第二十話 感じた違和感の正体
さて、さっさとタスクを完了させて四等騎士に昇格するとしますかね。と言ってもまったくの初見の場所で戦闘するのは流石に危ないからね。色々と先に調べておこうか。
「ルピウス、ちなみにそのロックファルコンって言うのはこのエリーダ高原のどの辺りにいるんだ?」
「大体真ん中辺りで報告されていることが多いかな。大体の場所をそっちのMAPに表示させようか?」
お? そんな事も出来るのか? すごい助かるぞ、それは。
「それは非常に助かる。すぐにお願いしたい!」
「了解。……ええと、これで表示されているかい?」
「……お、表示された。ありがとう!」
「どういたしまして」
MAPで赤い点で表示されているのが多分そうだな。それじゃあそこに近づかない程度に採取ポイントを巡りながらここがどんなところか確認していきますかね。
……数分後、
……まあこんなものかな。結構採取出来たんじゃない? ちょっと持ちもので確認してみるか。
――
持ちもの
採取アイテム
薬草×5
肉厚アロエ×4
グリーンハーブ×2
ジメジメシダ×3
ジミキノコ×3
シビレダケ×2
ネムリダケ×1
ガラクタ×10
銅×2
鉄×1
カシオスギ×5
オオカシ×2
エリーダブナ×3
腐った肉×2
謎の毛皮×4
――
こうして見ると大分採取出来た気がするね。ところどころカシオ平原でも見た奴も採取出来たんだけど、ジメジメシダとかネムリダケとか初めて見た奴も当然あったな。
……しっかし、あんなに採取するのに苦労した鉄がポロって採取出来るんだね。さっさとエリーダ高原に来た方がタスクを進める効率が良かったぜ。まあそれは良いや、とにかく大体の感じはもう分かったから今度はロックファルコンに挑むとしますかね。
クロードは採取に満足するとロックはファルコンを討伐するためMAPを頼りにエリーダ高原を進んで行った。なるほど確かに表示されている場所には石のように硬そうな皮膚に見える大きめの鳥が地面に止まって休憩をしているようだ。チャンスと思ったクロードが接近を試みた時ふと違和感に気づいたのである。
「……ん? こいつどこかをじっと見てるのか?」
「どうしたの? 早く討伐しないの?」
「……どこを見てるんだろう? 視線の先には見た感じ大きな岩しか無いが……、うん?」
ロックファルコンの視線の先にはなんの変哲も無い大きな岩しか無い。考え過ぎかと思ったその時クロードの違和感が確信に変わったのである。見た感じはなんの変哲も無いただの大きな岩だが周りを見渡すと他に同じような岩が見当たらないのである。つまりこの大きな岩に見えるものはこの場所には元々無かった何かなのである。
「岩なら良し、岩じゃないなら動くからそれで分かるな。ロックファルコンはMAPを見る限り他の場所にもいるっぽいから別に飛び去っても問題無し。それよりも不審なこれが気になって仕方がない。見た感じ岩に擬態したカエルってところかな? お前の正体を明かしてもらおうじゃないの!」
クロードはノーマルバレットを構えると大きな岩に照準を当てコックピットの左上の黄色いスイッチを押し込んだ。数秒のための後放たれたエレキチャージは真っ直ぐ大きな岩目掛けて飛んで行った。着弾する直前に大きな岩が突然こちらを向いたかと思うと横に大きく飛び跳ねてエレキチャージを回避したのである。
ロックファルコンは驚いたのかどこかへ飛び去って行った。クロードはそれを横目で見ながらエレキチャージを見事に回避した物体をじっと観察していた。
岩に擬態したカエルだと言うクロードの予想は半分当たっていたと言えよう。擬態するのをやめたそれは見ためこそカエルに似ていたがカラーリングが生き物のそれとは全く異なっていた。口らしき場所が開いたかと思うと黒く光る大砲の筒が中から出て来たのだ。
「人がせっかくこっそり狩りを楽しもうってのに邪魔する奴はどこの誰だ? うん? 言ってみろ! まさか民間人ではあるまい。……ならスタラジアの下っ端ってところか?」
あの大砲の感じと言い間違いなくあれはE・L・Kだろう。見た事無いフォルムをしているけどな。……スタラジアの下っ端って言ったってことはスタラジアの人間じゃないのか?
「……この動物をデフォルメしたデザインのE・L・Kには見覚えがあるよ。僕の見覚えが間違い無ければこいつはネミリアの傭兵だよ」
……ネミリアの傭兵?
読んでくださりありがとうございます。
ネミリアは後ほど詳しく書きますがスタラジア帝国から海を越えた先にある王国になります。ネミリアでは王国直轄の傭兵部隊がE・L・Kを使っています。なぜその傭兵がこんなところにいるんでしょうか。