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第百四十話 ネグロプロシオンを避けねば


 クロードは全てのジャミングミサイルを撃ち落とすとレバーを切り替え、既にガタが来ているジョニアの左側のプロペラ部分を狙って撃ち始めた。【レーザースパイラル】はまだ効果時間内であるため容赦なくジョニアの装甲を削っていった。


「……おかしい。……そんなはずは無いィ。まさかこの俺が……2度も負ける?」


 ベルウッドは呆然としてその場を動かなかった。いや動けなかったと言う方が正しい。実は【ジャミングミサイル】は発動後一定時間動けない制約があるのだ。通常攻撃を撃ち始めてから回避しようとしないベルウッドに気付いたクロードは畳み掛けるように狙いをすましてジョニアの脆くなった場所を撃ち続けた。


 ジョニアは装甲も一定以上の厚みがあるが最も優れているのはその耐久性である。通常攻撃では精々1ヵ所脆くすることが出来るかくらいである。だが貫通属性を持っているとなると話は変わって来る。クロードの狙いの正確さも相まって【レーザースパイラル】の効果が切れる頃には左側のプロペラ部分は既に飛行機能を失っていたのだ。


 ……お、効果切れか。まあ大分削れたな。この調子でいけば撃墜出来そうではあるけど、……まあそんな簡単にはいかないよな。


 クロードはじっとジョニアを見つめていた。攻撃を畳み掛けても良いがそれをしなかったのには理由がある。何故か攻撃を加えていない右側も機体が壊れ始めたからである。通常撃墜する時E・L・Kは原型を留めずに一度に崩壊する。従って目の前のジョニアのように原型を留めながら壊れていくことは撃墜とは無関係なのだ。


「……いや、あり得ねェ。俺は負けない、……負けないィ! お前は俺の手で無様に散るが良い! ……【ネグロプロシオン】」


 ……来たな。撃墜以外で機体が崩れ始めているなら原因は間違いなくこれだ。前回は不発、……ただし恐らくそれはわざと。こいつの目的は最初からテレジコ空域への突入口を無理矢理作ることだったからね。今回は確実に俺を狙って来るはずだよ。


 【ネグロプロシオン】はベルウッドが放つ攻撃の中で最も広範囲かつ高威力を誇るビーム攻撃である。発動後撃墜寸前まで装甲が消耗すると言う代償はあるものの、その規模の大きさと速さは凄まじく、初見なら回避は不可能に近いだろう。


 だがクロードは既に一度見ている。アクィラの速度なら球体を形成し始めてからでも回避が間に合うと判断したクロードは逆に狙いやすいフィールドの中央にアクィラを移動させた。


 前回は運良く発動前に撃墜出来たけど、今回それが上手く行くとは限らないしね。戦局自体は有利に進められているんだからそんな危険な賭けをする必要はないさ。……お、予想通り正面目掛けて発射するみたいだな。それじゃあ発動する前にさっさと正面から外れますかね。


 クロードは手際良くアクィラを操縦してジョニアの正面から外れた。回避が完了してからジョニアの方を見れる程には余裕があった。間近で【ネグロプロシオン】を見るのは初めてである。


 赤黒い小さな球体はついに正面目掛けて放たれた。凄まじい轟音と共に放たれた【ネグロプロシオン】はジョニアの正面にあるもの全てを呑み込んだ。……ここまではクロードの想定通りである。後は【ネグロプロシオン】が終わってから確実にジョニアを撃墜させるだけだ。


 しかしクロードには1つ誤算があった。【ネグロプロシオン】はベルウッドが放つことの出来る攻撃の中で最大の範囲を誇る攻撃である。ただ正面にビームを放つだけなら【ネグロブラスト】と範囲はそう変わらない。


 ……お? ちょっと待って。これビームを放ちながら向きを変えているのか⁉︎


 ベルウッドは【ネグロプロシオン】を撃ちながらゆっくりと向きを変えていった。当然向きが変われば【ネグロプロシオン】が放たれる方向も変わる。ゆっくりと確実にベルウッドはクロードを追い込んでいた。


 完全に油断していたクロードは必死にハンドルを回し旋回するようにして回避を試みた。だが回避するにも限界がある。【ネグロプロシオン】はテレジコ空域の壁などお構いなしに迫るがクロードはそうはいかないのだ。壁際まで追い込まれれば後は前に進むしかない。ここまで来てこれを食らう訳にはいかない。クロードは必死にペダルを踏み込んでいた。


 ……ふぅ、やっと終わったか。まったく最後にこんな攻撃は心臓に悪いぜ。


 さすがの【ネグロプロシオン】も全範囲を呑み込むことは出来ない。クロードがアクィラの真横まで回避したちょうどその時アクィラは集約させたエネルギーを放ち終わった。装甲はボロボロになるまで消耗している。こうなればもうベルウッドに出来ることは無い。


 クロードはジョニア目掛けて通常攻撃を発射した。限界まで装甲を消耗し切ったジョニアは力尽きるかのように静かに崩れ落ち、その場には気絶し動けなくなったベルウッドと操縦席だけが残されたのであった。


 読んでくださりありがとうございます。

 とうとうベルウッドを撃墜しました! あとはオリオンの頂に行ってシュガを倒すだけですね。

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