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第六十一話 後ろから知り合いの声がする


――

スタラジア帝国

――


 ……ふぅ、無事帰還出来たな。スペシャルタスクを達成したからね、貰える報酬が楽しみだよ。とは言っても特に変わり映えのしない報酬の時もあるからな。……あれはその後さらにスペシャルタスクに派生したんだっけか? 今回のスペシャルタスクはそうじゃなくて、新しい機体か、強化書が貰えると良いな。


 ……お、そうだった。鍛冶屋に行ってピクトさんに金の設計図を預けないとな。渡すのはさっき手に入った金の設計図(陸)じゃなくて、(海)の方。間違えたらお金がものすごくもったいないからな。注意しないとね。


 鍛冶屋に行くために広い方の入り口へ向かったクロードはエリュトロを入り口近くに置くと搭乗口から降りた。そして流れるように入り口へ向かおうとするクロードを後ろから声を掛けて来る人物がいたのである。声に気が付いて振り返ると真新しいヴァッシュが鍛冶屋目掛けて近づいて来るのが見えた。


 ……今、おーいって俺を呼んでいる気がしたんだが気のせいか? 状況からしてこの真新しいヴァッシュから聞こえた気がするんだけど……?


 クロードのエリュトロのすぐ隣にその人物はヴァッシュを置くと搭乗口から降りて来たのである。なるほど声が聞こえたのは気のせいでは無いらしい。なにしろ降りて来たのはアンドロだったからである。


「やっぱりクロードだ、人違いだったらどうしようかと思っていたんだよ」


「アンドロか、……俺に用事か何かあったのか?」


「いや? 全然! ただ、知ってる人がいるなと思って声を掛けただけだよ。クロードはタスク帰りかい?」


「あぁ、そうだよ。そう言うアンドロもタスク帰りなんだろう?」


 アンドロと他愛無い話をしているとクロードはふとある事に気がついたのである。アンドロが真新しいヴァッシュに乗り込んでいるのである。とても新しそうに見えるヴァッシュに乗っている人物と言えばクロードがそうであった時にピクトに言われた言葉が思い浮かぶのだ。


「……ところでアンドロ、もしかして最近階級が上がったのかい?」


「お、気付いてくれるかい? ……実はつい昨日、四等騎士に上がってこのヴァッシュを教官から貰ったのさ。良いだろう?」


 予想通りアンドロは最近四等騎士に上がってヴァッシュを教官から貰ったようである。得意気にそう話すアンドロを見て、クロードがもうすでに三等騎士に上がっていることは話さないでおこう。内緒にした方が良いこともある。


 すると突然アンドロが真顔になったのである。クロードは自分の顔にさっき思い浮かべた考えが出ていたか⁈ と少し焦った。しかし真顔になった理由はそうでは無いようである。


「……まあ、破竹の勢いで昇格しているクロードはもう知っている話だよな。なにせ今や三等騎士なんだろう? 周りの人間みんなすげえすげえって言ってるぜ? 聞いている俺が誇らしいくらいだもんな」


「そうなのか? 全然知らなかったや」


「今はまだ負けているけどよ、絶対追いついてやるから待ってろよな。今はクロードに追いつけるよう実績を積んでるのさ。モタモタしていると一気に追い抜かすからな! ……呼び止めて悪かったな、ほら鍛冶屋に向かうんだろう? 俺は先にタスクの報告しに行ってから鍛冶屋に向かうことにするよ」


 あ、なんだ順番は待たないんだな。……まあ、誰かが後ろで待っているって気持ち焦っちゃうからね。気を遣ってくれたんだろうな。教官室寄ってから鍛冶屋に向かって誰も鍛冶屋にいないかは分からないけどアンドロが鍛冶屋に行く時は誰も来ていないことを祈っておこうかね。それじゃあ鍛冶屋に入りますか。


――

鍛冶屋

――


 クロードが鍛冶屋に入るとピクトが顔を上げた。どうやら丁度さっきまで休憩中だったらしい。読んでいたであろう新聞が乱雑に置かれていた。


「おや、お前さんか。何か持って来たのか?」


 そう言われてクロードはピクトに用意していた金の設計図(海)を差し出した。もちろん手渡す前に間違えていないか確認済みである。


「これをお願いします!」


「承った。……ほう、金の設計図だな。それじゃあ、20000G貰うぜ、いいかな?」


 そう言ってピクトが顔を上げた頃には既にクロードは机の上に必要な銀貨を並べ終わったところであった。その光景を見て満足そうにピクトは頷くと数える素振りすら見せずにその銀貨全てを一度に回収したのである。


「……確認しなくて良いんです?」


「確認済みだよ。こんだけ長くやってれば自然と金を数えるのも早くなるさ。それにお前さんはわざと金を少なく出すような人じゃ無いって知っているからね。それじゃあこの設計図は受け取ろう。作っておくから明日以降また取りに来てくれ」


 どうやらクロードはかなりピクトに信頼されているらしい。ややむず痒さを感じながらクロードは持ちものの中からパーツの珠を2個取り出した。


「パーツの珠だな。……ほれ【ブロンズセンサー】に【シャドウアロー】じゃ、大事にしろよ」


 読んでくださりありがとうございます。

 アンドロが久しぶりの登場です。彼もクロード程ではありませんが中々のスピードで実績を上げているようですね。

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