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第百三十九話 今度はこっちの番


 なるほど煽られたな。そりゃあれだけ暴力的な数で攻撃されれば何個かは絶対食らうでしょうよ。


 ……あれ? そう言えば装甲にはまだ余裕があるのか? 装甲が限界近いならルピウスが教えてくれるはずだよな。……ホログラム機能が停止している訳じゃ無いな。


「ルピウス! ……装甲って後どれくらい余裕がある?」


「アクィラの装甲かい? 消耗は4割程度かな。限界が近づいて来たらこっちから教えるからクロードは安心して攻撃してくれ」


 お、なんだ4割くらいしか消耗していないのか。もっと消耗しているイメージだったよ。体感だと追いかけて来た小型ミサイルの半分以上は撃ち落とせた。ならあれを一つも撃ち落とせずに全部食らえば撃墜されるってことか。逆に言えば撃ち落とせるだけ撃ち落とせばそれほど消耗しないで済みそうだな。


 それほど装甲を消耗していないのを知ったクロードは冷静さを取り戻した。もちろん一度に装甲の4割を持っていく程のダメージを食らったことはクロードにとってほぼ初めてに近い。しかしスキルの演出の派手さ故に1発で撃墜を覚悟したために、4割程度の消耗など大したことの無いように思えたのだ。


 さて、ダメージを貰っちゃったからな。今度はこっちの番だよ。


 クロードはベルウッドに照準を合わせ通常攻撃を再開した。切り替えレバーを戻し一点集中で放たれるレーザーは着実にジョニアの装甲を削っていた。何故かベルウッドはその場を動かなかった。【レーザースパイラル】こそ発動出来ていないがクロードの通常攻撃はベルウッドに届いている。


 堪えかねたかのようにベルウッドはようやく回避し始めた。だがジョニアはアクィラと比べるとやや遅くクロードにとって動くジョニアに攻撃を当てることは難しいことでは無い。ここに来てクロードはベルウッドの回避の動きを全て見切り常に通常攻撃が当たるようになったのである。


「ええい、うっとうしい。 お前は俺の動きを見切っているとでも言うのか! なら攻撃をさせないまでよ。食らうが良い! 【ネグロブラスト】!」


 ベルウッドは一転して攻め始めるようだ。ジョニアの周囲には黒いオーラが漂い始めた。【ネグロブラスト】はためて放たれるビーム攻撃の1種である。そしてため始めた時向いている正面方向に発射するのだ。故に正面以外に位置取れば攻撃が当たらないばかりか逆に攻撃チャンスに転じるのだ。


 ……お、あれもしかして火が上がってないか?通常攻撃を集中させた甲斐があったな。あそこを狙って攻撃し続ければいずれ飛行機能を失うはずだ。……お、そしてこのタイミングで【レーザースパイラル】が発動可能になったか。それじゃあ、畳み掛けるとしますか。


 【ジャミングミサイル】を食らってからのクロードはむしろ戦局を有利に進めていた。クロードは一切ダメージを負っていない上にベルウッドの乗るジョニアは左側のプロペラ部分に綻びが見え始めて来ている。そして【レーザースパイラル】が発動可能になった今完全にクロードは戦局を支配していた。


「……おかしいな、俺がお前を追い込んでいるつもりが逆に俺が追い込まれているのか? まあ、良い、【ジャミングミサイル】でお前を今度こそ撃墜させてやろう」


 ベルウッドはそう言うと【ジャミングミサイル】のスイッチを押し込んだ。やがてジョニアの周囲にまたも数えきれないほどの量の小型ミサイルが漂い始めた。だが、クロードは冷静である。一度見た上に対処法も分かっているからである。クロードは無言で切り替えレバーでレーザーを再び拡散するよう切り替えると【レーザースパイラル】のスイッチを押し込んだ。


「暴力的な数の攻撃を食らうが良いィ! ……はァ? ……お前今何をした?」


 ベルウッドは目の前の光景が信じられなかった。今自分は数えきれないほどの追尾機能の付いた小型ミサイルをクロード目掛けて放ったはずである。先程は数を減らされたものの半分程はクロードに到達し爆ぜた。今度もそうなるに違いないとベルウッドは確信していたのだ。


 だがどう言うことだろうか。ベルウッドが放ったはずの小型ミサイルはクロードに到達するどころかすべて消え去ってしまったのだ。


「暴力的な数……か、悪いけど全部破壊させてもらったよ」


【ジャミングミサイル】はその暴力的な数で相手の装甲を一気に削ることを目的としたベルウッドの自慢のスキルである。対処法は到達する前にどうにかして1つ1つを破壊する他無い。


 ジャミングミサイルはそれなりに耐久性があり簡単には破壊出来ない。が、通常射撃を撃ち込むことで小型ミサイルの動きが止まるため隣り合う小型ミサイル同士が接触し爆ぜさせることが可能である。そのため通常攻撃であるレーザーを拡散して放つことだけで到達する前に半分以上数を減らすことが可能なのだ。


 そしてそれに加えてクロードは通常攻撃に貫通属性を付与させる【レーザースパイラル】を発動させている。これにより小型ミサイルは加速度的に数を減らされた。ベルウッドからは放たれた暴力的な数故にクロードがそれに対して何をしたか全く見えない。そのためベルウッドには突然【ジャミングミサイル】が消え去ったように見えたのだ。


 読んでくださりありがとうございます。

 対処法が分かっているので二度同じ攻撃は食らいません。装甲を多少は削られましたが攻撃を当てられなければどうってことありません。

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