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第百四十一話 オリオンの頂


 ……ふぅ、なんとか撃墜出来たな。ええと、ベルウッドも騎士隊の職員に連行してもらうで良いのかな?

ルピウスに聞いてみるか。


「……ルピウス、聞こえるか?」


「聞こえてるよ! ……さすがはクロードだね。ホログラム越しに見てたけど見事な戦いだったよ。騎士隊の職員にはもう既に連絡してあるからクロードは先に進むと良いよ」


 お、もう既に連絡済みか、仕事が早いな。それじゃあテレジコ空域の対流で出来た壁の先へ行ってみようか。


 クロードはベルウッドの隣を通り抜けテレジコ空域の最奥部まで到達した。クロードの目の前には対流で出来た壁があり、その内の1ヵ所だけ上に巻き上げる対流が吹いていた。この先にオリオンの頂があるかは定かでは無いがどこかへは確実に繋がっているだろう。


 ……ちょっと勇気がいるね。正直言ってこの先にオリオンの頂があるとは限らない。実はこの先は別の場所に繋がっていてオリオンの頂へ行くには別の入り口のようなものがある……とかね。実際目の前にオリオンの頂が見えていれば話は変わるんだけど、見えてないからね。読みが外れていましたなんて良くあることだからな。……ま、進めば分かるか。


 クロードは意を決して巻き上がる対流目掛けて進もうとペダルを踏み込んだ。対流へと呑み込まれたアクィラはそのまま流れに身を任せるようにして遥か遙か上に上昇していった。


 数秒程経っただろうか。アクィラは上昇するのを止めた。クロードは目の前の光景を見て息を呑み、そして1つ息を吐いた。そこには空中で浮かんでいる険しい山岳地帯が広がっていたのだ。


 ……ついに来たな。ここがオリオンの頂……か。


 クロードは後ろを振り返った。先程までいたはずのテレジコ空域は目では確認出来なかった。ましてやスタラジア帝国など見えるはずも無かった。それほどまでに遠い場所へ来たのだとクロードは静かに実感したのである。


 ……それほど長い間対流の中にいたとは思えないんだけど、かなり遠い場所にあったんだな。道理で未知の領域なんて言われるはずだよ。ただ、未知の領域でもMAPは存在するんだな。ルピウスが表示してくれたんだろう。感謝しないとね。


 クロードは表示されているMAPをじっくり観察した。一見すると複雑そうな構造をしているように見えるがオリオンの頂の奥を目指すなら通るのは1本道のようだ。最奥部にはどうやら広めの空間があるようである。恐らくこの世界最高純度のミスリルが手にはいる場所はそこだろう。


 クロードは今までシュガの姿を一度も見ていない。そしてMAPを見る限りこれまでの道もこれからの道も1本道である。ならばシュガがいるのはオリオンの頂の最奥部で間違いない。ゆっくりしている暇は無い。クロードは最奥部目指してとうとうオリオンの頂へ突入した。


 ……MAPで見ると1本道なんだがな。アクィラで通るってのは中々難しいぜ。


 出来ればすぐにでも最奥部へと向かいたいのだが、オリオンの頂の内部は洞窟のようになっており空戦用E・L・Kであるアクィラでは思うように進めない。それに今のところ遭遇してはいないがモンスターが潜んでいる可能性もある。索敵をしながら慎重に進むのは中々にクロードの神経を消耗させていた。


 ……そろそろか? 大分進んだと思うけど……。上から光が差しているな。何の光だろう? ……まあとにかく光が差し込んで来ているなら、ここから上に上がれるのかな? ……おぉ! こいつはすげえな。


 クロードが光が差す方へ進むとやがて広い空間へ出た。差し込んでいた光の正体は他でも無いミスリルである。見渡す限り一面のミスリルの輝きにクロードは思わず声を出してしまったのだ。


 最高純度のミスリルが採掘出来るって言うのは勝手に量が少ないと思ってたよ。これはあれだな、取り放題だ。……ん?


 夢中になってミスリルの輝きを見ていたクロードはあることに気がついた。どのミスリルも採掘が出来ないのである。言い方を変えれば既に採掘され尽くした後だったのだ。ここに来てようやくクロードは最奥部の一番奥、陸戦用E・L・Kらしき機体と謎の黒い機械の前で何やら作業をしている人物の存在に気付いた。同じタイミングで向こうもこちらに気がついたのだろう。ゆっくりとこちらへ振り返った。


「…………ふむ、君が最近傭兵部隊で噂になっているクロードと言う名の騎士だな。なるほど、確かに実力者のようだ。私の名前は、……言う必要も無いね。君は私を止めるために来た。……そうだろう?」


「……ネミリア王国傭兵部隊隊長、……シュガだな」


「いかにも私が君の言う通りネミリア王国傭兵部隊隊長のシュガだ。いくら敵対国家の傭兵部隊の隊長だからって会ったことも無い人物でもちゃんと顔と名前を把握しているとは素晴らしい教育がされているな。相変わらずレオはくそ真面目だ」


 ……やはり目の前にいるのはシュガか。とうとうここまで来たね。こいつがここで何をしようとしているのか知らないけど、……って言うか何でE・L・Kにすら乗って無いんだ? 横に陸戦用らしきE・L・Kの機体が置いてあるけど、本人はなぜか外に出てる。……なぜ?


 読んでくださりありがとうございます。

 とうとうシュガを発見しました。……なぜ彼はE・L・Kにも乗らずに外にいるんでしょうか?

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