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第三十三話 逃げる逃げるよどこまでも


 素早くなったとは言え向かってくるツガイヤンマにメテオライフルの射撃を当てるのはそう難しくは無い。現にクロードはリロードが終わってすぐにレバーを引き下げて見事に命中させたのだ。しかしこれで倒し切れるほどツガイヤンマは甘くは無い。


 メテオライフルの射撃に怯む事なくツガイヤンマは距離を詰めてきたのだ。メテオライフル自体はそれなりに大きさがある武器であり銃口よりも近くにいられると射撃が当たらなくなる。手元を齧り尽くそうとしているツガイヤンマに迫られクロードはピンチに陥っていた。


 しかしまだやりようはある。クロードは銃口の高さを調整するレバーに手をかけると下げたり上げたりを繰り返したのだ。見た目は手元を襲われてもがいているだけにしか見えないが効果はあるようだ。ツガイヤンマが弾き出される形で少し距離を取ることに成功したクロードはすぐさま黒く輝くスイッチを押し込んだ。


 手元に齧りつかれるような真似はしない。そう言い聞かせながらツガイヤンマに銃口を突きつけエクスプロージョンを発動させた。全弾直撃したツガイヤンマの体力は残ってはいない。光を放ちながら消えていったのだ。


 ……ふぅ、何とか倒せたな。厄介なモンスターに襲われたよ。クィッカーに気付かれないように気を張っていたら別のモンスターに襲われるとはね。ちなみにドロップアイテムは何だろう?


《見通す薄羽を手に入れた》

《ヤンマのお頭を手に入れた》


 強くはあったけど宝箱が手に入る程では無かったようだね。まあこいつを倒すためにカシオ平原に来たわけじゃないから副産物でしか無いし、これで何かタスクが達成出来るならラッキーぐらいに思っておこうか。


 クロードはMAPの表示を確認した。タスクで討伐対象に設定されているためクィッカーはMAPで表示されているのだ。先程見かけたものはどこかへ逃げてしまったようだが幸いまだ何匹かはカシオ平原にいるようだ。


 ツガイヤンマに苦戦した事を思えばクィッカーもまた一筋縄では行かないだろう。となれば表示が重なっており複数同時にいるクィッカーを狙うのは愚策である。ツガイヤンマに再び遭遇しないようにMAPの表示が重なっておらず、近くに草が生い茂っていない場所にいるクィッカーに狙いを絞ってクロードは捜索を再開した。


 首尾よくクィッカーを見つけたクロードは発覚されないよう注意しながらさらに良い位置取りをするために移動を試みた。その結果ギリギリメテオライフルで届きそうな位置にいるクィッカーの後ろを取る事に成功したのだ。


 ……よし、気付かれて無いな。それじゃあ遠慮なくぶっ放しますか!


 勢いよく発射されたメテオライフルの射撃は気付かれないままクィッカーの足元に見事命中したのだ。驚いたクィッカーは転倒してしまっている。つまりこれはチャンスである。至近距離からエクスプロージョンなり通常射撃なりを食らわせようとクロードは近づいた。


 いきなり背後から攻撃されたクィッカーであったがまっすぐ接近を許す程甘くはない。すぐに体勢を立て直すとその場から移動し始めた。並のモンスターなら問題無く次の攻撃まで繋げられただろう。しかしクィッカーは俊足クィッカーなのである。凄まじいスピードでクロードを引き離すとやがて目視出来る範囲から逃れてしまったのだ。


「速すぎないかい? もう見えないんだけど」


「クィッカーは逃げ足のあまりの速さからその名が付いたからね。でも大丈夫、今ならMAPに表示されているからMAPで高速に動いているものがあるでしょう? それがさっき攻撃した奴だよ」


 なるほど、確かに今MAP上で一個凄いスピードで動く点があるわ。これがさっきの奴って事ね。見た感じぐるっと回ってくるみたいだから逆に行って待ち構えようかな?


「……あ、そっちは」


 先程攻撃したクィッカーを待ち構えるため振り返って進み始めたクロードだったが突然ルピウスが慌ててそれを制止した。だがしかし強く踏み込んだペダルはそうすぐには止まってくれない。ようやく止まった時左横にビックホーンがこちらへ今にも突撃を仕掛けようと準備をしているのがクロードにも見えた。ルピウスの制止は少し遅かったようだ。


 ビックホーン⁉︎ 待ってさっきのツガイヤンマとか言う奴で割と消耗したんだから今は戦いたく無いって。全部避けたら疲れて諦めるとかない? とりあえず全部回避しよう。


 突撃を仕掛けて来るビックホーンを避けながらクロードはMAPでクィッカーの位置を確認していた。どうやら走り回った挙句クィッカーは先程とほぼ同じ位置まで戻っているようだ。逆に戻る判断は正しかったようだ。クロードはMAPを確認しながら器用にビックホーンの突撃を回避していた。


 ……大分気にしないといけないけど、突撃自体は直線的だから避けるのはそう難しく無いな。……クィッカーはあそこだな?


 ビックホーンを避けながら先程の位置近くまで戻って来たクロードはクィッカーを見つけたのだ。何度目か分からないビックホーンの突撃を回避したクロードは翻ってレバーを引き下げた。避けながらの射撃は相当難易度が高いが見事にクィッカーに命中しそれで体力が無くなったクィッカーは光を放ち消え去った。後はウィンドウから帰還するだけである。


 しかしクロードはまだ帰還しようとしない。せっかくクィッカーを討伐したのだ。ドロップアイテムも一緒に持ち帰らなければ損だろう。という訳でビックホーンの突撃を避けながらクロードはドロップアイテムの回収を試みた。


《強靭な腿肉を手に入れた》

《強靭な腿肉を手に入れた》


 よし、確保! 帰還します!


 クロードはウィンドウを開いて帰還を選択した。タスクを達成している場合帰還するのは一瞬であり、わざわざ門まで戻る必要は無い。つい先程まで中々当たらない突撃を仕掛けていたはずの相手が突然消え去り、後には不思議そうに首を傾げるビックホーンだけが残されたのであった。


 読んでくださりありがとうございます。

 ようやくクイッカーの討伐が終わりました。ビックホーンも絡んで大分わちゃわちゃしましたが討伐できたのは良いことです。ちなみにヤンマのお頭はパワーアップしたツガイヤンマを倒すことで手に入るレアドロップです。これも良かったですね。

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