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第三十九話 青いオーラ


 このままスキルを畳み掛けられればクロードは接近すら敵わずにみすみす撃墜されてしまうだろう。攻撃を狙うならスキルを発動させる予備動作の時である。飛んでくる斬撃を回避しながらクロードは次のスキルが発動される予備動作を待っていた。先程と同じような攻撃パターンなのだとしたら次にパディンは【エレキチャージ】を撃ってくるはずだ。


「まだまだぁ!」


 やはり予想通りパディンは【エレキチャージ】を撃つための予備動作に移行したのである。スキルは発動するための予備動作の時間は他の行動を取れない無防備な状態、つまり回避出来るのなら攻め時でもあるのだ。


 本来射撃する際はレバーを最大限使う事で最大の威力の射撃が放つ事が出来る。しかしスキル予備動作の移行を確認してから最大の威力の射撃を撃つとその後の回避が間に合わない。


 そこでクロードはメテオライフルを最小かつ最速で発射し続けることを作戦として選んだ。狙い通りクロードはパディンが【エレキチャージ】を溜めている間にメテオライフルの射撃を撃ち込む事に成功したのである。


 ……良し、このまま撃ち続ければ何とか勝てそうだ。ただ相手の装甲がどれくらいなのかがさっぱりわからない。今までの傾向がいつ崩されるのかも不透明だからどこかで最大限の威力の射撃を当てたいところだな。


 そんな事を考えながらクロードはそこからさらに4発程パディンがスキルを発動させる度にメテオライフルの射撃を撃ち込んでいったのである。今までの戦闘ならばこの辺りで撃墜出来ているだろうが射撃の威力が低くなっていることに加えパディンのE・L・Kの装甲が高いのだろう。今のところ撃墜できる気配は見えない。


 しかしダメージは確実に与えられているようだ。自分の放つスキルは当たらないのに何度かクロードの射撃を食らってしまっていることでパディンに少し焦りが見られたのである。


「小賢しい……! 何故スキルが当たらないんだ。そろそろ当たっても良いはずだが? ……ただ者じゃねぇって事か。面白ぇ、あんたになら3個目のスキルを発動させても良さそうだ!」


 どうやらパディンは3個目のスキルを発動させるようだ。クロードは今までのスキルを全て知っていたからこそ対処しながら攻撃をする事が可能であった。……しかし残念ながら3個目のスキルはクロードが全く知らないスキルであった。


「……! 何だ? 青いオーラ?」


 パディンは全身に青いオーラを纏ったのである。そんな事が起こるスキルをクロードは知らない。思わず口に出した言葉にパディンは満足気にこう答えた。


「これは【プリズムオーラ】。一定時間の間攻撃と速度を1.3倍にするスキルさ。そしてこのスキルの恐ろしいところはこの状態で別のスキルが発動可能だと言う事さ」


 そう言うとパディンはトライソードを大きく振りかぶった。E・L・K自体が青いオーラを纏っているため目視では確認しづらいがパディンの言葉からして【ブレイドショット】が放たれるに違いない。速度が上がっているのならメテオライフルを撃っている暇は無い。そう判断してクロードはすぐさまパディンの正面から外れた。


 予想通り先程よりも速い速度で斬撃が飛んで行ったのである。パディンが【プリズムオーラ】を発動させている間は攻撃する暇が無さそうだ。そうクロードに判断させるのには充分な一撃である。そしてそう判断させるのはパディンの狙いでもあった。


「このスキルの発動中はあんたのその面倒な射撃も出来ないだろう? だからあんたはこのスキルが終わるのを待っているはずだ。……だが哀しいかな、このスキルは終了してからのクールタイムが長過ぎる代わりに効果時間も長くなっている。少なくともあと1分はこの状態だぜ」


 ……なるほど、つまり【プリズムオーラ】って言うのは戦闘時に連発は出来ない代わりに長い効果時間を実現させているのか。だが3個目のこのスキルは出し渋っていたと言う事は何かしらのデメリットがあるか、はたまた追い込まれているかのどちらかだな。……もしかするとこっちのスキルを全弾当てられれば撃墜出来るんじゃないか?


 そう考えたクロードは黒く輝くスイッチのカバーを外しながら全弾を当てるために少し前に進んだのである。それを見たパディンはトライソードを上に掲げたのだ。


「前に進んで来るとはなぁ! やけになったか? 果たしてそんな距離で避けられるかな?」


「……【エレキチャージ】か? 何だか構えが違う……?」


 一旦前に進むのを止めたクロードはパディンの構えが先程と異なる事に気がついた。トライソードが先程より低いのだ。微妙なその違いに気づいたその瞬間【エクスプロージョン】のスイッチを押し込んだのは最早無意識のうちにである。


「ほう、良く気づいたな。だがこの距離なら回避は出来まい!」


 パディンはトライソードを上に掲げたままこちらへ接近して来たのである。つまりパディンは【エレキチャージ】の予備動作を真似ることでスキルが来ると思わせて接近しようと試みたのだ。実際クロードが何をする訳でも無く接近する事が出来たのだ。振りかぶったトライソードがヴァッシュ目掛けて振り下ろされた。


 読んでくださりありがとうございます。

 【プリズムオーラ】は攻撃と速度を一時的に上げられるスキルです。パディンも言っていましたがクールタイムを犠牲にして長い効果時間を実現させているかなり厄介な代物です。

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