第五十八話 テンションが上下する
うん、直撃だったな。弓は難しいのかなと思ったけど意外と狙い通りに飛ぶもんだね。それにスリープマシュルを一発で倒したってことはメテオライフルと同等かそれ以上のダメージを与えられたってことだな。威力としては申し分無しだ。
《睡香石を手に入れた》
さて、ドロップアイテムも手に入れたことだし鉱物の採取ポイント探しを再開するとしますかね。……お、早速あるじゃないか。
《闇水晶の欠片×2を手に入れた》
……、いや、まあ良いけどさ。さっきそれ出てくれても良いんだよ? 別に他のタスクでも必要かもしれないから余分にあるのは決してデメリットじゃ無い。無いけどさ、……なんかモヤモヤするんだよな。……トレントアローを対モンスターで試せたってことで良しとしておくか。
それじゃあ納品だな。……ガラクタ×8に月見草×4、宵闇茸×2に闇水晶の欠片×4……と。これで漏れは無いな? それじゃあ納品っと。すぐに達成出来そうなタスクを選んだだけあって終わるのはすぐだったな。この調子で残ったタスクも達成して行きますかね。
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スタラジア帝国
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さて、……鍛冶屋に行く必要ってあったっけ? 設計図はあるにはあるけど金の設計図(海)のためにお金を貯めているから他の設計図は預けられないし、パーツの珠も…持ってないな。それじゃあ用事が無いからまっすぐ格納庫に帰って教官室へ向かうとしますか。
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教官室
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「クロードか、タスク完了の報告だな」
「そうです」
「……確かにタスクは完了している。最大数の納品に依頼者もとても満足しておられた。これらはタスク達成の報酬だ。受け取るが良い」
《7000Gを手に入れた》
《パーツの珠を手に入れた》
《普通の設計図(陸)を手に入れた》
《陸のパーツの珠を手に入れた》
《12000Gを手に入れた》
お! いっぱい報酬が貰えたな。特にお金が嬉しいや、お金はいくらあっても嬉しいからね。とりあえずこれで……新しく手に入った設計図を含めて全部ピクトさんに預けられるのか……? まあそれは後で計算してみようか。
「そして、クロード。君の働きぶりを見て依頼者から更なるタスクが君宛に寄せられている。つまり、スペシャルタスクの発生だな。……受けるか?」
お、スペシャルタスクの発生か。多分あれだな、闇水晶の欠片の納品タスクだな。やはり納品の数にばらつきがあるタスクは最大数納品した方が得ってことだ。ちょっと時間がかかったけど採取しておいて良かったよ。もちろんスペシャルタスクは受けない訳無いね。
「もちろん、受けます!」
「そうか、それではこのスペシャルタスクの申請を受けよう。タスク一覧を確認し、完了出来たならば報告してくれ。それでは健闘を祈る」
スペシャルタスクと言う名前だが数が希少だからスペシャルタスクでは無いらしい。現にクロードは幾度となくスペシャルタスクを指名され達成して来ているのである。
そして今回も特に問題無くスペシャルタスクを達成出来るだろうとクロードは考えていた。だからだろうか申請されたスペシャルタスクを格納庫へ戻りながら確認するクロードはどこかテンションが高く思われた。
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タスク一覧
興味深い生態らしい、是非討伐してくれ。
ランク:C
場所:カシオ平原
目的:ツガイヤンマの討伐
依頼者:虫好きな研究員
目には目を牙には牙を
ランク:B
場所:コールバの海
目的:真珠の尖牙×2〜4の納品
依頼者:苛立つ漁師
あの不思議な樹の秘密が知りたい!
ランク:B
場所:エリーダ高原
目的:エルダートレントの討伐
依頼者:寝不足な研究員
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スペシャルタスクはどれかな? ……一番最後に追加されたのが今回増えたスペシャルタスクだよな? 前2つは見覚えがあるしね。……タスクの目的ってエルダートレントの討伐なの? あれもう一回倒しに行かないといけないの? ……割と嫌だなぁ。
高かったクロードのテンションが一転して低くなってしまったのである。なにせエルダートレントは一度倒したとは言えかなりギリギリの戦いだったのだ。ギリギリ討伐した時の搭乗E・L・Kはヴァッシュであり、武器パーツはメテオライフルである。
そしてその装備は今も変わらずにヴァッシュに装備されているのである。従ってヴァッシュでスペシャルタスクに挑む場合、あの時からクロードが劇的に操縦テクニックが向上していない限りは同じように苦戦することが確実であると言うことである。
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格納庫
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やや肩を落としながらクロードは格納庫に戻った。それを見て驚いた表情でルピウスが駆け寄って来て口を開いた。
「どうしたんだい? ……怒られるようなことは無かったと思うけど」
「いや、別に怒られちゃいないよ。むしろ褒められたぐらいさ。そしてスペシャルタスクを指名されたから喜んでそれを受けたんだよ。……ちょっと見てくれるかい?」
心配そうに見ているルピウスにも見えるようにクロードはタスク一覧を見せた。タスク一覧にいったい何が書いてあるのかと不思議そうな顔をしながらもルピウスは見せられたタスク一覧を上から確認して行き、やがてその表情を曇らせた。
「……もしかしてそのスペシャルタスクってのはこのエルダートレントの討伐かい?」
読んでくださりありがとうございます。
前回ギリギリの戦いとなったエルダートレントに挑む必要が出てきました。もちろん放置して他のタスクを進めることは可能です。ですが一度受けると言った自分宛のタスクを放置するのは……出来ませんよね。




