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第四十八話 階級の昇格


 レオからの戦闘訓練の終了を知らせる放送を聞きながらクロードはふぅと1つ息を吐いた。ギリギリの勝負だった。賭けに出なければ達成出来ないほどにラッケルは強敵だったと思い知ったのである。


 クロードは迫り来るラッケルに対して前にペダルを踏み込んでラッケルの攻撃を誘った。この時クロードは二つの賭けに出たのである。一つはラッケルが薙ぎ払い攻撃を仕掛けてくるか否かである。


 ラッケルは最初の攻撃で薙ぎ払い攻撃を行いクロードを吹っ飛ばしたのだ。同じパターンで攻撃して来るのなら攻撃は受けることになってしまうものの、吹き飛ばされることで距離を取ることが可能である。そして狙い通りラッケルは薙ぎ払い攻撃を仕掛けて来たのだ。


 そしてもう一つはわざと攻撃を受ける際、ガードをすれば装甲が完全に破られないように消耗を抑えられるか否かである。


 もちろんガードすることで思うよりも遠くに吹っ飛ばされない可能性もあったがガードせずに受けたことで撃墜されては元も子もない。幸いにもガードによって装甲はルピウスが装甲の消耗を告げる程度に留まった。ガードしなければ撃墜されていただろう。


 賭けに勝ったクロードは体勢を立て直しながらコックピットの左を見やった。【エクスプロージョン】のスイッチはいつでも押せるよう黒く輝いていた。そして戦闘訓練の残り時間は0:09と表示されている。


 ここでクロードはラッケルの出方をうかがった。ラッケルは先程吹っ飛ばした時とは違いスキルは使わずに距離を詰めるために迫って来るようだ。とは言え吹っ飛ばされて出来上がった距離には余裕があり、【エクスプロージョン】も発動可能である。クロードは黒く輝くスイッチを押し込んだ。


 ローゼルはガードの構えである。全弾当てて吹っ飛ばそうがガードされようがクロードにとってはどちらでも構わない。なぜなら【エクスプロージョン】が発動する頃には残り時間はもう無くなっているからである。


「……これはしてやられたな。どこまでが作戦だったんだい?」


「いやいや、作戦なんて。咄嗟の判断ですよ」


「……ふふ、咄嗟の判断であそこまでしてやられるとはね。正直機体差を加味すれば5分で撃墜は余裕だと思っていたんだが、それでも撃墜出来なかったんだからクロードくんは文句なしで三等騎士になれるさ。さ、早く教官室へ戻るんだ」


 ラッケルは完敗だという態度を見せながらクロードを送り出した。そう言えばこの戦闘訓練は三等騎士になるためのものであったとクロードは思い出し急いで教官室へと戻るのであった。


――

教官室

――


「……クロードか、戦闘訓練では見事だった」


「ありがとうございます。……それで、その昇格の件は……」


 クロードがやや遠慮がちにそう尋ねた。あまり食い気味に昇格について聞くのはどうかと思ってはいるものの文句なしで三等騎士になれると言われてやや浮き足立っているのである。そんなクロードの様子を見ながらレオは含み笑いを浮かべていた。


「ふふ、……実はラッケルにはわざと強い機体で挑んでもらうように頼んであった。そして遠慮なく戦ってもらって構わないとも言ってある」


「……そうなんですか?」


「あぁ、格上と戦うという設定の戦闘訓練だからな。今回のように機体が相手の機体に劣ることは有り得ない話では無い。むしろ階級が低ければ低いほど戦場では起こり得る話だ。……三等騎士ともなればそんな場面にも遭遇することになるだろう。その時は今回の訓練が君に成果をもたらしてくれるはずだ」


 そこまで言ってレオはニコリと微笑んでさらに続けた。


「クロード! ……カードキーを私に渡してもらえるかな?」


「どうぞ」


 レオはクロードにカードキーの提示を求めた。クロードにとって二度目となるその行為の意味をクロードはもちろん覚えている。レオは預かったカードキーを操作してクロードの階級を四等騎士から三等騎士に昇格させたのだ。


「……よって二等騎士レオの名においてクロードの三等騎士昇格を認める。これからは三等騎士として一層タスクに励むが良い」


《三等騎士に昇格した!》

《リビエルが使えるようになった。》


 ……リビエル? これまた聞いたことの無いE・L・Kが使えるようになったな。順番的には次はローゼルかと思っていたんだけどね。……いったいどう言うE・L・Kなんだろう?


 ウィンドウの表示を見ながらやや困惑しているクロードに、三等騎士と記載されてているカードキーを返しながらレオが説明し始めた。


「三等騎士になった者には全員旧型だが海戦用のE・L・Kであるリビエルを進呈している。リビエルは比較的バランスが取れたステータスのE・L・Kだ。特に苦手な武器パーツは無い。どのタスクでも一定してそれなりの活躍をしてくれるだろう。海戦が絡むタスクなら是非搭乗すると良い。……説明は以上だ。さて、どのタスクを申請するんだ?」


 へぇ、それじゃあこのリビエルは海戦用のE・L・Kなんだな。初めて手に入ったや。海戦用の武器パーツって言うと……、ギガントキャノンだっけ? 思っているより出番は早かったな。海戦が絡むタスクがどれか分からないけどまあ多分タスク一覧を見れば分かるでしょう。……それじゃあタスクを選


「あぁ、そうだ。クロード、君に言い忘れていた事がある」


「……言い忘れていた事ですか?」


「そうだ。君は以前依頼者の欄に悩める貴婦人と書いてあるタスクを達成したことを覚えているか?」


 読んでくださりありがとうございます。

 前話はラッケル視点でしたがクロード側の視点も面白いですね。

 三等騎士になったことでリビエルが手に入りました。クロードにとっては初めての海戦用E・L・Kであります。

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