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第十七話 隠れた仕様


 良し! ちゃんと条件を満たしていたな。討伐するのに4発もかかったから途中で気づかれた判定とかになるならどうしようかちょっと心配していたんだよな。でも無事に手に入って良かったよ。……討伐に4発かかるんだよな、リロードの10秒の間に絶対気づかれるだろうからスロウピグレットを探す前に先に2発その辺に撃っておくか。


 特にどこも狙わずにクロードは再びレバーを握りしめてボタンを押し込んだ。しかしここで小さなアクシデントが起こったのである。それはクロードがレバーを勢いよく下げたその時ボタンから手が僅かに離れてしまったのだ。


 幸い手が離れてしまったのは発射された後であったために銃弾は問題無く発射された。発射失敗してしまうのではと慌ててボタンを押し込んだクロードだったが、押し込んだ時にルブールは既に次の発射準備を済ませていた。もちろんレバーをそのまま下げれば弾は発射されるのである。


 ……うん? ちょっと待てよ。……これもしかして。


 何かに気づいたクロードはいやに長く感じる10秒のリロードの後、確かめるように6発やり方を変えながら撃ちきったのである。


 ……やっぱりちょっと早いな。銃弾が発射された直後のタイミングで1回ボタンから手を離せば次の射撃までのラグを小さく出来るみたいだ。ちょっとタイミングがシビアだけど出来るようになればこの系統の武器パーツを扱うのが格段に楽になるぞ。


 クロードが気づいたのはこのゲームの仕様を上手く活かした現象である。


 通常の銃系統の武器パーツの場合、銃弾を撃ってからそのまま次に撃つまでの準備にかかる時間と通常の状態から銃を構えて撃つまでにかかる時間を比べた時、後者の方が時間がかからないのである。


 つまり銃弾を撃った直後に撃つ構えを解き、またすぐに撃つ構えに戻る場合、撃つ構えを保持したまま撃ち続けるよりも時間がかからないのだ。


 良し良し、これで討伐が格段に楽になったな。スロウピグレット討伐に必要な弾数は4発。ぱぱっと終わらせるとしますかね。……お、スロウピグレット発見!


 バン! バン! バン! バン!


 良し! 討伐完了だな。このくらいのラグだったら別に気にならないね。ただ威力が多少落ちても良いから連射出来る銃があればもっと良いんだけど。……でもまあこれでも悪くは無いな。さて、ドロップアイテムを確認しようか。


《子豚のあばら骨を手に入れた》


 うん、これで全部集まったね。特に周辺で採取出来るものに今必要なものも無いし、さっさと納品して帰還するとしますか。納品するのは……これで終わりかな?


《タスクを3件完了しました。すぐにスタラジア帝国に戻りますか?》


 お、大丈夫そうだな。それじゃあ帰還しましょうか。帰ったらまずあそこに向かわないとね。


 カシオ平原からスタラジア帝国へ戻って来たクロードはやや急ぎ足で鍛冶屋へと向かった。その目的はもちろん宝箱から手に入った金の設計図をお願いするためである。普通の設計図から手に入る武器パーツとの違いをクロードはかなり気になっていたのだ。勢いよく鍛冶屋へ現れてすぐさま設計図を差し出すクロードにピクトは呆気に取られていた。


「これをお願いします!」


「……あぁ、承った。……ほう、金の設計図だな。運の良い奴だ、騎士に成り立てでこうも早く金の設計図を持って来た奴は居なかったな」


 ピクトは微笑むと金の設計図を持って来たクロードを素直に賞賛した。そのことが尚更クロードを気分良くさせたのである。しかしクロードはあることをすっかり忘れていたのだ。金の設計図をクロードから受け取ったピクトは微笑んだままさらにこう続けた。


「それじゃあ20000G貰うぜ。良いかね?」


 そうだったね、お金が必要なんだよな。20000Gね、……にまん?


「……今20000Gって言いました?」


「おう、20000Gだ。金の設計図は強力なものが増える分作るための値は上がる。ちなみに言っておくが、虹の設計図なら100000Gが必要になる。……料金が上がることを説明してなかったか?」


「……あぁ、確かに言っていたような……。申し訳ないんですけど、今20000Gも持ってないです」


 設計図を渡しておいてお金を払えないとなるとピクトはがっかりするか怒るかするだろうと思ったが、無いものは仕方ない。素直にお金を持っていないことを白状するとそれを聞いたピクトは予想通りとばかりにニヤリと笑みを浮かべた。


「やっぱりな、あんまり持ってくるのが早いから料金を知らずに持って来たんじゃねぇかと思ってたのよ。まあ金が足りねぇのはよくあることじゃの。気にするもんでもねぇ。この設計図は返しとくよ。また金に余裕が出来たら持って来るが良いさ。なぁにこれをすぐに手に入れたお前さんだ、金なんてすぐに貯まるさ」


 読んでくださりありがとうございます。

 こういううまく使いこなせれば大いに武器になる隠れた仕様が個人的には大好きです。

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