EP.4 測定開始
ドタバタ始業式から数日。俺もこの学園での暮らしに慣れてきたころ。ホームルームで、担任から連絡事項が説明される。
「今日は『実力測定』の日だ。」
その瞬間、クラスメイトが湧き上がった。
うおー!、とかわー!、とかうるさい。
普段は担任の話を聞くことすらしないのに、今は熱心に耳を傾けている。担任曰く、
個々の『能力』の種類に応じた実技を行い、その強さを測る。そして強さに応じてクラス内での順位がつけられる、というものだと。
自分の実力を他に魅せられるのだ。さらに、ここでトップ5に入ればBクラスに上がるチャンスが生まれる。クラスが浮き足立つわけだ。
「さて、説明は以上だ。測定は午後から始めるから、それまでは集中を高めるなり準備するなりしておくこと。時間になったら集合しなさい。では解散。」
担任の話が終わり、クラスメイトがそれぞれ行動を始める。校庭で『能力』を練習する者、道具だか武器だかを取りに帰る者。……まあ中には駄弁っている者もみえるが。
「日村」声をかけてくる大空。
「これが最初の壁。これを突破できないならAクラスなんて雲の上よ。……全力でやりなさい。」
「当たり前だ」それだけ答えて、俺は教室を後にする。
......そして始まる。俺のレジスタンスとしての初陣が。
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正午を過ぎ、鐘が始まりを告げる。学園の校庭に、3年生全員が集まる。
「これより、『実力測定』を開始する。それぞれ決められた場所に行き、測定を受けるように。」
開始の号令を教師が放つ。生徒は自分の『能力』の強さを証明するため我先にと動き出す。
俺はその最後尾に行き、そいつらの測定を観察する。わざわざあの荒波にのまれたくはない。それに、
俺の実力をどれくらい出せばいいか、わかるからな......
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「......やばい。死ぬ。」
『実力測定』開始直後、わたしは死にかけていた。冒涜的なまでの、人口密度によって。
......わたしや日村は、自分の身体能力を、『能力』で強化し戦う。そのため、同じ場所で試験を受ける。
......あいつは今回の測定が初めてだから、ついていてやろう。仕方なーく。
なんて、考えていたその時だった。
大群が、こちらに押し寄せてきたのは。
わたしたちのような自己強化系は、特に数が多い。わたしは波にのまれていった。
押しつぶされて死にそうだ。気合い入りすぎだろ容赦ねぇなおい。
てかサラッと日村抜け出してるし。涼しい顔しやがってぶっ飛ばすぞ。
「まあ、いいか」流れに身を任せつつ、つぶやく。
「わたしは全力でやるだけだし。」
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「うーわなんだあの波。大変そーだなぁ」あたしはつぶやく。
あたしの『魔法を使う能力』は翔子や日村翠とは別の種類に分類される。あたしの分類の人数はあいつらのより少ない。あれだけいたら自分の番もなかなか回ってこないだろうが......
「次。藤凪魔空。」あたしの出番は、すぐに回ってくる。
「あたしが最初のようだな。全力でやってやる!」
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「目立って強い奴は......まだいない、か」
俺の番まで時間がある。特にあいつらの実力は見ておかないとな。
「......と、まずはあいつの番か。」そちらに視線を向ける。
そこにいたのは藤凪魔空。ちょうど測定に入ったところだ。
測定内容は的当てらしい。めっちゃ硬いっぽいけど。見たところあれ1回も壊れてないっぽいんだが......
「『能力』発動!出力100%!」彼女の『能力』は......たぶん『魔法を使う能力』とかだろ。なんか魔法陣みたいなやつ出てるし。
「さて、お手並み拝見だな。」そう呟いた瞬間、藤凪が叫ぶ。
「風・水・雷3色混合魔法!天変地異!」