第八十五話 秘密の抜け道
クロードが気付いたのは水流の強さである。土で出来た崖に生い茂る藻のようなものに目掛けて強めの水流が流れているのだ。従ってその部分には波が発生しているはず。……なのだが生い茂る藻以外は何も見えないのである。
……割と強めの水流があるよな? だったら崖に当たって打ちつけられる波が見えても良いんだが……。もしかしてこの先進めたりするのか?
ものは試しである。クロードは少しばかり離れると生い茂る藻目掛けてクイックガトリングを発射した。3発ほど当たったその時生い茂っていた藻が光となって消え去りウィンドウが表示された。
《秘密の抜け道が解放されました》
……秘密の抜け道? って事はここ通行可能って事か?
恐る恐るクロードは生い茂る藻で隠されていた秘密の抜け道に入るためにペダルを踏み込んだ。秘密の抜け道であるためにその道はMAPには表示されていない。MAPだけを見ればバグか何かを使って道なき道を突き進んでいるかのように見える。通りながらクロードは何とも言えぬ高揚感に包まれていた。
いやぁ、こんな道があったとはね。なんだかワクワクするな。何度かコールバの海には来ていたんだけどちっとも知らなかったよ。
……確かにおかしさが無かった訳じゃ無いよ。表示されているMAPの3割以上が通行出来ない陸地だったり、どうやって行ったら良いのか分からない採取ポイントがあったりとかね。……つまりこの道はその採取ポイントに繋がっているんだろうな。
クロードは秘密の抜け道を道なりにどんどん進んで行った。すると予想通りクロードは本来行けないであろう場所に表示された地点の近くまで来たのである。もうすぐ採取ポイントだな。……そう考えていたクロードは少し広い空間に辿り着いたのである。
……へぇ。これはコールババームの採取ポイントだけじゃないな。見たところ植物、鉱物、キノコ類……。色んな種類の採取ポイントが密集して存在しているのか。これは是非全部採取しないとね。
まずは植物の採取からだな。
《薬草×2を手に入れた》
薬草か、次。
《グリーンハーブ×1を手に入れた》
グリーンハーブね、次。
《グリーンハーブ×1を手に入れた》
またグリーンハーブか、次。
《揺らめく海藻×2を手に入れた》
お、揺らめく海藻だな。これで植物の採取ポイントは終わりだね。次は鉱物かな。
《鉄×1を手に入れた》
お、鉄じゃんか。良いね、次。
《ガラクタ×1を手に入れた》
次。
《ガラクタ×3を手に入れた》
……次。
《ガラクタ×2を手に入れた》
ガラクタばっかりじゃねぇか! 次はキノコ類にしようか。
《水椎茸×2を手に入れた》
良いね、次。
《ネムリダケ×2を手に入れた》
次。
《ジミキノコ×2を手に入れた》
……まあ、こんなものかな。次はお待ちかねの木材の採取ポイント。コールババームがいっぱい手に入ってくれよ?
《湿った丸太×2を手に入れた》
まあちょっとくらいはね、次。
《コールババーム×1を手に入れた》
よし来た、次も頼むよ。
《湿った丸太×2を手に入れた》
……まだ採取出来る。
《湿った丸太×1を手に入れた》
……まあ、そんなこともあるよね。
これで全部採取したかな。コールババームの採取に来たとは言えわざわざ採取ポイントの近くに来て採取しないのは違うもんね。結構採取出来たから何がどれだけ手に入ったのか把握出来ていないや。ちょっと持ちものを確認しておくか。
――
持ちもの
採取アイテム
薬草×15
肉厚アロエ×4
グリーンハーブ×8
ジメジメシダ×1
揺らめく海藻×5
ジミキノコ×10
シビレダケ×7
ネムリダケ×4
水椎茸×4
ガラクタ×48
銅×2
鉄×4
鋼×1
闇水晶の欠片×1
睡香石×1
オオカシ×3
エリーダブナ×6
コールババーム×8
湿った丸太×12
腐った肉×2
謎の毛皮×4
新鮮な生肉×1
長寿の小枝×1
トレントの樹液×1
淡く光る軟甲×1
唸る触腕×1
鋭利な背ビレ×1
――
こうして見ると結構増えた気がしてくれるのが不思議だよね。今これでコールババーム×8あるからタスク達成まであと7個ってことだな。
それじゃあ今回の採取はこれまでにして帰還する準備を整えようか。……ところでこの後はどうすれば良いかな。
クロードは今自分がいる少し広い空間を見渡していた。この空間はクロードが通ってきた道の他に2つ道があるのだ。クロードが通ってきた道が特別な通路だとすれば帰還するためには引き返す必要があるのだが、それにしてはもう2つの通路が気になるのである。
……一旦進んでみるか。どこかに出るかもしれないしね。もし進んだ先が行き止まりなら引き返せば良いからね。
クロードは引き返さず2つあるうちの奥の道を進むことに決めたようである。実はこの秘密の抜け道は人の手によって造られたものである。比較的大きなサイズのラマーレで通過出来ることが何よりの証拠なのだ。そしてこの通路がなぜ造られたのかを考えれば自ずとどこに繋がっているか分かるだろう。
相変わらずMAPに表示されない道を進んで行くとやがてクロードは入った時と同じように藻が生い茂る場所を見つけたのである。やや狭い道でクイックガトリングを放つのはややはばかられたが意を決して発射すると同じように藻は光となって消え去った。そしてコールバの海の入り口近くに繋がったのだ。
読んでくださりありがとうございます。
こうした隠された抜け道を通っていると別にそんなの気にしなくてもいいのにいけないことをしている気がするのは筆者だけでしょうか。




