第四話 戦闘訓練開始!
戦闘訓練が始まりアンドロはそのまま真っ直ぐ距離を詰めてきたのだ。E・L・Kの手にはクロードと同じノーマルブレイドが装備されている。つまりこちらが出来る操作は向こうも出来るという訳だ。従って武器の使い方を知らない内に距離を詰められる訳にはいかなかった。今日に方向転換を駆使して付かず離れずの距離感をクロードは保っていた。
「すっげぇ攻めて来るじゃんか。ルピウス! 武器はどうやって操作するんだ?」
「ハンドルの右横に十字に動かせるレバーがあるだろう?それで武器が動かせるはずだよ。ノーマルブレイドなら垂直に斬り下ろすのと横に薙ぎ払うことが出来るはず。威力が落ちちゃうから途中で止めないようにね」
なるほどこのレバーがノーマルブレイドに繋がっているのね。動きは斬り下ろしと薙ぎ払いだけど斬り下ろしは当て辛いから薙ぎ払い中心に攻めようかな。
一転して攻め始めたクロードにアンドロは距離を取るために後退した。距離を詰めながらもノーマルブレイドを振り続けたクロードは既に薙ぎ払い攻撃の射程を掴んでいた。
斬り下ろしが垂直だから薙ぎ払いも地面と平行なのかと思ってたんだけどこれちょっとだけ斜めに斬ってるんだな。端までちゃんと操作すれば振りかぶりが発生するからそれで威力も上げられてる訳ね。これは振りかぶらない場合とのダメージの差を確かめる必要があるな。
「やるねクロード! これは僕のとっておきだよ!」
アンドロがそう言うとアンドロのE・L・Kは武器を高々と掲げた。何をする気なんだとクロードが見ていると剣先に電気エネルギーのようなものが次第に集まって来たのである。
「はぁ⁈ なんだあれは?」
「あれはスキル発動の予備動作だね。見た感じは【エレキチャージ】かな? 拡張パーツで追加出来る俗に言うところの必殺技だよ」
右側のルピウスは冷静にクロードの疑問に答えた。その答えによりアンドロが何をしようとしているのかは判明した。しかし判明しただけでは何の意味も無い。
「そのスキルとやらを発動しようとしている場合はどうしたら良いんだ?」
「対処は大きく2個あるんだけど、今は1個しか出来ないな。クロード! 方向転換と前進を駆使してアンドロが自分の視界から外れないよう注意しながらアンドロの正面から早く離れるんだ!」
「了解!」
ルピウスの指示に従いクロードは器用に自分のE・L・Kを操縦しすぐにその場を離れた。元いた場所から機体換算で1.5体分動いた瞬間アンドロのE・L・Kがノーマルブレイドを振り下ろした。目で追えるかギリギリなほどのかなりの速度で電撃が放たれたのである。
「……怖えな。すっごいスピードで電撃が通って行ったぞ。あれ食らったらどうなるの?」
「食らったことが無いから分からないけどやっぱり結構なダメージになるんじゃない?」
「ルピウス、俺のノーマルブレイドにも何か付けてただろ? もしかして俺もあんな感じのスキルが撃てるのか?」
クロードの質問にルピウスの声のトーンが少し上がった。恐らく早くその話がしたかったのだろう。嬉しそうにルピウスはクロードの質問に答えた。
「もちろん! ハンドルの左上にカバー付きのスイッチがあると思うんだけど分かるかい?」
「左上にカバー付きのスイッチ? ……あぁ、これか。あったよ?」
ルピウスの言葉に従って目を向けて見ると確かにカバー付きの水色のスイッチが1つ設置されていた。これがそうなのだなと判断しアンドロにも注意を向けつつカバーを外した。ルピウスが押して良いと判断すればすぐにでも押す準備は出来ている。
「そのスイッチを押せばスキルが発動するはずだ。僕が取り付けた拡張パーツに入っているスキルは【ブレイドショット】」
ルピウスのその声に呼応するかのようにクロードのE・L・Kの右手のノーマルブレイドの刃が水色に淡く輝いた。
「なんか凄そうなのは分かるんだが、どうやったらそのブレイドショットってのが効果を発揮するんだ?」
「【ブレイドショット】はノーマルブレイドの一部攻撃に追加で斬撃を飛ばすことが出来るようになるスキルさ。試しに右薙ぎ払いをやってみてよ」
言われるがままクロードはレバーをしっかり右端から左端まで動かした。それに呼応してE・L・Kがノーマルブレイドを振りかぶって薙ぎ払った。
距離を取っているためアンドロのE・L・Kに薙ぎ払いは当たらなかったが刀身に宿った淡い光が軌跡を描きながら高速で飛んで行ったのである。先程の【エレキチャージ】よりは遅いが反応が遅れれば食らってしまうくらいには速く斬撃は飛んで行った。
アンドロは【ブレイドショット】に反応が遅れたため直撃してしまい軽くふっ飛ばされた。それを見る限り【ブレイドショット】は薙ぎ払いよりも威力が高いようである。やはりスキルは強力だとクロードが感じながらふと手元を見るとノーマルブレイドが今は光っていないことに気がついたのである。
読んでくださりありがとうございます。
戦闘訓練はスキルの応酬になってますね。E・L・Kの戦闘はこのように武器を操りながら要所要所で的確にスキルを相手に当てることが1つのポイントであります。そのためにはスキルの内容はもちろん機体の特徴も把握しておかないといけません。




