EP.9 上位互換?
クラス入れ替え戦。下位クラスの上位五人と上位クラスの下位五人が参加する、一対一の試合。対戦相手はくじ引きで選ばれ、『能力』をフルに使った戦いを繰り広げる。勝者は上位クラスに居座ることができる。
勝利条件は二つ。ひとつは相手を降参させること。もう一つは、教師が用意した、骨折レベルの攻撃に反応する結界を展開させる、というものだ。これは生徒の意思に関係なく展開されるようだ。
下位クラスが名誉挽回する唯一の機会。だが、基本的には上位クラスの者が勝利するらしい。それだけ、クラスの差というのは大きい。……アレ?そういえば俺はコレを二回もやらないといけないんだよね?
勝てるかなぁ……一枚の手札だけで……他はなるべく見せたくないんだけどなぁ。
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俺たちB・Cクラス入れ替え戦の参加者10人は、謎の白い部屋に集められた。学園にこんな場所あったんだ。そして、校長がくじ引きの箱を持って部屋に入ってきた。俺たちにクジを引くよう促す。
組み合わせが決まった。俺の相手は……
「おー!噂の新入生君じゃーん」Bクラスの参加者では一番順位が高い男だった。うん。なんかチャラチャラしてる。「今回は対戦よろしくお願いします」「おうよろー。いやーラッキーだなー」何がラッキーなのだろうか。
「雑魚に当たって!オレがCクラスに落ちるなんてこと、なくてよかった〜」
「......あなたはなぜ自分が確実に勝てる、と考えているのですか?」クラス間に差があるとはいえ、負けがない、と確信できるとは思えない。それに俺は一応学年13位。謎である。
「え?だって君『能力測定』でズルしてたんじゃないの?そうじゃなかったらあんな順位にはならないでしょ。どうせ元Aクラスの大空さんと藤凪さんに頼み込んだんだろ?罪な男だねぇ」
あー、なるほど。そうかそりゃそんな反応になるか。「確かにぽっと出の奴より順位が下なんて認められない、ってなりますよね〜事実から目を背けたくなる気持ちもわかりますよ〜」「あ゛?」
おっと、うっかり口が滑ってしまった。うっかり。
「実力ねぇくせしてイキってんじゃねぇよ!?ボッコボコにしてやるから覚悟しろよ!!」「そっくりそのままお返ししますよ〜」「殺してやる!」お口が悪ぅござんすよ〜。......まいっか。
弱い犬ほど、よく吠えるものだしな。
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「第一試合。用意、はじめ!」校長の掛け声で始まった俺の試合。俺の前には「ゼッタイコロス」オーラが醸し出ているチャラ男。そいつが合図を聞いて一直線に向かってくる。おーこわ。チャラ男の手にはナイフ。わーさされるー。
俺も懐からナイフを出し攻撃を弾く。チャラ男は連撃を繰り広げる。
「ハハハハハ!オレの『能力』は『武器をプロ並みに扱う能力』だ!だから今みたいにナイフを高速で振り回せるし......」おもむろに片手剣らしきものを取り出すチャラ男。「高難易度といわれる二刀流も出来ちまう!お前の『ナイフを扱う能力』よりも強いんだよ!完っ全な上位互換、だなあ!」
ツッコミどころが多すぎる。いつオレが『能力』を言ったんだよ全然違うし。そして二刀流に意味あるか?振り回すの大変じゃね?てかナイフだけで十分じゃね?んでさぁ......
なんでお前の『能力』が俺のナイフより強いと思ったんだよ。