空飛ぶクルマを発明した少年
少年は9歳で驚くべき発明をいくつもした。
ガン治療薬。
空飛ぶクルマ。
体内に埋め込めるSDカード。
地球を網羅する不発弾探知機とそれらを全て無力化させる電磁波装置。
人の身体能力を大幅に上げる人体スキルアップ拡張コード。
(……もっともっと急がなきゃ)
焦っていた。
少年は頭が良すぎるがゆえに自分の死期を悟っている。
自分は誰もかかったことの無い。誰も治せない病気なのだ。
病気の発作の感覚はどんどん短くなっている。
自分は残された時間でどれだけ人の役に立てる発明が出来るだろうか?
「ねぇ。もうそろそろ寝たら……」
「お兄ちゃん。一緒に寝よ?」
少年の血の繋がっていない姉と妹が彼を心配していたが彼はそれを拒絶した。
「うるさいっ!僕の発明が完成すれば人類は睡眠すら不要になる!」
『『……』』
少年は母も義理の父も姉妹達も愛していた。
家族が自分を心配しているのを理解できるだけに冷たくするのは辛かった。
(……ごめんね。死ぬまでに出来るだけ多くのお金を家族に残してあげたいんだ)
少年は自分の病気に気がついた時の事を思い出してポロリと涙を零した。
怖くて怖くて症状をインターネットで検索する事も出来なかった。
少年にとって初めての『無知である恐怖』であった。
(今日こそ病気について検索を……治療法が確立されてるかも?いや!僕の知らない事を他のやつが分かるわけ無い。発明発明!)
少年は今日もパソコンに文字だけ入力して検索ボタンを押せなかった。
『おちんちん 大きくなる病気』
『おちんちん 硬くなる病気』
『お姉ちゃん おっぱい 見せてもらう方法』
『妹 じゃれあってたらおっぱいを触ってしまった 犯罪?』
『朝起きたら 白いおしっこ 原因』