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第八十三話 クロードはうっかり


 ……健闘を祈るって言われてもなぁ。


 クロードは格納庫へ向かいながら先程申請されたタスクのことを考えていた。そもそもクロードはタスク帰りなのである。


 コールバの海には行っていない故に海戦用E・L・Kは何ら消耗していないがルブール改がもし必要となった時のために休息を取って装甲を回復させておきたいところではあるのだ。


 ……とりあえず条件次第だな。タスク一覧を見てみよう。


――

タスク一覧


この輝きは素晴らしい!

ランク:D

場所:エリーダ高原

目的:鉄×1、闇水晶の欠片×3の納品

依頼者:石に囲まれたい男


これじゃあ漁が出来ない!討伐してくれ!

ランク:B

場所:コールバの海

目的:ナップスクイードの討伐

依頼者:泣きそうな漁師


なるべく早く頼みましたよ

ランク:B

場所:コールバの海

目的:コールババーム×15の納品

依頼者:執事ケト

条件:申請から5日以内(残り5日)

――


 最後に追加されているタスクが例のタスクだな。……条件は5日以内か。5日以上かかる可能性もあるって言ってたよな。となると無理をしてでも今日出発しておくべきか?


 クロードは決断出来ないまま格納庫へと辿り着いた。悩みながら入って来るのが見えたからだろうか、メンテナンス作業を行っていたルピウスが入って来たクロードに気づいて駆け寄って来た。


「どうしたんだ? 何かあったのかい?」


「……今ちょっと悩んでいるんだよ。実は帝国の執事さんから納品タスクを指名されたんだけどさ。期限が付いているんだよな」


「なるほど、期限付きタスクか。ちなみに内容と期限はどんな感じなんだ?」


「目的はコールバの海でコールババーム×15の納品。それを今日を含めて5日以内だってさ」


「5日……か。5日でその数はちょっと厳しいかもな」


 それを聞いてルピウスも少し考え込む表情になった。そもそもコールババームは確かにコールバの海で採取出来るものなのだが、以前は何にも考えずに適当に採取して3個手に入ったのだ。その分も含めるならば残り12個採取するには順調に行けば4日で完了出来るだろう。


 しかし以前の採取がたまたま運良く採取出来たのならば話は変わって来る。もし一度の出発で2個……もしくは1個しか採取出来ない時があれば、休息なんて取っている場合では無くなるのだ。


 また通常ならば連続して同じ場所に向かうことも可能ではある。装甲の消耗に限界が来ていないのなら一日に何度でも採取に向かう事は可能である。


 しかしコールバの海となるとそうはいかない。なにしろキングインクの近くを絶対に通過しなければならないからである。欲をかいて何度もコールバの海へ向かいキングインクに撃墜されたならばそれは最早愚行である。


 ……まあでもあれこれ考えたって仕方ないな。採取のペースを把握するためにも休息無しでタスクに向かいますか。幸いラマーレは全然消耗していないからね。それじゃあ出発しますかね。


 タスクへ向かう決心をしたクロードは勢いよくルブール改に乗り込もうと駆け寄った。ルピウスはまだ悩んでいるようだ。ワンテンポ遅れてクロードが乗り込もうとしているのに気がついて慌てて口を開いた。


「……ちょっと待ってクロード!」


「ん? どうした?」


「……ええとつまり、クロードは今からタスクに向かうんだよね?」

 

 慌てて止めた割にはルピウスの歯切れがやや悪い。大方コールバの海以外のタスクには行かないように制止しようとしているだけだろう。勝手にそう判断したクロードはルピウスに構わず出発する用意を始めた。


「大丈夫大丈夫。行くのはコールバの海だからルブール改がちょっとくらい消耗していても問題無いさ」


「違うんだクロード。そのままだとコールバの海には行けないんだよ」


 ……ん? コールバの海に行けない? それはまたどうして?


「クロード、君フィウムを呼び出したは良いけど武器パーツも何も装備させていないだろう? そのまま行ったら武器パーツの無いフィウムで行くことになるから他の装備させている機体にするかフィウムに武器パーツを装備させるかしなよ」


 ルピウスにそう言われながらクロードは記憶を遡ってみた。……確かにフィウムを呼び出してそれから何も装備させずにタスクに出発していた気がする。


 何事も無かったかのようにクロードはルブール改から降りるとサブの格納庫からラマーレを呼び出した。これで海戦用に設定された機体はフィウムからラマーレに変更されたのである。


 今度こそタスクへ出発するためにクロードは再びルブール改を呼び出すと勢いよく乗り込んだ。自分のうっかりミスを忘れようと真面目な表情をしながらクロードはタスクへ出発したのである。


 スタラジア帝国の門へ向かいながらコックピットの中でクロードは先程のことを思い出しやや頭を抱えていた。言われるまで気付かなかったなんて恥ずかしい。そんな思いが頭の中をぐるぐる回っていた。クロードはコックピットの中で人知れず反省し顔を赤らめたのであった。


 読んでくださりありがとうございます。

 呼び出した時点で搭乗する機体が変わってしまうので時にこうしたことが起こります。もし行ってしまった場合はそのままUターンになっちゃいますね。武器パーツ無しではタスクをこなせませんから。

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