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第六十八話 心当たりはあるか?


 ……加勢に来たって感じかな? あのカブトムシ型とクワガタ型の機体も見た事があるな。そして奴らの口振りからしてさらに格が上の奴が控えているって事っぽいな。


 まったく面倒な奴らにアンドロはやられたもんだよ。……多分合っていると思うけど一応聞いておくか。


「俺はここに仲間を救出しに来た。……心当たりはあるか?」


「……お前の言う仲間ってのが誰か知らねぇがよ、確かに俺たちの上司は1人帝国の騎士を捕らえているね」


 やっぱりこいつらがアンドロを撃墜させたって事か。最初の奴は撃墜されたって言っていたからアンドロもあいつには勝ったんだろう。しかし次に出てきたこいつら……、もしくはこいつらの上司とやらにやられたってことだな。まだ消耗こそしていないが連戦はかなり厳しい。……全く厄介が過ぎるぜ。


「……んで、どうすんの?」


「……?」


 クロードは男のその言葉の意味が分からなかった。クロードはアンドロを救出しにここに来ているのであり、ネミリアの傭兵たちが帝国の騎士を1人捕らえたと自分で言っている以上は捕えられた騎士を救出する以外の選択肢が無いのである。


「さっきの奴は俺らの中でも下っ端中の下っ端。あんな奴を撃墜すら出来ないで俺たちから本気で仲間を取り戻せるって思ってんの? って聞いている訳」


 ……なるほど、どうやらかなりナメられているようだ。俺からすれば操縦している人物の顔が見えない以上は機体で区別するしか無いんだが、それほど強いようにも見えない。ただ、戦いが長引く時面倒だと言うくらいだ。


 ましてや目の前の男たちの言う俺らの中にはさっき出てきた上司とやらもカウントされているんだろう。つまりこいつらは上司の強さをかさにして威張っているだけだ。それほど気に留める必要も無い。……が、言われっぱなしは気分が悪いね。


「それに答える必要があるのか? ……仲間は救出させてもらおうか」


「……ほう? お前にそれが出来るとでも? ……お前の相手は俺たちで充分だ!」


 そう聞こえたかと思うとカブトムシ型が勢いよくこちらに突撃を仕掛けて来た。クワガタ型は静観の構えである。2対1かと思って構えていたがどうやら行われるのは1対1の連戦のようだ。


 ……攻撃は直線的な突撃と背中からの砲撃の2パターンっぽいな。砲撃は遅い分避けるのも容易いし、突撃はツノを下げる予備動作があるからな。こっちも避けるのは簡単だ。メテオライフルを回避されないように相手の攻撃の後隙を狙えばダメージをかなり稼げそうだ。


 クロードはカブトムシ型の突撃にカウンターを合わせるようにして銃撃を3発程食らわせた。それでかなりダメージを負ったのだろう。限界が近いことを示すかのように背負った砲身からは黒煙が見え始めた。


 ……そろそろ撃墜出来るかな。クワガタ型はやっぱり加勢して来なさそうだ。ただ可能性が皆無って訳じゃ無いからな。加勢される前にさっさと撃墜させた方が良さそうだ。


 カブトムシ型の砲身が発射準備を整えたことを示す光を放ったタイミングを見計らってクロードは直線上から外れると至近距離から【エクスプロージョン】を発動させた。手負いの状態で至近距離の【エクスプロージョン】が直撃すれば機体に限界が来てもおかしくは無い。


 砲身から生じていた黒煙が全体に広がったかと思うとカブトムシ型の機体は爆ぜ爆煙の中から操縦席らしきものが転がり落ちた。


「……なるほど、中々やるようだな」


「次の相手はお前か?」


「……いや、俺は無益な戦いは御免だ。あいつが撃墜されたんだ。俺が正面から挑んだって無駄だな。……さあ、奥へ行くんだ。俺たちの上司はこの奥に居る」


 思いがけない言葉にクロードはやや拍子抜けしたのである。どうやら目の前の男は戦闘もせずにクロードを奥へと通してくれるようなのだ。


 クロードとしては無駄な消耗が避けられるので願ったり叶ったりである。男の勧めに従ってゆっくり奥へと歩みを進めた。奥へと進みながらクロードはある事を考えていた。


 ……やけに素直だ。ありがたくはあるがこんな奴らにアンドロが撃墜されたと言うのがちょっと信じられない。アンドロがどのくらいの実力かは分からないが、仮にも四等騎士、こんな奴らに撃墜されるとは考えられない。となると考えられるのは2つ。1つ、奥に居る上司とやらがやばいくらいに強い。……まあ、これは有り得る話ではある。


 そしてもう1つが……。ふふ、ルピウスも同じ考えのようだな。何か言いたげに無言で首を横に振っているや。


 本来なら奥へ進んで良いと言われた時にクロードは全速力で奥へと進むべきである。それは奥に居るはずのアンドロの安全を考えれば救出は急いだ方が良い故である。それではなぜクロードはゆっくりと奥へ進んで行ったのか。


 理由は簡単である。先程押し込んだスイッチの光が戻っていないからである。再びスイッチが光り始めたその瞬間クロードはそれをすぐに押し込むためにスイッチに左手をかけつつ勢いよく翻った。翻ったクロードの視界には騙し討ちをしようと準備をしているネミリアの傭兵の姿が映っていた。


「⁉︎ なぜ騙し討ちがバレた?」


 渾身の騙し討ちによる砲撃が外れ目の前の男はかなり驚いた様子である。当たると確信していた砲撃が外れれば無理も無いだろう。しかし来ると分かっている騙し討ちを回避出来ないクロードではない。振り返った時まだ砲撃の準備中であれば避けるのは簡単である。


「お前が素直にここを通す理由が分からなかったんでね。警戒させてもらったよ」


 読んでくださりありがとうございます。

 下っ端はあの手この手でクロードにダメージを与えようとして居ます。奥にどれくらいの実力者がいるかが分からない以上は無駄に消耗はしたくないところです。騙し討ちは見事に回避しましたがこの後はどうなるんでしょうか?

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