』、すなわち公僕の責任逃れと、国民の絶望の連鎖にある。彼らは、制度を無責任の盾に変えた」



2.予兆:制度的無責任の悪意と国民の絶望

渡辺は、小林の協力のもと、社会保障局の内部資料、特に給付申請の却下履歴と国民の陳情記録を分析した。彼らは、ある地域の年金・福祉制度の破綻事例を発見した。その原因は、制度設計の複数の欠陥(例:申請書の複雑化、審査基準の曖昧化)と、それを認識しながらも「自分の部署の責任ではない」として是正を怠った公務員たちの連鎖的な無責任にあった。この無責任は、制度によって正当化されていた。支援を求めた国民は、たらい回しにされ、最終的に絶望の淵に追いやられていた。


「これは、公僕としての誓いに対する最大の背信行為だ!国民の命がかかっているのに、誰も責任を取ろうとしない組織など、存在する価値がない!制度の欠陥を国民のせいにするなど、言語道断だ!無責任は、公務の崩壊を意味する!」渡辺の怒りが、過去の悲劇の痛みを伴って爆発し、『連鎖の鎖』の力を、「責任を絡め取る鉄の鎖」へと変える。


黒田は、破綻事例の文書を指さし、渡辺を冷笑する。「渡辺くん。君の正義感は、システムの前では無力だ。この制度は、人間の感情で動いていない。誰のせいでもない、システムの論理で破綻したのだ。公務員は無責任であれ。それが、組織の安定を守る。この無責任の連鎖こそ、巨大な組織を維持する唯一の防壁だ!個人の感情で動けば、システムは持続しない!」


黒田の思想が臨界点に達した。監査室の空間が、「無責任の連鎖」という、掴みどころのない霧と、無数の「責任転嫁の文書」、そして国民の絶望の叫びの残響で歪み始めた。それは、特命係を無力感で包み込み、渡辺の鎖の力を無効化するための、巨大な「無責任の連鎖異形」へと具現化していく。異形は、責任の所在が常に曖昧で霧散する塊の様相を呈しており、その存在自体が「責任の回避」という論理を体現していた。



3.バトル開始:無責任異形と『連鎖の鎖』の全責任

黒田の思想が具現化し、「無責任の連鎖異形ノー・レスポンシビリティ・デーモン」が出現。それは、責任の所在が常に移動する霧散する体と、「制度のせい」「知らない」「関与していない」という責任回避の言葉で構成された、最も掴みどころのない怪異だった。異形は、「責任の無限の希釈」を主張し、渡辺の「公僕の全責任」を「非現実的な重荷」として否定した。


異形は、渡辺に強烈な精神攻撃を加える。『渡辺明!お前の鎖は、無責任の霧には絡まない!公務員は無力だ!この巨大な組織で、個人の責任など意味がない!お前の過去も、無責任のシステムが産んだ悲劇に過ぎない!絶望を認めろ!無責任の連鎖こそ、公務の真の姿だ!』


田中課長が叫ぶ。「渡辺くん!責任の哲学は、連鎖の肯定にある!公僕の魂を、無責任の霧にぶつけろ!鎖は、組織全体の責任を絡め取る!公務の目的に連なる鎖を具現化しろ!」


渡辺は、異形の無責任の霧に鎖の力がすり抜ける感覚に苦しみながらも、己の異能『連鎖の鎖』を覚醒させる。彼の鎖は、責任回避の論理ではなく、「国民の生活を守る」という公務の目的に連なる、「目的責任の連鎖」を具現化し始めた。この目的責任の鎖は、組織の階層や部署の壁を無視し、公務の究極的な目標に向かう、倫理的な必然性を帯びていた。


「特命係は、連携する!公僕の全責任を証明する!無責任の霧を晴らす!」


佐藤が『地盤操作』で、無責任な制度によって崩壊した国民の生活基盤を具現化し、異形の霧散する体に「絶望の重さ」を突きつけ、物理的な重圧を与える。小林が『予算の鉄槌』で、無責任な制度運営によって生じた巨額の無駄な予算の矛盾を叩き、異形の論理的な基盤を攻撃。西田が『公務マニュアル』で、「公務の目的責任は連帯して負う」という絶対的な原則を論理的な光として異形に照射。鈴木が『広報の呪文』で、「公僕は、国民の命に全責任を負う」という広報の真実を叫び、異形から倫理的な正当性を剥奪する。



4.クライマックス:連鎖の鎖と責任の哲学

特命係の連携により、異形の無責任の霧は、公務の目的責任という具体的な論理と、国民の絶望の重さによって、収縮し、一つの固形化した責任の塊として形を成し始める。渡辺は、「無責任の連鎖」という悪意を乗り越え、社会保障を担う公僕の真の使命を悟る。


「無責任は、安定ではない!それは、公僕の存在意義の放棄だ!公務員の責任は、『誰も責任を取れない』という論理で逃れられるものではない!制度全体、公僕全員が、国民の生活という一つの目的に全責任を負わなければならない!公僕の鎖は、全責任を絡め取る!」


渡辺が、『連鎖の鎖』を最大限に発動。異形の責任回避の論理に対し、「公務の全責任を絡め取る鎖」を具現化し、異形全体を強引に締め上げる。鎖は、公務員一人ひとりと国民の命を繋ぎ、「責任の連鎖」を再構築した。異形は、組織全体の責任の重さに耐えきれず、内部から爆発。その爆発は、責任回避の論理が公僕の倫理によって完全に否定されたことを意味していた。


渡辺が放ったのは、厚生労働省公僕の真の真言(呪文)。


「責任の哲学は、回避ではない!国民への『全責任の連鎖の誓い』だ!公務員は、制度の壁で己の責任を隠す者ではない!公僕の責任は、組織全体で国民の生活を守ることにある!」


無責任の連鎖異形は、「公僕の全責任」という、彼らが否定した公務の本質に耐えきれず、完全に崩壊。黒田は、「無責任の絶対性」が「連鎖の鎖」によって打ち砕かれた現実に、打ちのめされた。



5.終幕:厚労省の終結と相互扶助の闇への移行

渡辺が示した公僕の全責任の原則により、黒田の不正な制度運営と、それが引き起こした国民への背信行為が公的に暴かれ、彼は逮捕された。


田中課長は、渡辺の『連鎖の鎖』が、「無責任の構造」を浄化したことを認めた。


田中課長:「同志がこの場所で封印しようとしたのは、『公務員の責任放棄』という闇だ。しかし、この無責任の連鎖の結果として生まれた、国民の相互扶助を否定する悪意が残っている。次なる戦いは、厚生労働省の福祉政策室だ。そこには、『孤独な自己責任論』という、最も冷酷な闇が潜んでいる。渡辺くん、君の鎖は、制度の壁ではなく、国民同士の繋がりを証明しなければならない」


特命係の戦いは、「国民の相互扶助」という、公務の最も重要な根幹へと進む。


∗∗第22巻∗∗

∗∗制度戦進行中∗∗

全責任の証明と、孤独の深淵。


お読みいただきありがとうございます。


渡辺の『連鎖の鎖』は、「無責任の連鎖異形」を打ち砕き、公僕の責任は組織全体で負うという原則を証明しました。


しかし、この無責任の結果、国民生活には「孤独な自己責任論」という、さらに冷酷な闇が残されています。次巻(第23巻)は、厚生労働省・福祉政策室へ。渡辺と佐藤が連携し、相互扶助の鎖を再構築します。


『公僕戦線第23巻:孤独な自己責任と相互扶助の鎖』にご期待ください。

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