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第九十一話 準備は入念に


 つまりここから分かる事は奴の吹っ飛ばし攻撃を防ぐには真正面から以外の方法で接近する必要があるって事だ。……となるとわざわざそこを通る必要があるのか疑問しか無かったあの道を通るって事だな。それで防ぐ事が出来なかったら……お手上げかな。


 ただ、このヒントはあくまでもキングインクの吹っ飛ばし攻撃を防ぐ方法のヒントでしか無い。そもそもキングインクがやってくる攻撃はあれしか知らないから実質何も知らない状態のキングインクを討伐する事になる。正直言って難易度が計り知れない。


 ……このヒントで討伐出来るようになるって言っていたから討伐不可能なほど難易度が高い訳じゃ無さそうだしね。とにかく何が起こっても対策出来るよう準備を万全にしないとね。


 まずはどの機体に搭乗するかだな。多分ベストはフィウムの強化が終わってから強化されたフィウムを含めた手持ち全ての機体の性能を比較した上でどれに搭乗するのかを決めるのがベストだ。


それは間違いない。……とは思うけど、せっかく二等騎士になるためのタスクが申請されているのにそれに行かずに他のタスクに行くなんて事出来るか? 俺には出来ないな。と言う事で搭乗する機体はラマーレで良いだろう。


 次に武器パーツだけど、これは素直にクイックガトリングだろうな。選択肢としてはギガントキャノンとノーマルキャノンもあるにはあるけど、装備ボーナスや装着されているスキル、武器パーツ自体の操作性。どれをとってもクイックガトリングが一番上だよ。これは迷いなく断言出来るな。


 着々とキングインク討伐タスクの準備を進めて行くクロードの横で何か言いたげにソワソワしている人物がいた。もちろんルピウスである。


 彼はそもそもクロードに二等騎士昇格タスクが申請された事を知らないのだ。ただ、タスク帰りにも関わらずタスクの準備をするクロードが気がかりなだけである。


 ……よし、準備はこれで大丈夫だな。ん? いつの間にかルピウスが近づいて来ていたのか。気付かなかったよ。


「クロード、タスクの準備……だと思うけど、何かあったのか?」


「実はな、二等騎士にもうすぐ昇格出来るかもしれないんだよ」


「へぇ! それは凄いや。それじゃあこれはそのタスクの準備って事だね。……ちなみにタスクの目的は何なんだ?」


「……キングインクの討伐だよ。かなり難しいだろうけど、戦えるだけの準備は今終わった。後は頑張るだけだね。それじゃあタスクに備えて休息を取ってくるよ」


 やはりルピウスが心配だったのはそこなのだろう。キングインクの討伐と言う点には大してリアクションをしなかったが、クロードが休息を取ると言った瞬間明らかに安堵の表情を見せた。


 それを見たクロードはルピウスが気にかけてくれている事を嬉しく思うと共に、また忘れていると思われていた事へのやるせなさを感じていた。複雑な気持ちになりながらも心配してくれたことに感謝してクロードは休息を取りに自室へと向かったのであった。


――

コールバの海

――


 しっかり休息を取りラマーレもクロード自身も万全の状態である。そしてクロードはキングインク討伐に臨むためコールバの海へとやって来ていた。


 ……とうとうこの時が来たな。正直まだ勝てるって感じすら湧かないんだがやれるだけやってみよう。今までも遭遇から撤退は一応出来ているんだから絶対勝てない相手では無いはずだよ。


 キングインクが討伐対象になっているからだろうな。キングインクの生息域とほぼ同じMAPの座標に黒い大きな点が表示されているや。赤い点はよく見るけど黒い点は初めてなんじゃないか? つまりエルダートレント以上のモンスターであることは確定だな。……まったくおっかないぜ。


 今回クロードが立てた作戦は秘密の抜け道からキングインクへ接近を仕掛けるというものである。まだ一度も通った事の無い道ではあるが体感からしてあの道を道なりに進めばキングインクの生息域に出るとクロードは予想しているのだ。


 さて、……秘密の抜け道はここだな。


 慣れたようにクイックガトリングで入り口の藻を消し去るとクロードは実に3回目となる秘密の抜け道に突入した。隠された採取ポイントに辿り着くと一つ深呼吸をしてからクロードは今まで通って来なかったその道をただまっすぐ見つめていた。


 ……こういう採取ポイントのための通路だと思っていたんだけどな。まさかわざわざ通る必要は無いだろうって思っていたこの道を進むことになるとはね。今回は採取は無しにしようか。入り口の位置はもう完全に把握しているし、必要になればまた来たら良いさ。


 ……しかしこの道は不気味だな。しかもキングインクの生息域に繋がっているって予想でしょう? その予想が当たっていても外れていてもちょっと嫌なのは珍しい現象だよ。……ちょっとだけ進んでみるか。


 クロードはゆっくりと今まで通って来なかった道を進んで行ったのである。当然と言えば当然だがクロードの動きに合わせてゆっくりと自分が今いる座標とキングインクがいるであろう座標にある黒い点が近づいているのがMAPを見ればすぐに分かるのだ。


 それはすなわちこの道がやはりキングインクの生息域に繋がっていることを示すのであり、それを実感した瞬間クロードは深く息を吐いたのである。


 読んでくださりありがとうございます。

 やれることはすべてやっておくことが大切なのです。

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