第八話 タスクを進めよ
ほう、250%の電撃ね。つまり普通に攻撃するのより2.5倍の電撃がこのスキルにより発動出来るってことだな。アンドロが使ってたのを見る限りだと予備動作がやや長いのが気になるところだけど、気づかれないように奇襲に使えば使いこなせるかな。【ブレイドショット】の方は……と。
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ブレイドショット
使用した直後の斬撃に200%の衝撃波が発生する
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攻撃倍率としてはこっちの方が低いな。ただ別に予備動作がある訳じゃないから使い勝手はこっちの方が良さそうだ。今のところだと無理して拡張パーツは変えなくて良さそうだな。
「武器パーツはまだ出来ないんだとよ。明日の朝格納庫に届けてくれるらしい」
「なるほど、まあこんなに大きな武器パーツはすぐには完成しないよね。あ、もちろん武器パーツも持ちものや図鑑で比較が出来るから武器パーツを変えたくなったら僕に言ってね」
「了解」
「それじゃあそろそろ寝る時間だね。僕もこのメンテナンス作業が終わればすぐ寝ることにするよ」
寝る時間……? あぁ、自分の部屋で寝ろって事か。時間的には寝る時間なんだろうけど徹夜とかって出来ないのかな?
「ちなみに徹夜しようとしたらどうなるんだ?」
「別にしたければ徹夜しても良いけどその間のメンテナンスは出来ないと思ってくれたら良いよ。装甲は消耗したままだしすぐに撃墜されちゃう危険を知った上でならね。メンテナンスは君が寝てる間に一気にするからE・L・Kの状態が心配なら頻繁に睡眠を取ると良いよ。その場合は僕もE・L・Kの消耗が抑えられて楽だからね」
つまりタスクによってE・L・Kが消耗した場合引き続きタスクをすることは可能だが消耗具合は残ったままであり、整備された状態にしたければ自室で寝てこいということであった。特に消耗した覚えは無いがここは素直に寝ようとクロードは自室へ戻って眠ったのであった。
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自室
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……さて、朝だな。当たり前だけどベッドで横になったら一瞬で朝だな。日付を進める作業みたいだな。まあロード時間が無いに等しいのはありがたいけどね。……お、そういやピクトさんに頼んだ武器パーツは朝配達されるんだっけ? 早速格納庫へ急ぎますか。
格納庫へとやや急ぎ足で向かおうとするクロードの耳に聞き覚えのある声が響いて来た。振り返るとそこには見知った顔が笑みを浮かべていた。
「アンドロ、俺に何か用か?」
「クロード、君を教官が呼んでたよ。教官室の場所は分かるかい? 昨日の大広間の1つ上の階にあるから階段を使って行くと良いよ」
教官が呼んでる? ……俺何かやったかな? まあ行けば分かるか。昨日の大広間の上の階って事は目の前の階段を上がれば辿り着けるかな? 道順を覚えておかないと格納庫にも自室にも戻れなくなるからね、注意しないと。
クロードはやや慎重な足取りで道を覚えながらアンドロが言うように教官室を目指した。さすがに大広間ほど広くは無いがかなりの広さがある部屋にたどり着いた。昨日格納庫で敬礼について言われていたことを思い出し扉をノックしてクロードは部屋へと入ったのである。
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教官室
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クロードが部屋に入ると部屋の中には教官であるレオの他にルピウスも立っていた。
「クロード、君もルピウスの隣に並びなさい」
「はい。……あの俺何かしましたか?」
促されるがままクロードはルピウスの隣に並んで立った。そもそもクロードにとっては呼ばれた経緯が分からないままなのである。レオは難しい表情をしているし、隣のルピウスは神妙な顔をしているので何か怒られることでもあったかとクロードは考えた。
「……? 2人に説明した方が楽だと思ったから両方とも呼んだのだが……」
「……? 何の説明ですか?」
「君たちが日々行うタスクの説明がまだだったのだよ。本来なら最初の訓練が終わってからスピーカー越しに指示をする予定だったのだが少し順番が前後してね。格納庫のスピーカーを繋げた時には既に君たちは早々に帰ってしまっていたのだよ。だからこうして朝に呼ばせてもらった」
「なるほど……」
「それじゃあ早速タスクの説明をしよう。君たちの右横にホログラムの表示があるのが見えるか?」
言われてクロードは右横を見てみた。かなりの大きさの投影機を下にして様々な項目が表示されているのが目についた。近づいて見ないと内容までは読み取れ無かったが大きめに表示されたAやDといったアルファベットは近づかなくても読み取れた。恐らくはこれがレオの言うタスクなのであり表示されているアルファベットはランクを示しているのだろう。
「ここには我が騎士団に寄せられた依頼すなわちタスクが全て表示されている。我々騎士団は日々タスクをこなしていると言う訳だ。昨日渡したカードキーがあるだろう? ホログラムの左手にカードキーを置く場所があるんだがそうすることによって現在の階級で引き受けられるタスクがピックアップされる仕組みになっている。そしてこなしたいタスクがあれば私に申請し、完了すれば私に報告してくれればそれでタスクは完了だ」
「という事は、タスクを数こなせばこなすだけ階級が上がると言うことですか?」
クロードは思わずそう質問した。現在クロードの階級は確か五等騎士だったはずであり目の前のレオは二等騎士だったはずである。どうせなら上を目指したいクロードにとっては階級が上がることは大事な事であった。
説明を聞いた最初の質問が階級が上がるかというものだったため向上心があると思ったのだろうか。レオはクロードのその質問に微笑みを浮かべて答えた。
「無論だ。私の階級なぞ容易に越えるほどの活躍を期待している。……説明は以上だ。さて、どのタスクを申請するんだ?」
読んでくださりありがとうございます。
このゲームの大きな目的の1つに一等騎士を目指すというものがあります。クロードもどうせなら上を目指すようですね。果たして一等騎士になれるのでしょうか?