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第百四十七話 これが私のとっておき


「ご名答って言いたいところだが外れだ。パディンは私のとっておきがかなりお気に入りのようでね、ただ速度を上げるだけの【ブルーオーラ】を【プリズムオーラ】だなんて嘯いているのさ」


 ……なるほど、それじゃあパディンが使って来たのは【ブルーオーラ】であって【プリズムオーラ】では無いってことか。ただ、体感的に効果はパディンが言っていた通りだろう。……確か一時的に攻撃と速度を上げるだったかな。かなり厄介だし効果時間も長いから対策がしづらいけど、その分クールタイムが長いはず。次発動されるまでに勝負を決めないとな。


 クロードは【プリズムオーラ】を警戒して勝負の決着を早めるためシュガに接近しようとした。しかしシュガの方は接近されずにとにかく時間を稼ぎたいのだ。そのためシュガは最も攻撃的で積極的な方法で時間を稼ぐことにしたのである。接近して来るクロードに照準を合わせてエミリアーゼはペンタソードを高く掲げた。


 ……おっと、ここで再び中距離戦を仕掛けて来たか。時間稼ぎかな? 時間を稼がれるのは痛手なんだけど、中距離戦ならこっちにも有利だ。だってスキルが発動する合間を狙えば消耗せずにダメージを稼げるからね。それじゃあ、【フロストチャージ】の次の隙を狙って、……いや、ダメだ!こいつは回避っ!


 クロードは先程同様スキル発動の後の無防備な状態を狙って【ブレイドショット】を発動させた。タイミングとしては次のスキルを発動しようとため始めた瞬間に斬撃を飛ばすと綺麗に直撃するのである。


 しかし【フロストチャージ】を発動させた後シュガは順番通り【ヒートチャージ】を発動さるためのために移行せずに大きく振りかぶったのである。これは【ヒートチャージ】の予備動作では無い。広範囲で斬撃が飛ばされるためクロードは【ブレイドショット】を放つのを中断して回避に専念したのだ。迅速な判断の甲斐あってどうやら直撃は免れたようだ。


「……ふむ、外したか。【ブレイドファイア】のタイミングは間違ってないと思ったんだがな。まあ、良い。次は絶対に当ててやるさ」


 ……危なかったぁ。あのスキル【ブレイドファイア】って言うんだな。やっぱり【ブレイドショット】とは違うスキルだったか。範囲が広がっているから多分上位互換なんだろう。いや、そんなことは今どうでも良い。まさかスキル発動の合間を狙っているのを分かった上で発動させたって言うのか。


 けど合間の無防備な瞬間を狙うなら悠長に相手の動きを見ていたらタイミングを逃してしまう。大分タイミングがシビアになったが仕方ない、近づけないならこうするしか無いんだ。


 シュガは再びペンタソードを高く掲げた。剣先に電撃エネルギーが集まって行くのが見て分かる。ここでクロードはある選択に迫られていた。【ブレイドショット】はいつでも発動可能であり、後はタイミングを見て斬撃を放つだけである。つまりクロードの選択は【エレキチャージ】を発動させた後の隙を狙うか否かである。


 通常スキルにはクールタイムが存在するため【ブレイドファイア】がまたもや放たれる確率は低い。1発目発動させてから2発目を発動させるまでかなりのラグがあったことがその証拠である。しかし敢えて発動させていなかっただけでクールタイムが極端に短いスキルである可能性は皆無とは言い難い。


 ……いや、ここは狙うしか無いな。【ブレイドショット】を発動させてから放つまでにここまで時間を空けたのは初めてだ。のんびりしていると不発のままスキルが終わってしまう可能性もあるし、放つのが遅くなればなるほど次の発動まで時間がかかってしまう。頼むから発動させないでくれよ。……! 来たな【フロストチャージ】の予備動作だ。


 【フロストチャージ】をためている合間を狙ってクロードが放った斬り上げによる斬撃は見事にエミリアーゼに直撃した。数にして3回目の直撃であり並の相手なら確実に撃墜出来ているほどのダメージは既に稼げている。後はエミリアーゼの装甲がどれだけ厚いかが勝負の鍵となる。


 ……ん、何だ? 何かを外したのか?


 シュガはペンタソードを地面に突き刺すと消耗が激しくなった部分を無理矢理剥ぎ取るように取り外した。何をしているのだろうかと不思議そうにクロードが見つめているとやがてシュガは口を開いた。


「……強いな、君は。ここまでエミリアーゼが消耗したのは騎士になりたての頃以来だ。もし君が私の味方であったなら、私はあと2年は早く野望が叶えられただろうな」


 ……褒められているのは嬉しいんだが、何の話だ?


「だが、私と君は敵同士。決して味方では無い。故に私は君を撃墜するのだ。……もう手の届くところまで野望が叶ったんだ。その実現の邪魔はさせない。これ以上の消耗は私が危ない……悪いがこの勝負、早く決着させてやろう! これが私のとっておき、何度でも食らうが良い。……【プリズムオーラ】!」


 読んでくださりありがとうございます。

 かなりシュガを追い込んでいるのですが、シュガは再び【プリズムオーラ】を発動させました。これを凌がなくては勝つことは不可能です。こればかりは仕方がありません。

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