第3話 初めて恋をし、別れの時が来た
紅葉は風呂から上がり……現在、俺たちは対面で椅子に座って朝食をとっている。今日のハムエッグトーストは完璧に仕上がった。まあ、焼いた食パンの上にハムエッグを乗せただけだけど……。
紅葉は俺の洋服を着てハムエッグトーストを食べている。服のサイズはデカいが、仕方ない。着せるものがそれしかなかったんだ。まったく、一日泊まるんだったら着替えぐらい持ってこいと思う。
昨日着ていた洋服は洗濯機で洗っている。紅葉のブラジャーも一緒にな。今、紅葉はノーブラでハムエッグトーストを食べている。だからなんだって話だけどな。
「初めて食べたけど……美味しいね、これ!」
「食ったことねぇのか」
「ハムエッグを食パンの上に乗せるって発想がなかったからさ! 家はご飯と一緒にハムエッグを食べてる。あっ、味噌汁付きで」
「そうか……」
逆に俺はハムエッグを白米と一緒に食べるって発想がなかった。しかも、味噌汁付きで……。そうか……そうやって食べる方法もあるのか。今度試してみよう、ハムエッグと白米は合うのだろうか? とても今日も深い。
「ところで、今日は何する?」
「何するって……これ食べたら帰るんじゃないのか?」
「帰りたくないけど、今日帰るよ。だけど、まだ帰るには早すぎる!」
「…………そうすか」
「何する何する? 今日はアナルセックスをし――」
「そんなことは絶対にしない! 適当にゲームとかでいいんじゃないか?」
紅葉はハムエッグトーストを手に持ちながら、ほの口になる。
「じゃあさぁ、昨日のゲームの続きしよッ!」
「ああ、いいぞ」
☆★☆★
時刻は16時を過ぎて、夕日が出ている。
俺は紅葉に洗濯機で洗って乾かした洋服を渡す。
「ほらよ」
「ありがとう! パパーと着替えちゃお!」
紅葉は俺の目の前で、上下の洋服を脱いで裸になった。俺は目を閉じようとするが、紅葉とは性行為をして裸を見ているから……今更、目を閉じなくてもいいかと思う。
それにしても、紅葉のおっぱいはデカくて乳首もピンク色で美しい。サイズはE~Fサイズと言ったところか。おっぱいがデカいから谷間ができていて、その谷間がとても綺麗である。
生殖器の陰毛は処理がされている。まあ、俺も陰毛は剃っているからないけど……。紅葉の生殖器を見ていると思う。この中にちんこが入る作りになっているのが凄いと……。
紅葉は着替え終わると、今まで着ていた服を渡してきた。
「これ、貸してくれてありがとう!」
「おう……。もうすぐ日が沈んで暗くなるから、駅まで送ってやるよ」
「甚弥……」
「ん?」
「超優しくなってない!?」
「……そうか?」
「そうだよ!」
自分では普段と同じように紅葉に接したはずだが……俺は紅葉に優しくなっているのか? よく分からないが…まあ、別にそれでも問題はないだろう。紅葉にドン引きされているわけじゃないし……。
「甚弥が優男になってしまうとは……うん、やっぱり甚弥を好きになってよかった!」
そう言って、白い歯を見せながらニコッと笑う紅葉。そんな紅葉を見て、俺は心臓がドキッとした。今まで感じたことのない感覚……もしかしたら、これが恋と言うものなのか? 今まで恋愛をしたことがないから分からない。
紅葉のことは顔が可愛すぎるだけの、いとこだと思っていたが……なぜだか今は違う。とっても紅葉のことが……より一層可愛く見えて、体が熱くなっていく。
「甚弥、どうしたの?」
「えっ……あっ、いや……なんでもない。早く駅に向かおう」
「うん、そうだね!」
俺たちは玄関で靴を履いて、扉を開けて家を出た。
☆★☆★
二列になって駅に向かいながら歩いていると、紅葉が手を繋いできた。手を繋がれるのは何年ぶりだろうか? 両親や幼稚園の頃に友達でもない奴と手を繋いだのを憶えている。となると、8~9年ぶりとなるだろう。
「一つ、聞いてもいいか?」
「何?」
「どうして俺のことが好きになったんだ?」
すると、紅葉は笑顔で笑いながら俺のことを見てきた。
「教えない!」
「なんでだよ」
「恥ずかしいから!」
「裸で寝ていた奴が言うセリフじゃないと思うが……」
「それとこれは別だもん!」
「はいはい、そうですか」
紅葉が手を繋いできたおかげで分かったことがある。それは、ぬくもりを感じることだ。自然と心が温かくなって、心地の良い気持ちになる。
俺は紅葉の手を握って、手を繋ぎながら駅まで歩き――駅に着いた俺たちは、繋いでいた手を離した。なんだか、手が寂しく感じる。
「甚弥と一緒に居れて超幸せだった! また今度、甚弥ん家に行くからね!」
「来るなとは言わないけど、朝早くからは来ないでほしいな……マジで」
「りょーかいりょーかい!」
紅葉はそう言って、白い歯を見せながら右手で親指を立てた。俺はそんな紅葉を見て鼻で笑い、ハァーと息を吐いた。
「本当に分かってんのかよ」
「分かってるって! 私、そこまでバカじゃないし!」
「そうか。なら信じるよ。次はいつ会えるか分からないけど……まあ、元気でな」
「甚弥も元気でね! それじゃあ別れる前に――」
紅葉は唇を重ねてキスをしてきた。突然のことに一瞬驚く俺だったが、目を閉じて紅葉が唇を離すまでキスを続けた。
やがて、紅葉は唇を離すと……笑顔で手を振りながら歩き出す。
「じゃあね~!」
俺は手を振り返し……紅葉の姿が見えなくなるまで、その場に立ち尽くすのであった。
以上で完結となります。