第百三十六話 オリオンの頂を目指せ
なるほどそう言うパターンもあるのか。それじゃあルピウスが連絡してくれたみたいだしその言葉に甘えて先に進もうか。ええと、テレジコ空域への突入口は確かあの辺りに……、あったあった。あれだな。
クロードは突入口の真下へと辿り着いた。前回はテレジコ空域からこちらへやって来たためコールバの海側からは初めてとなる。クロードは1つ息を吐くと後ろにいるルピウスの方へ振り返った。
「ルピウス! ……アクィラに乗り換えたい」
「任せてよ! 今コンテナを開くからね」
ホログラムからルピウスの声が聞こえコンテナの扉が開いた。コンテナの中を見るのはこれが初めてである。コンテナの中は格納庫とまではいかないが格納庫の中央部E・L・Kが置いてある場所くらいには広い。そして中にはアクィラが待ってましたとばかりに鎮座されていたのだ。
「それじゃあ俺は降りて乗り換えれば良いのか?」
「あ、まだ降りちゃダメだよ。……そう言えば乗り換えをするのは初めてだっけ? だったらクロードは驚くんじゃ無いかな」
……驚く? 何の話だ?
クロードが不思議そうにコンテナを眺めているとコンテナの天井部分が開いた。これで前からも上からも入れるようになった。そしてコンテナの床が機械音と共に持ち上げられた。なるほど床部分は二層になっているらしい。
「もう入って来て大丈夫だよ。出来る限り水は入れたく無いから慎重に頼むね」
なるほど、操縦席に入ってしまえば俺が操縦出来るんだからコンテナから機体が出せるんだけど、入れるのは出来ないからな。
クロードは感心しながらデサルトをコンテナの中に入れた。コンテナへ降り立つと奥側に上に登るはしごが見えた。どうやらここから登ることが出来るらしい。
はしごを登り終えアクィラの操縦席へと乗り込んだクロードはコックピットの電源を入れた。これで乗り換えは無事完了である。ホログラムではルピウスが得意げな顔をしていた。
「結構すごいねこのコンテナ。ただE・L・Kを運ぶだけかと思ってたよ」
「そりゃただのコンテナな訳無いさ。それにまだこのコンテナの機能には秘密があるよ。タスクから帰還したらクロードにも教えてあげるね。テレジコ空域から先はついて行けないから僕は先にスタラジア帝国へ帰還してるよ。ホログラムはつけておくから何かあれば聞いてくれれば良いよ」
あぁ、そうか。テレジコ空域にはついてこれないってそういえば言っていたな。ま、それは仕方ないね。……しかし、まだコンテナには隠れた機能があるのか。どんな機能なのかちょっと楽しみだね。
ま、それは帰還してからのお楽しみってことで今はタスクに集中しよう。前回通った時随分と荒れた道だった覚えがあるからな。なるべく消耗はしたくないから注意して進まないとね。
クロードはアクィラを発進させるとまずまっすぐ突入出来るよう突入角度を調整し、一気に突入を始めた。行き着く先が分からなかった前回とは違い今回はどこから突入してどこに行き着くかは知っている。その上消耗しないよう最大限注意して進んでいるのだ。クロードは当たり前のように無傷でのテレジコ空域への突入を完了させた。
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テレジコ空域
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……ふぅ、無事に突入出来たな。見た感じテレジコ空域に特に違和感は無いかな。……いや、ちょっとモンスターの姿が見えないな。本来ならもっと多くいてもおかしくないんだけど。……まあ、消耗が抑えられるから気にしないでおくか。
テレジコ空域の雰囲気にやや違和感を覚えたクロードだが気にせず進むことにしたようだ。いつもと違う場所から突入しているためMAPをよく見ないと現在地がよく分からなくなる。クロードは慎重に進みながらMAPを見ていた。そしてあることに気付いた。
「……あれ? ルピウス。オリオンの頂ってどこに行けば辿り着くんだい?」
「……それは僕にも分からないな。なんて言ったってオリオンの頂は未知の領域だからね。テレジコ空域の奥にあること以外の情報は何にも無いな。とりあえず奥側を目指してみれば良いんじゃないかな」
なるほど、ルピウスも分からないのか。オリオンの頂に行くことがタスクの目的じゃ無いからかMAPを見てもどこに行けば良いか表示されないな。……自力で見つけるしか無いか。
ええと、情報を整理しようか。ルピウスの話では確かオリオンの頂は巨大なはずなのに正面に行かなければ見えない不思議な地点だって言う話だったな。そしてオリオンの頂では世界最大純度のミスリルが採掘出来ると。
その話から考えるにオリオンの頂は陸地だよな。まさか空を採掘してミスリルは採掘出来ないだろうからその認識は正しいはずだ。そしてそれらしき陸地は見渡してもまったく見えない。
……正面に行かなければ見えないってことはだ。2通り……いや、3通り考えられる。1つは何らかの理由で正面以外からは見えなくなっている。1つは正面に行くための場所が見えなくなっている。そしてその両方だ。
読んでくださりありがとうございます。
どうやったらオリオンの頂に辿り着けるんでしょうか?