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第三十一話 何か忘れていないか?


「…どうしたんです?」


「わしの事を考えてくれておるようで嬉しいんじゃよ。こう綺麗に並べてくれるなら数えるのも楽だからの。確かに20000Gだ。それじゃあ、明日以降また取りに来てくれ。ほかに何かあるか?」


 どうやら感謝されているようだがそれは前回のクロードの行動が嬉しくないものであったことも同時に伝えているためクロードは微妙なぎこちない苦笑いを浮かべていた。パーツの珠を持っていたか分からなかったのでとりあえずアイテム欄を探って見たところパーツの珠が1つだけ見つかったのでそれをピクトに手渡した。


「これもお願いします」


「パーツの珠だな。……ほれ【アクセルエンジン】じゃ、大事にしろよ」


 【アクセルエンジン】か。まあ既に持っているスキルではあるけど拡張スロットの数の限界が1つでは無さそうだからな。こう言う汎用的なパーツはいくらでも持っていて損は無いね。……そう言えばその前に手に入ったパーツって何だったっけ? 性能を確認するって思いながら完全に忘れているんだよね。……ええと。


――

ブロンズセンサー

このパーツを装着した武器パーツを装備しているE・L・Kに搭乗中報酬金を10%増加させる。

――


 あぁ、そう言うスキルか。今のところの傾向からしてパーツの珠の前に何も付いていないものはこういう汎用的なスキルが手に入るんだろうな。ただ、手に入るスキルの効果割合が全部10%なんだよな。多分これが1番ランクが低いってことなんだろうか、名前にもブロンズって付いているしね。ゴールドとか名前に付いていたら効果割合はどれくらいになるんだろうね。


 スキルの効果を確認したクロードはタスクの報告のために教官室へ向かうようだ。ピクトに軽く挨拶をしてからヴァッシュに乗り込むと格納庫へと移動したのだ。最早慣れた動作にすら感じる、格納庫へ戻り所定の位置にE・L・Kを戻してから操縦席から降りるという一連の動作を終わらせてクロードは教官室へ向かったのであった。


――

教官室

――


 教官室の扉をノックする拳にはいつもより力が入っていた。それはスペシャルタスクの報酬に期待しているからに他ならない。なにしろ前回はルブールが貰えたのだ。ルブールは旧型機ではあるが貴重なE・L・Kなのである。そして今回はその時のスペシャルタスクよりランクが上がっている。これで期待するなと言うのは無理な話なのである。


「クロードか、タスク完了の報告だな」


「そうです!」


「……確かにタスクは完了している。これはタスクの報酬だ。受け取るが良い」


《パーツの珠を手に入れた》

《普通の設計図(海)を手に入れた》

《10000Gを手に入れた》


 ……おぉ? いっぱい貰えたは貰えたけど、……普通? いや、今までの設計図は(陸)って書いてあるものばかりだから(海)は初めてなんだけど……、あれ? スペシャルタスクの報酬ってE・L・Kなんじゃないのか? 報酬が普通だぞ?


 クロードの頭はひどく混乱していた。それも無理は無い。豪華な、もしくは普段は手に入らない報酬を期待していたのだ。それが普通のタスクの報酬とほぼ変わらないものだったのだ。


 思い込みでしか無いが半ば裏切られたような気持ちを抱えながらもクロードはタスクの申請をするために右横のホログラムにカードキーを設置した。見ているのは手持ちのアイテムで達成出来そうもしくは達成が比較的簡単そうなタスクである。クロードが画面を見ながらタスクを申請しようとした時ある事に気がついた。


 ……あれ? このタスクの表示だけ申請中ってなっているな。カシオ平原でクィッカーの討伐……? なんだか見覚えがあるような。……あ、そうか。そう言えばタスクを全部達成したわけじゃ無かったな。エリーダ高原で達成出来そうなものからタスクをこなし始めたんだった。


 クロードが気がついたようにこのホログラムは既に自分が申請しているタスクも表示される仕組みなのである。そして申請されているかどうかを見分けるためにすでに申請しているタスクに限り申請中と表示されるのだ。


 クロードがやらずにいたタスクはカシオ平原でクィッカーと言うモンスターを討伐するだけのタスクである。そんなものはすぐに達成出来るだろう。そう考えたクロードはレオに敬礼をしてから急いで教官室を出ると出発するために格納庫へと急いだのだ。……しかし


「ヴァッシュは今整備中だよ。タスクに行きたいなら別の機体で行くか、明日まで休んで整備が終わってからにするかのどっちかだよ」


 カシオ平原に行くためにヴァッシュに乗り込もうとしたクロードはルピウスに止められたのであった。止められると思っていなかったクロードはルピウスの顔を見てからまじまじとヴァッシュの機体を見た。すると細かい傷があちらこちらについていることに気がついたのである。クロードは相手の攻撃を食らった覚えは無かったためこの傷がいつどこでついたものか心当たりが無かった。


「いつの間にこんなに消耗していたんだ?」


「いつの間にって、エルダートレントと戦っている時何度か拘束されかかっていたでしょう? あの時少しずつ装甲が削られていたんだよ。もしあの時エルダートレントが拘束じゃなくて普通に攻撃を仕掛けていたら確実にクロードはあそこで撃墜していたね」


 クロードが記憶している限りでは拘束されたのは最初と最後の2回である。たった2回の拘束でこれだけの消耗をしていたのかと今更ながらにクロードはエルダートレントの強さを思い知るのであった。


 読んでくださりありがとうございます。

 クロードはクィッカーの討伐のタスクの事をすっかり忘れていたようです。こうならない様にタスク一覧からももちろん確認できますしこうしてタスクを申請するホログラムからも確認できるようになっています。なので多少忘れていたとしても問題はありません。

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