第九十五話 空戦用E・L・K
……アクィラが使えるようになってクラウンレーザーが手に入ったのか。また知らない名前だな。表示的にはアクィラはE・L・Kかな?いったいどんな機体なんだろう。
「アクィラは攻撃と速度に長けた空戦用E・L・Kだ。」
……空戦用?
思わず話を途中で遮ってしまいそうになったがクロードはそれを何とかこらえた。知らない単語であってもこの後説明されるだろうし仮に説明が無ければレオの説明が終わった後に聞けば良いだけの話である。
「アクィラは特に苦手な武器パーツは無い。どのタスクでも一定の働きをしてくれるだろう。そしてアクィラを始めとした空戦用E・L・Kを使えばとある地域にもタスクに向かう事が出来るようになる。今それを説明しても良いがひとまずそれは後だ」
なるほどこれまでとは違う地域に行く時に搭乗する機体って認識で良いのかな。一体どんな地域に行けるようになるのか気になるところだけどそれは後で詳しく説明してくれると。こんな重要そうな話が後回しになるほどの話は一つしか無いな。
「クロード! ……カードキーを私に渡してもらえるかな?」
やっぱりね。そもそもキングインク討伐のタスクは二等騎士昇格のためのタスクだからね。昇格出来ないと何のためのタスクか分からなくなるや。
「どうぞ」
「……ふふ、これでもう早くも二等騎士に昇格か。とうとう追いつかれてしまうとはな。私もそろそろ覚悟を決めなければいけないな」
……覚悟? 一体何の話だ? 階級を抜かれる覚悟を決めるって事だろうか。……まあ俺が一等騎士に昇格する事が出来れば追い抜くことは出来るだろうけど、多分まだまだ先何だろうな。そもそも目の前のレオ教官が二等騎士のままなんだし。
クロードが思考を巡らせているとその様子を見てレオはニヤリと笑うとさらに続けた。
「……よって二等騎士レオの名においてクロードの二等騎士昇格を認める。これからは二等騎士としてより一層タスクに励むが良い」
《二等騎士に昇格した!》
《ドラゴリキッドを手に入れた》
……ドラゴリキッド? これまた知らないアイテムが手に入ったな。二等騎士昇格のタイミングで貰えるアイテムなら多分すごい効果があるに違いないね。それに多分この後何かしらの説明があるだろうね。
「……今渡したドラゴリキッドを使いたければアイテム一覧から使うと良い。すぐに効果が発揮されるだろう。……そして先程話したとある地域について説明しよう。名前をテレジコ空域と言って空戦用E・L・Kで通行が可能になる地域だ。……地図を見た方が早いな。そこに掛けてある地図を見てくれ」
レオに促されるままクロードは地図の方へ視線を向けた。テレジコ空域と言う名前に聞き覚えは全く無い。少なくともクロードが知っている場所から行くことは不可能な場所だろうと思っているとレオはスタラジア帝国が書いてある場所付近を指で示したのである。
カシオ平原やエリーダ高原などは地図でも何回か見たことがあるがスタラジア帝国付近の地図はあまり見覚えが無かった。レオが指で示した場所をクロードがよく見てみると確かにテレジコと言う文字が読み取れた。
「……テレジコ。確かに書いてありますね。……と言う事はテレジコ空域と言うのは帝国の上空部分と言う事ですか?」
「それで概ね正しい。厳密に言えばここスタラジア帝国の上空からオリオンの頂きにかけて広がっている巨大な対流空間だよ。境界にはかなり強い風がバリケードのように吹いている。だから現状はスタラジア帝国からしか入る事が出来ない特殊な場所さ。珍しい地域な分生態系も他とは違っていてね。研究者たちにはかなり関心のある場所らしくここを場所に指定したタスクも数多い。もしタスクでテレジコ空域に行く時はいつも通りの門からでは無く、格納庫から直接空戦用のE・L・Kに乗り込めば出発出来るはずだ。……説明は以上だ。さて、どのタスクを申請するんだ?」
……なるほど、要するに不思議な空間って事だな。生態系が変わっているってことは討伐タスクが増えるってことだよな。そもそも空に採取ポイントは無いだろうから納品タスクはあってもドロップアイテムの納品だろうね。
そして空戦用のE・L・Kしか行けないって事はまずは操縦に慣れないと討伐なんて不可能だな。練習しやすいような弱めのモンスターがいればいいんだけどそんな都合良くいる訳無いしこればっかりは慣れるしかなさそうだな。
……ところでテレジコ空域に行く時は門からじゃ無くて直接格納庫から行くってさっき言っていたよな? 正直あまりイメージがつかないや。
……まあこれも行ってみれば分かるかな。それに今手持ちのタスクには場所がテレジコ空域のものは無いからね。階級が昇格したことで申請出来るタスクも増えただろうしホログラムで確認しようか。
直立不動でレオの話を聞いていたクロードは話が終わってから整理している間も一歩も動いていないのである。クロードが申請するタスクを選ぶためにホログラムへと方向転換しようとした瞬間レオが口を開いた。
「あぁ、そうだ。クロード、君に言い忘れていた事がある。君宛に何件かタスクが寄せられているんだよ」
読んでくださりありがとうございます。
説明回になりました。新たな要素が多い分説明も多くなっております。ご了承くださいませ。
さて、スペシャルタスクの発生ですね。一体どんなタスクなんでしょうか。




