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第百四十三話 操縦が出来ない


「……体験したことがある、……だと?」


「そうだ。もっともその時はただの試作品であり、これほどまでに大きくは無いがな。……分からないのなら仕方がない。身をもって再び体験して見るが良い」


 シュガが謎の機械を起動させた。すると不思議な音と共に不気味な黒いオーラが辺り一面に広がっていった。広がった範囲はオリオンの頂全体に渡り、当然クロードはそれになす術なく呑み込まれた。


 呑み込まれてすぐにアクィラは操縦が出来なくなり地面に叩きつけられた。低空に漂っていたため操縦席の中にいたクロードは何とか無事である。下からの強い衝撃を感じながらクロードはかつて自分に起こった体験を思い出していた。


 ……なるほど、これは確かに体験したことがあるな。……確かコールバの海でパディンと戦っていた時に食らったんだっけ? あの時も確かアクィラに乗っていたな。だがあの時よりも遥かに効果が上がってるみたいだ。操縦困難どころの話じゃ無い。アクィラがまったく動かせない。低空飛行で助かったよ。


 ……多分あの謎の機械の効果はE・L・Kの操縦を不可能にするものだ。だからシュガはE・L・Kに乗らずにいたんだろう。E・L・Kに乗らずに外に出ていることをもっと深く考えるべきだったな。


「……どうやら思い出せたようだな。この機械は空戦用E・L・Kの操縦を不可能にさせるものだ。この機械が効果を発揮している間君は地面に這いつくばることしか出来ない」


 ……やっぱりな。E・L・Kの操縦を……ん? 空戦用E・L・Kだけか? つまり陸戦用なら動けるってことか?


 クロードがそのことに気が付いた時、既にシュガは自分のE・L・Kの操縦席に座っていた。そしてE・L・Kが起動する音が静かに空間にこだました。


「そして、陸戦用E・L・Kはこの通り問題無く操縦出来る。……分かるかい? 君に出来ることは最早何も無いのだよ。つまりここにおいて私の勝利は確実なものとなった。これこそが私の野望そのもの。誰も私に勝つことは出来ない!」


 ……なるほど、それは必勝法と言えるな。向こうは問題無く動けてこっちは動くことすらままならない。ハンデなんて言う生易しいものじゃない。言ってしまえば勝手に勝負を諦めさせられたって感じだよ。


 ……弱ったな。空戦用だけが操縦出来ないのなら、海戦用は無理としても陸戦用E・L・K、例えばルブラリアとかで来れば良かった。……ん? 待てよ。


「……オリオンの頂に行くは空戦用E・L・Kが必要だ。お前はどうやって陸戦用E・L・Kでここに?」


「ほう、ようやくそこに気がついたか。そうだ、私はここにあるエミリアーゼでオリオンの頂まで来た。エミリアーゼはE・L・Kの中で数少ない変形機構を持った機体。分かりやすく言えばこのエミリアーゼは陸戦用であり海戦用であり空戦用であるのだ」


「……空戦用モードでオリオンの頂へ到着して今は陸戦用モードになっているってことか?」


「その通り。変形機構を持った機体の所持者は限られる。私の知る限りそうしたE・L・Kを持っているのは私以外ならレオ以外いない。そしてあのふ抜けはここまで来ない。自分が来る訳ではなく、君をここに寄越して来たのが何よりの証拠だ。……そして君は私に絶対に勝てない」


「……絶対に勝てないと?」


「そうだ。悲観することはない。誰も私に勝てないのだから。E・L・K以外の対抗手段なら違った状況になっていたかもしれないな。だがそれはあり得ない。なぜならそのために私は騎士隊の地位を上げ続けたのだからな。E・L・KにはE・L・Kを対抗させる。そうして作り上げたこの世界で自分だけがこの場所で唯一E・L・Kを使うことが出来る。これが私の野望だよ!誰も私に勝つことは出来ない‼︎」


 ……なるほど、シュガの野望はつまりこう言うことだな。まず、E・L・Kを使う騎士隊の地位を上げ続けてE・L・Kに対抗するにはE・L・Kを使うしか無い状況を作り上げる。その上でE・L・Kを使えなくすることによって自分だけがE・L・Kを操縦すると言う強烈なアドバンテージを持とうとしたのか。確かにそれは最強の必勝法だ、隙が無いや。


 いや、隙が無いって感心している場合じゃねぇ。俺はシュガを止めに来たんだ。何か、……何か考え無くては!


「……そうだ、レオ教官なら……」


「諦めろ。あのふ抜けは来ない。それに私がこの機械を起動させてからどれだけ経ったと思っている。起動させた今、空戦用E・L・Kでオリオンの頂に辿り着くのは不可能。つまり私と君以外ここには誰もいない。そして君を撃墜すれば私を止める人間はついに完全に無くなる。そしてそれも時間の問題だ。……さて、そろそろ覚悟は決まったかな?」


 シュガはゆっくりと着実にクロードへと近づいて来た。ついにクロードの目前まで迫ったその瞬間クロードは舌打ちが聞こえた気がした。クロードは舌打ちをしていない。ならば舌打ちをしたのはシュガであろう。だがその理由がクロードには分からなかった。


「……どうやら読みが外れたようだ。まさかあのふ抜けが来ているとはな」


「……間に合ったようだな。遅くなって済まない」


 読んでくださりありがとうございます。

 絶体絶命の状況の中でレオが助けに来てくれました。これで少しは状況が改善するはずです。

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