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第七十話 幹部ハイブリジ


 そう言うとハイブリジはこちらへ突撃を仕掛けて来たのである。見た目は重装歩兵のようだが、その見た目とは裏腹に俊敏な動きである。この速度で迫られてロングソードによる斬撃を浴びれば装甲はとてもじゃないが長くは保たないだろう。最初の突撃をなんとか対応したクロードはこちらの攻撃を通すために距離を取った。


 ……中々速度が早いな。武器や見た目からすると相手は近、中距離タイプだ。速度はかなり早いし、見た目からして装甲もかなり厚いだろう。ステータスが軒並み高いのはあまり無くて、どれかのステータスが低かったりするものだけど、残るステータスは攻撃のみ。まさか食らって確かめる訳にはいかないね。ステータスが全体的に高いオールラウンダーって感じだな。


 対してこちらは遠距離タイプだから距離は詰められたくはない。つまりこの戦いはいかに相手を寄せさせずに牽制しつつ厚そうな装甲を削り切ることがポイントってことだ。


 その場合弱点を見つけて叩き込むって言うのが相場ってものだが、あいにくメテオライフルはそれには向かない。リロードに時間がかかるからね。


 ……ただ、弱点を探した方が良いのは確かだな。今のところ4発ほど撃ち込んでいるんだけどまるで手ごたえが無い。ダメージがあるなら安心出来るんだが見た目ではどうにも分かりにくいからなぁ……。


 クロードは適度に距離を取りつつ5発ほど通常射撃を放っている。1発は回避されたもののあとの4発は的確にヒットさせたのである。内訳としては頭部が2発、右手が1発に左足が1発。どれもこれと言って手ごたえは感じられなかった。狙う場所が残っているとするならば、その場所は胴体部分である。


 よく見ると胴体部分は面白そうな作りをしているんだよね。外付けの鎧って言ったら良いのかな。あそこだけ接合が甘そうだから攻撃したら何かが起こりそうではあるんだよね。……狙うか。


 そう決めたクロードは何度目かの突撃を回避するとハイブリジがこちらへ振り返って来るタイミングで胴体目掛けてメテオライフルを発射したのである。そして放たれた弾丸は狙い通り胴体へ向かって飛んでいき軽めの金属音が響いて来た。それは今まで当たった時の音とは全然異なるものであった。


 ……ん? なんだあの音は。手ごたえは相変わらず無いが、違いはあったぞ? なんて言うか軽い金属音だった。……弱点では無いにしろ何かしらの秘密はありそうだな。なら狙うしか無いでしょうよ!


 クロードはまっすぐハイブリジの方を向くと出方を伺った。当然のように彼女はこちらへ突撃を仕掛けようとして来たのである。先程までなら回避をするのだが今回は違う。突撃を確認してからクロードはスイッチを押し込んだ。


 2人の間の距離とハイブリジの速度からすれば突撃が届くのに2秒程度かかる。従って突撃が始まった時からスイッチを押せば丁度至近距離になったタイミングで【エクスプロージョン】が発動すると言う訳である。


さて、【エクスプロージョン】を全弾胴体に当てたらどうなる? ……あれ?


 ハイブリジは確かにクロードに突撃を仕掛けていた。それは間違いない。しかし直後突撃をキャンセルすると一転して距離を取ったのである。近づかれることを前提にした作戦だったが故に失敗である。全弾胴体に当てるどころかこうして全弾回避されてしまったのだ。


 ……なるほどね。どうやら狙いがバレバレだったみたいだな。まさか最初の発動で回避されるとは思ってなかったよ。こうなるとクールタイムが終わってもう一度狙うのは効果的じゃ無いな。同じ手順で回避されるのなら無駄撃ちも良いところ。通常射撃でチマチマ削って行くしか無いっぽいね。


 【エクスプロージョン】が回避されてしまったのは計算外ではあるが、距離を取って来たことはクロードにとっては良いことである。今こそ遠距離武器の力の見せどころである。かなり距離が離れているため突撃を仕掛られたとしても通常射撃を発射してから回避して間に合うくらいの余裕があった。


 さっきと同じ軽めの金属音だな。やっぱり聞き間違えでは無さそうだ。あと何回撃てば良いかは分からないけど何かは起こるはずだよ。それまでは通常射撃で頑張るしか無い。


 クロードはやはり胴体を狙い続けるようだ。幸いハイブリジは距離が離れているためか突撃以外の攻撃を仕掛けて来ないのである。そうであれば狙って弾丸を当てることはクロードにとって大して難しい事ではない。数えて4発目の弾丸が胴体に当たった時、それは起こった。


 何かが起こるとは確かに思ったけどよ。…こいつはかなり予想外だ。


 クロードはまっすぐハイブリジを見ていた。4発目の弾丸が胴体に当たったその時軽めの金属音ではなく大きな崩れるような音が響いたかと思うと全身を覆っていた鎧が土煙を上げながら崩れ落ちた。土煙が晴れたのちに現れたのは先程よりも装備が薄くなった、言うなれば軽装歩兵のような見た目をしたE・L・Kであった。



 読んでくださりありがとうございます。

 さあ、第二ラウンドの開始です。

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