第6話: 砂漠の幻と、裏切りの砂塵
「タカシ、馬車が……もう限界だ!」
佐藤の叫びが、灼熱の砂漠に響く。俺、細山タカシのグループは、山岳都市での激戦をなんとか乗り越え、「山岳都市」のスタンプを押したが、馬車はボロボロ、食料はほぼゼロ、田中の足の怪我は悪化する一方だ。地図予測スキルが次の通過ポイント「砂漠のオアシス」を示すけど、このルートは地獄だ。太陽が容赦なく照りつけ、馬がふらつく。鈴木さんが水筒を振るが、空っぽの音だけが響く。
「水……水がないと、死んじゃうよ……」
鈴木さんの声が震える。山本がうなだれ、佐藤が歯を食いしばる。田中は荷台でうめき声を上げ、俺は鞭を握る手が汗で滑るのを感じる。地図予測スキルが、砂漠の奥にオアシスを示すけど、道中には「幻覚モンスター」の警告がチラつく。やばい、めっちゃやばい。
「みんな、諦めるな! オアシスまで行けば水と食料がある。田中の治療もできる。行くぞ!」
馬車が砂を巻き上げ、進む。だが、頭上に王様たちの観戦スクリーンが浮かぶ。太った王様が、汗だくの俺たちを見てゲラゲラ笑う。「おお、砂漠だ! いいね、絶望の匂いがする! よし、盛り上げるためにボーナスポイントイベントを追加だ!」
スクリーンに、キラキラした文字が浮かぶ。「オアシスに隠された宝箱を見つけろ! 見つけたグループに、食料と金貨100枚! ただし、時間は日没まで!」
「ふざけんな! こんな時にイベント!?」
俺が叫ぶが、王様たちはワインを飲みながら高笑い。理不尽すぎる。このレース、俺たちの命を弄ぶお遊びだ。
シーン転換:グループB(ケンジ視点)
「ハハッ! 宝箱イベント!? 楽勝じゃん! 俺の馬車なら砂漠なんてぶっ飛ばすぜ!」
ケンジのグループBは、馬車強化スキルで砂漠を爆走中。銀光る馬車は、砂を弾き飛ばし、モブの高橋、斎藤、松本、中村がテンションMAXだ。山岳都市での妨害(毒食料と馬車クラッシュ)が成功し、ケンジは自信満々。
「ケンジ、でも水が少ないぞ。オアシスまで持つかな?」
高橋の問いに、ケンジはニヤリ。「山岳都市で買い占めた水がある。タカシのグループは干上がってるだろ。宝箱は俺たちがいただく!」
だが、砂漠の地平線に揺らめく影。幻覚モンスター、サンドミラージュだ。巨大なサソリのような姿が、ケンジの馬車に襲いかかる。「ちっ、幻覚か!? でも、俺の馬車なら――」
強化された車輪がサンドミラージュを跳ね飛ばす。だが、モブの松本が目を押さえて叫ぶ。「ケンジ、なんか変だ! 頭がクラクラする!」
幻覚モンスターの毒ガスが、馬車内に漂う。ケンジは咳き込みながら叫ぶ。「くそっ、みんなマスクしろ! オアシスまで突っ走るぞ!」
シーン転換:グループC(ユウキ視点)
「みんな、落ち着いて! 水は俺が生成する!」
ユウキのグループCは、食料生成スキルで水とパンを確保し、砂漠を慎重に進む。モブの岡本、林、加藤、藤田は、ユウキの冷静さに感謝しつつ、灼熱にうんざり。眼鏡を光らせ、ユウキは地図を分析する。
「オアシスは近いけど、幻覚モンスターが問題だ。サンドミラージュの毒ガスは、視界を奪う。みんな、布で口を覆って」
岡本がうなずく。「ユウキさん、宝箱イベントってどうする? 金貨100枚、欲しいよな!」
「宝箱はリスクが高い。王様の罠だよ。まずはオアシスでスタンプ優先」
だが、馬車がオアシスに近づくと、砂嵐が吹き荒れる。王様たちのスクリーンで、太った王様が笑う。「砂嵐追加! どうだ、面白いだろ!」
ユウキは舌打ち。「この理不尽、許せない……。でも、負けないよ!」
シーン転換:グループD(ショウタ視点)
「全員、動くな。敵がいる」
ショウタのグループDは、妨害耐性スキルで砂漠のモンスターを防ぎながら進む。モブの石川、佐々木、山田、吉田は、ショウタの冷徹な指揮に頼りきりだ。だが、砂漠の暑さと水不足で、モブたちの不満が爆発。
「ショウタ、俺たち水がないぞ! 死ぬって!」
石川の叫びに、ショウタは無表情。「オアシスまで我慢しろ。耐性スキルで毒ガスは防げる」
だが、グループ内で不穏な空気。モブの吉田が、こっそり水筒を隠し持つ。「なんで俺たちがショウタの言うこと聞くんだよ……オアシスで水手に入れたら、俺、抜けるぜ」
ショウタの鋭い目が吉田を捉える。「裏切るなら、今殺す」
吉田がビビって黙るが、グループの亀裂が広がる。砂漠の過酷さと奴隷の恐怖が、モブの心を蝕む。
クライマックス:オアシスでの裏切り
タカシのグループが、ボロボロの馬車でオアシスに到着。地図予測スキルが、宝箱の隠し場所――オアシスの泉の底を示す。「みんな、宝箱取れば食料と金貨だ! 田中の治療もできる!」
だが、泉に飛び込むと、サンドミラージュの群れが襲いかかる。鈴木さんが悲鳴を上げ、佐藤が剣を振るうが、毒ガスで視界が揺らぐ。そこに、ケンジの馬車が突っ込み、泉の水を跳ね飛ばす。「タカシ、宝箱は俺のもんだ!」
ユウキのグループCが、砂嵐の中から現れ、食料生成スキルで即席の解毒パンを配る。「タカシ、同盟だ! ケンジを止めよう!」
ショウタのグループDも到着。だが、モブの吉田が裏切り、ケンジに密告。「ショウタの馬車、弱点は後輪だ!」
ケンジが後輪を狙い、ショウタのバリアが軋む。タカシは泉の底で宝箱を見つけるが、開けた瞬間、王様のスクリーンが笑う。「おっと、宝箱は罠! モンスター召喚!」
巨大なサンドドラゴンが現れ、馬車を吹き飛ばす。田中が叫ぶ。「タカシ、逃げろ! 俺、置いてけ!」
「ふざけるな! 仲間を見捨てねえ!」
王様たちの哄笑の中、俺たちは馬車を立て直し、オアシスのスタンプを押す。だが、吉田の裏切りと田中の犠牲の可能性が、俺の心を重くする。この理不尽なレース、どこまで耐えられるんだ……?
(つづく)