第九十話 更なる高みを目指して
おぉ⁈ お金もそうなんだが……、虹の設計図⁈ いずれは手に入るとは思っていたけどこんな形でとは思わなかったや。……へぇ、虹の設計図かぁ。……確か預けるのに100000Gが必要なんだっけ?
今の所持金が58000Gだったかな。となると、虹の設計図をピクトさんに預けるにはいったいどれくらいタスクをやれば良いんだろう? ……果てしないな。
先程まで感じていたむず痒さは虹の設計図が手に入った衝撃で吹っ飛んだのだ。今クロードの頭の中は手に入った虹の設計図のことでいっぱいである。そのためレオがクロードに何やら話していたようだが全く耳に入っていなかった。
「……クロード、聞いているのか?」
「……! ……すみません、全然聞いてなかったです」
「……まあいい。クロード、君に二等騎士への昇格の話が出ている」
レオはなんでも無い事のようにそれをさらっと言い放った。あまりにあっさりと伝えるので何かの冗談と思った程である。
「もう二等騎士ですか。やはり素晴らしい早さで実績を積み上げてらっしゃるんですねぇ。それほどの早さと言うと……」
「ケトさん。その話はそれ以上止めておきましょう」
「……おっと、私としたことが申し訳ありません」
クロードにはレオとケトの話はさっぱり理解出来ないが、どうやら二等騎士昇格の話は本当であるらしい。現に2人とも冗談を言うような表情では無いのだ。虹の設計図が手に入り、さらに二等騎士昇格間近と言う話でやや浮き足立っていたクロードであったがこの後現実に引き戻されることになるのである。
「……そこで二等騎士に昇格するためにとあるタスクをしてもらおう……と言う訳だ」
「とあるタスク……ですか?」
「そうだ。以前君に二等以上の騎士は全員とあるモンスターを討伐したことがあると話したことを覚えているかな?」
言われてクロードは記憶を辿っていた。そしてレオが言わんとしていることが、二等騎士に昇格するためにする必要があるとあるタスクの内容が、クロードには分かったのであった。
「……その顔は覚えている顔だな。そう、クロード。君にしてもらうタスクの目的はたった1つ、……キングインクの討伐だ」
……やっぱりか。いずれは討伐しなくちゃいけないとは思っていたけど、こんなに早いとはね。
「二等騎士を名乗る以上はキングインクくらいの強敵でも討伐出来るような実力が必要だよ。逆に言えば討伐出来るだけの実力があれば二等騎士になれる可能性が高いのさ。……強敵だが今まで驚異的なスピードで階級を駆け上がった君だ。きっとこのタスクも乗り越えてくれると期待しているよ」
……期待しているねぇ。そこまで言われたらもう頑張るしか無さそうだな。……でも吹っ飛ばし攻撃の対策とか一切浮かばないんだけどどうやって討伐すれば良いんだ? ……聞いてみるか。
「……ちなみにですが、討伐のヒントなんかは教えてもらったり……出来ますか?」
「……ヒントか。そう言えば君はキングインクの吹っ飛ばし攻撃に手を焼いていたな。それなら1つだけ君にヒントだ。キングインクは遠くから近づいて来る敵に対して吹っ飛ばし攻撃を行う。それを防ぎたければ何とかしてキングインクに気付かれないまま接近するのだ。……コールババームをこれほどまでにすぐに集めた君だ。きっと私のこのヒントで討伐出来るようになるだろう。健闘を祈っている」
……意外と聞けばヒントは貰えるんだな。今度厄介な事になったらどうすれば良いのか聞くのも良いかも知らないね。
……それでええとヒントの内容だけど、キングインクに気付かれないまま接近すれば吹っ飛ばし攻撃を防ぐことが出来ると。なるほど、厄介な攻撃の対処法を考えるんじゃなくて、その厄介な攻撃を撃たせないようにするって事か。……となると試すべき方法はあれだな。
――
格納庫
――
さて、格納庫へ戻って来たぞ。……とうとうろくに相手にもされずに逃げ回ることしか出来なかったキングインクが討伐対象になる時が来るとはね。申請されたタスクを改めて確認しようか。
――
タスク一覧
この輝きは素晴らしい!
ランク:D
場所:エリーダ高原
目的:鉄×1、闇水晶の欠片×3の納品
依頼者:石に囲まれたい男
これじゃあ漁が出来ない!討伐してくれ!
ランク:B
場所:コールバの海
目的:ナップスクイードの討伐
依頼者:泣きそうな漁師
更なる高みを目指して
ランク:A
場所:コールバの海
目的:キングインクの討伐
依頼者:レオ教官
――
……おぉ、ランクAか。当たり前だけど初めて見たな。今俺が三等騎士でランクBのタスクなら申請出来るから順当に考えれば二等騎士でランクAのタスクが申請出来るんだろうな。そして昇格するためのタスクがランクAって事はつまり、二等騎士になるためにランクAのタスクを先行してこなせってことだ。
ただ問題はこのタスクの目的のキングインクの討伐なんだよね。さっき貰ったヒントはキングインクの吹っ飛ばし攻撃は何とかしてキングインクに気付かれないように接近することで防ぐことが出来る。……だったな。
今までの経験からすると、真正面から接近すると間違いなく吹っ飛ばし攻撃が飛んで来た。しかも接近したく無いから生息圏を通らないようにギリギリを通ろうとしても防ぐのは無理だった。
読んでくださりありがとうございます。
とうとうキングインク討伐のタスクが申請されました。これを達成すればクロードは二等騎士に昇格すると言う訳です。是非とも頑張って達成してほしいですね。




