第11話: ゴールの罠と、裏切りの刃
嵐の海を抜け、俺たちの船はボロボロの馬車を乗せて大陸の岸に辿り着いた。細山タカシ、俺の「地図予測スキル」が、ゴール地点「王都の門」を指し示す。遠くに、黄金の門とそびえる城壁が見える。もう少しだ。あと少しで、この理不尽なレースが終わる。だが、馬車は海獣の襲撃で半壊、田中の足はもう動かない、山本は毒魚の後遺症で意識朦朧、鈴木さんは恐怖で声を失い、佐藤だけが血走った目で馬を操る。
「タカシ、ゴールだ! 奴隷にならずに済むぞ!」
佐藤の叫びに、俺は頷く。「ああ、絶対勝つ! 田中、山本、持ちこたえろ!」
だが、頭上に王様たちの観戦スクリーンが浮かび、太った王様がワインをこぼしながら哄笑。「おお、ゴール目前! いいね、最高のドラマだ! よし、ルール変更だ! 妨害許可を無制限に!」
「ふざけんな! 今さらルール変更!?」
俺の叫びは、波の残響にかき消される。地図予測スキルが警告を発する――「ケンジの裏切り、接近中。馬車破壊に注意」。やばい、最後の最後で何だ!?
シーン転換:グループB(ケンジ視点)
「ハハッ! ゴールは俺のモンだ! タカシ、悪いな!」
ケンジのグループBは、馬車強化スキルで船を強化し、嵐を乗り切った。銀光る馬車は、王都の門へ向けて爆走。モブの高橋、斎藤、松本、中村は、ケンジのチャラい自信に振り回されつつ、勝利を確信。
「ケンジ、でもタカシとユウキの同盟が近いぞ! ショウタも追ってる!」
高橋の言葉に、ケンジはニヤリ。「なら、潰すまでだ。タカシの馬車、ぶっ壊してやる!」
ケンジは荷台から、最強の魔法兵器――「破壊の魔弾」を取り出す。山岳都市で高額で仕入れた、一撃で馬車を粉砕するチートアイテムだ。「これでタカシの馬車を木っ端微塵! ゴールは俺たちのモンだ!」
シーン転換:グループD(ショウタ視点)
「全員、黙れ。ゴールは目前だ」
ショウタのグループDは、妨害耐性スキルで海獣を防ぎ、王都の門へ接近。モブの石川、佐々木、吉田は、ショウタの冷徹さに怯え、裏切りの傷が癒えない。山田は海で死に、グループは4人。吉田が震える声で言う。「ショウタ、俺、ケンジに寝返った方がいいかな……」
「裏切るなら今殺す」
ショウタの冷たい目が吉田を凍らせる。だが、ケンジの船が接近し、魔弾の準備をするのが見える。ショウタのバリアが光る。「ケンジの攻撃、俺が防ぐ。ゴールまで突き進め」
シーン転換:グループC(ユウキ視点)
「タカシ、ゴールまで並走だ! 同盟で勝つ!」
ユウキのグループCは、食料生成スキルで水とパンを生成し、タカシの船と並走。モブの岡本、林、加藤、藤田は、ユウキの冷静さに頼りきり。だが、馬車は海獣のダメージでガタつく。
「ユウキさん、ケンジが何かやばい武器持ってる!」
岡本の叫びに、ユウキは眼鏡を光らせる。「タカシ、俺の水で援護する! 地図予測でルートを!」
タカシのスキルが、王都の門への最短ルートを示す。だが、ケンジの魔弾が飛んでくる。ユウキが水を生成し、魔弾を押し流そうとするが、威力が高すぎる。「タカシ、避けろ!」
クライマックス:裏切りの魔弾
王都の門が見える平原で、4グループの馬車が陸に上がる。タカシとユウキの同盟馬車が並走、ショウタが単独で追う、ケンジが先頭を爆走。だが、ケンジが振り向き、魔弾をタカシの馬車に発射!
ドカン! 爆発が響き、タカシの馬車が木っ端微塵に。鈴木さんが悲鳴を上げ、佐藤が馬から落ちる。田中と山本は荷台で動けない。「タカシ、逃げろ!」
「仲間を見捨てねえ!」
タカシは地図予測スキルで、爆発の破片を避けるルートを見つける。ユウキが水を生成し、火を消す。ショウタのバリアが、ケンジの2発目の魔弾を防ぐ。「タカシ、ユウキ、ゴールしろ。俺がケンジを止める」
だが、ケンジのモブ・中村が裏切り、ショウタの馬車に爆破弾を投げる。「ケンジ、俺もゴールしたい!」
ショウタのバリアが軋み、馬車が傾く。吉田も動揺。「ショウタ、俺、降りる!」
王様たちのスクリーンが哄笑。「おお、裏切り連鎖! 馬車破壊! 最高のフィナーレだ!」
タカシは壊れた馬車を支え、ユウキと並走。「ユウキ、田中を頼む! 俺がゴールする!」
だが、ケンジが3発目の魔弾を準備。ショウタが単独でケンジに突っ込む。「ケンジ、てめえだけは許さねえ!」
爆発と叫び声が響く中、ゴールの門が迫る。理不尽なレース、仲間も敵も、全部が試練だ。俺は叫ぶ。「絶対勝つ! 奴隷なんかにゃならねえ!」
(つづく)




